恋のキューピッドは悪魔!?そして、天使は邪魔をする
—天界—
「フレヤ、この男の恋を邪魔してきなさい」
「女神様、この者に、何かあるのですか?」
「この男は生涯独身と決まっておるので、恋人を作られると厄介なのだ」
「わかりました!その任務、私に任せてください!」
「期待しておるぞ」
—魔界—
「おい、デビルいるか」
「魔王様、どうかなさいましたか?」
「この男の恋を邪魔しようとする、天使が人間界に向かったらしい。そこでお前には、この男の恋の応援と天使の妨害から守ってほしいのだ」
「魔王様の命令は絶対。このデビル役目を果たしてみましょう」
「頼んだぞ」
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「今日も、西条さんは可愛かったなー」
俺は溝口悠太で絶賛、恋をしてます。
恋の相手は西条美緒、クラスのマドンナである彼女と話がしたいんだが…
西条さんに話しかけようとすると、何故か邪魔ばかり入ってくる。
例えば、先生からの謎の手伝いやら西条さんがいつの間にか移動してたりだ。
俺に嫌がらせをしたいのかと言わんばかりの頻度で、それはやってくる。
そんな時、足元から声が聞こえてきた。
「よぉ、悠太よう。お前の恋愛を応援するために来たぜ」
えっ、いきなり何言ってるのこいつ?
しかも、体の半分が地面に埋まってる…いや、刺さってる様に見えるんだが———
「誰!?てか、地面に刺さってる!!!」
「俺様はデビル、悪魔さ!あと、刺さってないから」
「そうなのか。それで。悪魔が俺に何の様だよ!」
「さっきも言ったろ?お前の恋愛の応援と助けに来たって」
悪魔が恋を応援や助けに来たって、聞いたことがないんだけど。
そもそも、悪魔ってそーゆうラブコメ展開とか嫌いだろ、それが何で助けるとか応援になる訳だ!?
「嘘ぽいんだよなぁ〜」
「悪魔は嘘を付かないよ!!!」
「それが嘘ぽいんだよな」
「因みに、天使が悠太の恋を邪魔しに来るってさ」
———えっ!?天使が俺に恋のキューピッドをして、助けてくれるんじゃなくて邪魔しに来るの!?
そもそも、天使ってそんな悪者やるキャラだったっけ?
てか、一番重要な事を忘れてた…
何で俺の所に天使と悪魔が揃う訳だよ!!!
そんな事をこの悪魔に聞くのは癪だが、背に腹はかえられぬ…聞くか。
「えっとデビルくん、いくつか質問いいかな?」
「おう!いいぞ、雄太よ!」
質問していいかに対して、デビルは笑って応えてくれた。
デビルの話によると…
まず、天界で事件が起きたらしいんだがその事件が、俺らしい。
俺は生涯独身が決まっているのに、初恋をしてしまい天界から邪魔するのが難しくなってきた。そこで、女神様は恋の邪魔をする使者を向かわせたのを察知した魔王様が、俺の恋の応援兼ボディガードって形でデビルが派遣された。
なるほど、女神様が俺の恋愛を邪魔か…
恋のキューピッドをやってくださいよ、女神様!!!!!!
しかも、生涯独身を今カミングアウトされるとか高校生ですよ!まだ10代後半で人生決められてたまるかー!!!!
「よし、わかった。デビルの話は少しは信じよう。だから、デビル!俺の恋のキューピッドになってくれ!!」
「おうよ!最初から言ってるやろ!」
「契約完了だな」
「契約完了っす!あっ!悠太、ちょっとそこ危ないから俺の後ろにいて」
「どうしたんだ?」
いきなり、デビルから思いも寄らない言葉が出たので俺は首を傾げた。
そして、俺がデビルの後ろに着いた途端、空から何か降ってきて、地面にヒビが入った。
「な…何が起きたんだ!?」
「悠太、あれがお前の邪魔をしに来た、天界の使者フレヤだ」
「うぇぇーん、着地失敗したよー。てか、めちゃでかいたんこぶできてるんだけど!!」
あれが…俺の邪魔をしに来た使者…
えっと、、、ポンコツなのかな?
俺の邪魔をしに来てるけど、何故かちゃんと仕事をこなせるのか心配になってきた。
「大丈夫ですか?」
「おいおい、敵に情けをかけるのはいいがそいつは一応、邪魔しに来てるんだからな?」
「わかってるよ」
「あ、ありがとうございます。って!溝口悠太!!!お前、今すぐ恋を諦めろ!!」
うん、そのぷるんとした唇に目立つ双丘の持ち主に言われてもね〜
「諦めた所で、また新しい恋をするけど」
「それは、ダメだ!私の女神様の信用が無くなるだろ!!!」
「いや、知らないし。それなら、お前に恋をしてやってもいいぞ」
この発言に対して、デビルは何故か笑っていて、
「それは面白いな!俺様は悠太に恋人ができればそれでいいから、天使と恋愛もOKだ!」
と話してきた。
だが、天使は顔を真っ赤にしながらも反論してきた。
「だ、誰があんたなんかと付き合うかつーの!それに私の名前フレヤだから!!!」
「それなら、あんたじゃなくて悠太って呼んで欲しいな〜」
「ぐぬぬ…ゆ、悠太覚悟しとけよ!!!」
「覚悟はしませーん」
だって、覚悟しろも何もまだやられてないから、痛くも痒くもないし。
それに…って思っていたら、天使のフレヤからとんでもない発言をしてきた。
「あっ!因みにだけど悠太の初恋の西条さんだっけ?あの子はもう恋人できたから」
はっ!?西条さんに恋人ができただと…!?
だって、学校ではそんな素振りなかったったし…
「悠太、焦っているな!そうさ、私の仕業だ!」
「な、なんだと」
「さっき、凄くいい雰囲気だったし、どっちにしろ結ばれる運命だったから女神様の許可をもらってくっつけて来ました!」
なんてことをしてくれたんだー!!!
俺の初恋がこんなにもあっさり終わってしまった…くそ…悔しいな。
「悠太、泣くな。俺様が新たに悠太と相性が良い女の子を探して来てやるからな!!」
「デビル…お前ってやつは…悪魔なのにほんとにいいやつだな…」
「と言うわけで、フレヤは悠太の恋の邪魔をしないでくれ」
「許されるわけがないでしょ!!!」
そう言って、フレヤは俺とデビルに向かって矢を射ってきた。
それを避けながら、俺とデビルは笑いながらフレヤから逃げていった。
俺とデビルの恋の物語はまだ始まったばかりだ、これからどんな物語が起きるのか今からワクワクする。
フレヤの邪魔がなければ楽しいんだけどね…!