プロローグ
ジリジリと照らす太陽。
埋め立てられたコンクリートが熱を跳ね返して、下からもものすごい熱を感じた。
潮の香りが生温かな風に乗って俺の鼻をくすぐる。
俺はコスプレすることが趣味で月に一回ペースでコスプレのイベントに参加している。俺は アニメキャラのコスプレをしていた。黒タイツに紺色のスカート。そして青色のブレザーにショートボブの黒髪。
ガチ女装だ。
メイクも勿論ガチ。女性と間違えられることもしばしば。
しかしここは本当に素晴らしい場所だ。海がとてもいい味出してる。
だがめちゃくちゃ暑い。
確か今日は猛暑日とか言っていたような。マジふざけんじゃねえよと思う。
メイク崩れ防止のスプレーをこれでもかというぐらいに吹きかけたが持つかどうか分からない。
コスプレ終了の時刻が来るのが先か、
メイクが崩れるのが先か、
はたまた俺が倒れるのが先か。
――神のみぞ知る。
しかし、女性ってすごいよな。この暑さでメイクが崩れない人は本当に崩れないんですから。
「いいや。もう。今日は早めに室内に戻って、室内でコスプレを楽しもう。」
室内ならばクーラーが効いてて涼しいし、崩れるリスクも減る。
周りの物を片づけ始めて移動の準備をすると「すいません。写真いいですか?」と背後から女性の声が聞こえた。
「はーい。」と明るく、爽やかに返事を返す。
そして笑顔で振り返り――
――相手の顔を見て俺は硬直した。
それは相手も同じようで、目を点にさせていた。
なぜならば
その時声を掛けたのは――
同じ学校の
同じ学年で
同じクラスの…
隣の席の人だったから………。