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We are EMESIS  作者: 凩
3/15

第三話

「……」

「……」


 ……空気が重い。

 募集文を張り出した翌日の放課後、俺達は1時間だけ自分の教室で希望者が現れるのを待つ事にした。


 放課後になって20分、2人しか居ない教室で、2人とも座ってスマホを見ていると、突然扉が開いて今に至る。


 身長が高くて、顔に威圧感のある男は、しばらく俺たちを見下ろした後、ようやく口を開いた。


「……3組のトウゴだ」

「お、おう。 キョウスケだ。 よろしくな」

「ユウキだ」


 やべ~~、入部希望者か? こいつ。

 仲良くなれるかな……。

 てか絶対ベースだろ。 ベースじゃなかったらビビる。


「ベースをやりたい」

「だろうな!」


 ベースが良く似合いそうな男トウゴは、近くの椅子を適当に拝借して腰掛ける。

 座ってもデケえ。


「よくあの募集文で来る気になったね」

「MMOのパーティ募集みたいで逆に」

「いいのが釣れたな」


 まさかそこがきっかけで来てくれる人がいると、露程も思っていなかったが……。

 しかしまぁ、趣味も合いそうなので一安心だということにしておこう。


 現在はスリーピース、部として認められるのが4人なので、ここはキーボーディストが欲しいところだな。


「お前どのくらい弾ける?」

「雑誌のコンテストで優勝したことはある」

「やば」


 なんでそんな大物が、学校外でバンドも組まずに燻ってるんだ?

 まあでも、ベーシストってそういうイメージあるな……。


「俺たちもまあ……初心者ではない」

「それは楽しみだ」


 しかし楽しみとか言われても、あと一人現れないことには活動すらできん。


 スタジオ借りてもいいけど……。

 金かけたくないしなぁ。


「俺以外に希望者はいないのか?」

「昼休みにボーカルだけやりたいって奴が3人来たけど、帰らせた」

「あー……」


 バンドをカラオケ装置とでも思ってそうな奴ばかりだったので、いてもロクな事にならんから帰って貰ったのだ。

 学生バンドにはよくある話、らしい。


 トウゴも何となく心当たりがあるようで、それ以上何を言うこともなかった。


「でもあともう一人、鍵盤しか認めないってのもハードルが高くないか?」

「別に認めないわけじゃない。 シタールでもヴィーナでも構わんさ」

「ソレ本当に来たら、俺が帰らせるからな」


 ユウキが食い気味に拒否した楽器は、両方ともインドの民族楽器だ。

 高校生で、ソレ一本でやってるやつはまずいないとは思うが。


 正直面倒くさいから是が非でもと集める気は無いけれど、乗り気な2人の手前適当に理由を作って選り好みしている。


「とはいえあと一人だから、意外とすぐに集まるかもな」




 ──それから何の進展もなく2週間が過ぎた。

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