2、 2011年3月11日
これは、私が6歳のころの話である。
3月11日は私の誕生日で、その日は近くの遊園地に家族みんなで遊びに行く予定だった。
お母さん、お父さん、お姉ちゃん、それと私。
みんなが笑顔で幸せな日、になる予定だった。
土日だから遊園地は混むだろうと、朝早くから起きて家族みんなで準備していた。
そのときだった。
急に、床がぐわんぐわん動き始めた。
よたよたして、立っていられなかった。
近くにあったタンスもぐらぐらしてて、怖かった。
怖くて、涙が出てきた。
そしたら、お母さんが私の上に被さってきた。
私を抱きしめて、守るように。
最初は、お母さんの手が暖かくて少し安心した。
でも、すぐにぐらぐらしてたタンスが倒れてきた。
倒れてきた場所が悪く、ちょうどタンスの角がお母さんの頭にあたり、お母さんはタンスに押しつぶされた。
私はお母さんのおかげで大丈夫だったけど、お母さんの頭からは赤い血がどばどば流れてて、お母さんは少し冷たくなっていた。
お母さんの頭の片隅から、なんかぶよぶよしたものが見えてしまった。
それが何なのかはわからないけど、いつもの温かいお母さんが暖かくなくなっちゃったことがショックで、また泣き出した。
そこからはもうほとんど覚えてない。
気づいたら揺れは収まっていて、家がなくなっていた。
私は何かの板に運良く守られて、生きていたらしかった。
お姉ちゃんが助けてくれて、手を引いて私を小学校まで連れてってくれた。お母さんはショックだけど、お姉ちゃんは暖かかった。
しばらくしてあまり揺れなくなったころ、私とお姉ちゃんの親戚とかいう人が小学校に来た。
その人たちから言われた。
お母さんとお父さんはもういなくなっちゃったんだって。
だから、唯一の親戚のその人の家に住むしかないんだって。
その人たちは、嫌な顔してて怖かった。
でも、まわりにいたおじいちゃんとかが「よかったねぇ」って言ってたから、これはいいことなのかなって思ってた。
そうして私はお姉ちゃんと一緒に、その親戚の人の家がある遠くにお引越しした。
これが、悪夢の始まりとはまだ知らなかった。