探偵社の切り札
「しばらく出番は無くなりそうだね。莉玖」
「瀕死の状態ですし、仕方ないですよ」
「治療(物理)を始めるわよ〜」
…この時雅也は思った。
この人に治療されるぐらいならいっその事死にたいと…
「うちの社長だよ」
「えっ?」
社長。天凱探偵社の設立者。
玲の言葉から察するに、社長はウロボロスに対抗する程の能力を所有しているのだろう。
「どんな人なんです?」
蓮馬は社長に面識がない。
ここに来て、2日程しか経過していないのだから当然だろう。
「やばい人だ。元オロチの俺でも勝てない。時間的にそろそろ帰ってくるはずだろ」
探偵社の扉が開く。
「帰ったぞ」
そこには、和服姿の男性が立っていた。
少しばかり白髪が目立っている。
「おかえりなさい社長」
「あの人が社長何ですか?」
「あぁそうだ」
玲は、汗をかいている。
表情を見ても緊張しているようだ。
それほどまでに強い能力者なのだろう。
「君が新入りの黒崎蓮馬か?」
「えっ?はいそうです」
「ここの社長を勤めている天凱 涼だ能力名は天の川」
「よろしくお願いします」
「関係ない質問で申し訳ないんだが…」
「なんです?」
「君は猫が好きか…」
あまりにも急だし、関係なさすぎたのでスルーした。
「オロチに遭遇したのか…不運だったな」
「全くですね。しかも、蓮馬にとっては初の依頼だったので」
「黒崎、ヤツら…いや、榊原はなんと言っていた」
社長は俺のことを黒崎と呼ぶようだ。
「なんか…歴史の空白を埋める者だとかなんだとか」
「…それは本当に言ったんだな?」
「はい、そうです」
「まずいことになったな」
「えぇ。いち早く対応策を打たないと」
「その、歴史の空白って何なんですか?」
「…一応、お前にも話しとくか…」
玲が深刻そうな顔をして言う。
「消失した世代の事を」
「玲さんの能力ってあの赤い羽根みたいなやつですか?」
「合ってるが詳細はまだ言わんぞ」
次回「消失した世代」