勧誘
とりあえず元に戻してみる。
副題には勧誘とあるが、本当のお題は「勧める」。漢字二文字で適当な言葉が思いつかなかったので勧誘とした。これから語るお題に誘う、という言葉もあながち間違ってはいないので勧誘でもいいのだが、そこまで大した問題ではないので流しておく。
さて、本題へと入る前にちょっとした小話を読んでいただきたい。
主人公は、あなた。煙草をこよなく愛する愛煙家で、いつもと同じ日々を送っていた時に起きた、とある場面でのお話だ。
あなたは愛煙家。最近の日課は、仕事の帰りにたまたま見つけた公園で一服することだ。そこは人気がなく、公園の周囲が適度に木で覆われているため風がほとんどない、絶好の喫煙場所となっていた。最初にそこを見つけた時は小踊りしながら煙草を吸ったものだ。……といっても、すぐに息が切れて後悔していたが。
あなたはその日もいつものようにいつものベンチに座り、昔から愛飲している銘柄の煙草を味わっているところだった。ふと視線を公園の入り口へと向けると、通行人がこちらへと歩いてきていた。あなたは少し、警戒した。このご時世、どれだけ周囲に配慮しようとも煙草というだけで叩かれる時代となっている。それが正義といわんばかりに突っかかってこられることもしばしばあった。はたしてこの通行人はどうだろうか。安全を取ってマイ灰皿へ処分してしまうか。否、もったいない。自分が煙草を吸っているのなんて、見て分かることだ。うん、きっと大丈夫だ。
とかなんとか現実逃避している間に、通行人はやってきた。やってきたのだが、なにやらおかしい。入り口からあなたのところまで真っ直ぐ、やってきたのだ。これはまさか、正義の名の元のアレかー! などと絶望していると、その通行人は開口一番こう言った。
「煙草、止めましょう! 体によくないですよ!」
あなたはそれまでの人生で類を見ないほどに目を見開き、ついでに口を開いた。鳩が豆鉄砲を食らった瞬間である。当然だ。赤の他人がいきなり、非喫煙者になろう! と勧めてきたのだから。あなたの困惑を他所にその通行人は尚も自論を展開し続けていた。煙草を止めるとご飯がおいしくなる、癌になる確率を減らせる、煙草代でベンツが買える、など、など。
そして、一通り話して満足したのか、その通行人は去って行った。あまりの出来事に放心していたあなたはとりあえず、一服を再開しようとして、やめた。吸っていた煙草は、とっくに吸える状態ではなかったのだ。あっ、灰が……と思ったが、どうやら無意識の内に処理していたらしい。地面には落ちていなかった。では、さて、うん。もう一本いくか。あなたは忘れることにした。
小話おわり。そして今回のお題はこれだ。
「小説を書いてみようぜ! と勧めてくる利用者達について」
私は煙草の匂いが大嫌いだ。不意打ちを食らうと一瞬で怒りゲージが八割は埋まるほどである。染み付きまくって濃縮されてしまっている匂いとか、普通に気分が悪くなる。
あと車などから灰や煙草をポイ捨てする輩を目撃してしまったときなどは、ポップ化している。まじポップ。