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「お茶です」

 私は、田植えが終わったら飲もうと冷やしていた緑茶を、経済産業事務次官の小野田和正、らしい人に出し、私の机の前にも置く。護衛っぼい人にも出そうとしたけれど、こちらは断られた。

 椅子に向かい合って座ると、早速とばかりに小野田氏は話し出した。

「用件はひとつなのですが、幾つか前置きがありまして」

「はあ」

 どんな用件が飛び出てくるか警戒している間にも、話は進む。

「まず、あなたの育てられた細ネギ、拝見しました。何でも、ダンジョン産の木材から得られた木酢液を肥料に使ったそうですね?」

「肥料、というよりは農薬ですけどね」

「なるほど、農薬ですか……。いえ、その報告が上がってきた後、ダンジョン産の木材から得られた木酢液を与えると、野菜がよく育つことが分かりました。果物についても、まだ未確定ですが、その傾向があるそうです」

「はあ」

「いえ、ね? 我々は、ダンジョン産の木材から作った炭が、コークスの代わりに使える、といったことは突き止めていたのですが、木酢液の方も有用とは考えていなかったものでして。安全性は確認してはいたのですが、何とも情けない話です」

「はあ」

 私は、このおっさんが何を話したいのか理解出来ず、率直に尋ねることにする。

「あのー、つまり、何が言いたいのですか?」

「では、そちらから言いましょうか。あなたの土地に出来たダンジョン『第二百六十四番ダンジョン』の管理とそこから得られるものの加工、販売を行う企業を創って頂きたいのです」

「え?」

 困惑する間もなく、話は進む。

「国連の方でも問題になっているのですが、現在民間に開放されていないダンジョンは危険性が高く、一方開放されたダンジョンは、安全なもののほとんどのものは明確な利益を上げられずにいます。サウジアラビアやリビアのダンジョンでは、綺麗な水が得られるものがあるため利益が出ているようですが、これらは例外です」

「えーっと、ダンジョンが利益にならないのは分かりました。それと、企業を創ることとどのような関係が?」

「はい。利益が出ないため、民間側から『もっと利益の出るダンジョンを開放しろ!』という圧力が各国にかけられています。しかし、現在開放されていないダンジョンは危険です。実際、各国軍に死傷者が出ていますし」

「つまり、民間側からの圧力を減らすために、『工夫すれば今のダンジョンでも利益を出せる』っていう方向に持って行きたいのですか?」

「おっしゃる通りです」

 小野田氏はにんまりと笑った。

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