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3.11 彼女は叫ぶ  作者: 海那 白
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4、 2017年3月11日

 あの後、お姉ちゃんが通ってた学校から電話があり、そこから警察が来て親戚のお母さんとお父さんは逮捕された。

 その時に私も警察に保護された。

 警察の人に、頭をなでられながら言われた。


「今まで辛かったよね。よく、頑張ったね。もう大丈夫だからね。」


 その警察の人の手は、暖かかった。

 でも、その手はお姉ちゃんがよかった。


「お姉ちゃん…」


 そのつぶやきを聞いた警察官の人は、ためらいながら言った。


「君の、お姉ちゃんはね…もう、いないんだ…。ごめんね、おじさんたちが守ってあげれなかった」


 私の目から、生暖かい液体が流れ落ちていくのを感じた。




 その後、私は里親を探すことになり、すぐに代わりの人が決まった。

 優しいおばあさんだった。

 そのおばあさんは、暖かくて安心した。

 家族ってものがどんなものか、私は再び思い出すことができた。

 私は、幸せだと思った。


 でも、学校ではそうではなかった。

 お姉ちゃんからの言いつけで「私たちの出身地は絶対に秘密。もしバレちゃったら、いじめられちゃうかもしれないから」というのがあり、私はそれをちゃんと守っていたつもりだった。

 仲いい友達もできた。

 ただ、私が何かの拍子で出身地方の方言が出てしまった。

 そしてその方言を調べた子が私の出身地を暴いてしまい、私へのいじめというものがはじまった。

 日常的に悪口を言われるようになった。


「放射線が飛んでくるから近づかないでー」


「あいつの半径1以内にいると地震がおこるぞー!」


「わー、人殺しだ逃げろー!」


 というような悪口をよく聞いた。

 無視は、いつものことだった。

 仲間外れだって、しょっちゅうされた。

 そんなある日だった。

 女子の集団に追い詰められた。

 休み時間の教室、5,6人の女子からの圧、忘れられない。

 だんだんと迫ってくるその子たちが怖くて怖くて、思わず、女子のうちの一人を突き飛ばしてしまった。

 その子は後ろに倒れ、場所が悪かったのかちょうど机の角に頭が当たり、頭から血を噴き出して倒れた。

 自分が何をしたのか、しばらく理解することができなかった。

 心臓の鼓動が大きすぎて、のどから心臓が出そうなほどだった。

 女子たちはその子にかけよったが、私は私で、吐いた。

 泣いた。

 喚いた。

 叫んだ。

 すると、女の子たちの一人が「なんであんたが泣いてんのよ。泣きたいのはこっちなんだけど!さっきから目覚まさないんだよ、この子!あんた、自分が何をしたかわかってんの!?ありえない死ね!このクズ!」と泣き叫んだ。


 違う。

 そうじゃない。

 そんなつもりでやったんじゃない。

 違うのに、なんで…。

 最初に突っかかってきたのはそっちじゃ…。


 私は、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。


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