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寒さが和らいできた頃。私の生やしたダンジョンの検査が終わったのか、これまでに発見されていたダンジョンに遅れる形で民間に開放されることとなった。集落には警備の自衛官の方が六人だけ残り、後は基地に帰ったみたいだ。
「さて、と」
もう少しすれば田んぼを準備しないといけないので、木酢液を作るなら今のうちに『レッサーウッドパペット』を倒してまわらないといけない。
冬の暇な時に、自衛隊の方からこのダンジョンについて説明を受けて『探索者資格』なるものを取っておいたので、私は安心してダンジョンへ向かう。装備は、『ムルス』で使っていた棍棒と倉庫で眠っていた背負いカゴだ。
「お願いしまーす」
「開放一日目からですか」
ここ『第二百六十四番ダンジョン前駐屯地』に残り、『入場ゲート』の管理をする東二等陸曹に『探索者証』を提示すると、彼は嬉しそうに言う。
「ということは、木酢液を取る設備はあるのですか?」
「手作りだし、小型だけどね。とりあえず、鉢植えの細ネギで試してみる予定」
炭を作り、木酢液を取る装置はネット情報を元にした。
「なるほど。よく育つといいですね?」
「ですねえ。では、行ってきます」
「はい。気を付けて」
そのまま洞窟、ダンジョンへ入り、奥へと進む。暗闇でも魔法を使えば平気だけれど、定期的に『アカリダケ』が生えているので、魔法の出番はない。意外と快適なダンジョンを、私は『レッサーウッドパペット』を蹴散らしつつ奥へと進んだ。




