episode1 契約
「私と契約してみないか?」
それは俺の何の変哲のない日常を終わらせた一言………
◇◇◇◇◇◇◇
何気ない1日 何気ない日常
ではなく今日は修了式の日
そんな日、俺は…………
遅刻した………
「ぎゃぁぁ、寝坊したーーっ!!」
ドタバタドタバタ
ドシーン
「グヘッ」
コケた……盛大にコケた
俺は今は自分の部屋でひっくり返ってた
「はぁ~、何してんだろ俺………」
つくづく自分に腹が立つ
昨日ようやく始まる新しい深夜アニメを見ようと起きていたら妹に邪魔され見ることができずかと言って寝る訳には行かない。
だって授業中と昼休みを散々睡眠に費やしたのだから……………
なのに……なのに……
「結局あのアニメは見れないし遅刻するし…………。はぁ~」
とりあえずは着替えを済ませてさっさと学校へ行こう
あ、着替えの描写は飛ばす
だって野郎の着替えシーンなんて見たくないだろ?当然俺も見たくない
◇◇◇◇◇◇
はぁ~
盛大に怒られた………山崎に…………
山崎って言うのは俺のクラスの担任
小言のうるさいハゲ爺だ
まぁ、爺と言っても40くらいだ
「ま、今日は修了式だけだしさっさと校長と山崎の口うるさい小言聞いて帰って寝よう」
「え?お前そのまま帰るのか?」
声をかけて来たのは親友と書いて悪友と読む富田だ
身長は185㎝と高め。スラッとしてるしスポーツも出来る…………というかこいつ部活の助っ人をしている………スポーツ系だけだが
しかも爽やか系イケメンときてる………
こいつが親友でなければ下剤とハッカ油をブレンドした特製ジュースを飲ませたものを………
「何故睨む?」
「あ?あ、あぁすまんすまん。ちょっと世の中の不条理に打ちひしがれてたんだ」
「不条理?」
「いや、気にすんな」
おっといけないいけない。イケメンなんぞ皆死んでしまえと思っている俺だがこいつだけなら許せる。何故なら
「なぁ?そんなことよりとっておきのエロ本みつけたんだ!!」
そう………こいつはかなりの残念な奴だ
そんな性格してるせいか全くモテない
モテる要素しかないのにモテない
あ?俺?俺はな
「は!?マジ!?どんなの?」
こんな風に乗ってしまう
だからモテない、きっとそうだ………そうであってほしいなぁ~
「妹系」
イラッ
「お前………やっぱ死ね」
「なんでだよ!!妹系だぞ妹系!!」
忘れてたがこいつは紳士だ
超がつくほどのな
「今日の俺には妹を含む言葉は厳禁だぜ?」
「なんで?」
「あいつに俺の見たかった深夜アニメをスポーツ中継見るとかで邪魔されたから」
「別に深夜アニメくらい見なくても」
「いや!!その深夜アニメは2ヶ月前から楽しみにしてたやつだ!!みたいんだよ!!」
「どーせ、録画してんだろ?」
「当然だ!!」
「ならいいだろ」
「いや深夜アニメはリアルタイム見るもんだ」
「はぁ~よくわからん」
まぁ、ようするに俺はにわかのオタクだ
どれもこれも中途半端
勉強もスポーツも………そして
「お兄ちゃん!!」
あー、うるさいのが来た
「なんだ美緒か」
美緒………俺の妹にして俺のイライラの原因
しかしこいつはかなり可愛い。なんせクラス…いや学校で3番目に入る美少女だ
黒みがかった茶髪で正面からみて右側にサイドテールをしてる髪型だ
「なんだとは何よー。せっかく冴えないお兄ちゃんの為に一緒に帰ろうと思ってきてあげたのに」
嘘をつくな。お前の目的は富田だろ
顔だけはいいからなこいつは。性格は別として
「うるせー。富田貸すから俺に構うな」
ったく、高校入ってからこいつのわがままが激しくなったな
あ、そういえば俺の容姿がまだだったな
身長175㎝、痩せてるわけでもなく太っているわけでもなく、かと言ってゴリマッチョや細マッチョの類ではない
ようするに中途半端ってことだ
あ?顔?顔は良い方だとおもうぞ。10人中2人が振り向く微少年だ
「やったー!!お兄ちゃん大好き!!」
「へいへい、ありがとー」
「うわっ、凄い棒読み」
「そのお兄ちゃん大好きの部分は富田に言ってやれ」
「え?なんで?」
「いいからやれ」
「はぁ~い。お兄ちゃん大好き!!」
ブシャァ~
あ、富田が鼻血吹いた
…………よし、ほったらかしにして帰ろう
「と、富田さん!?どうしたの?大丈夫!?
お兄ちゃんどうし………あれ?お兄ちゃん?」
「我の人生で一辺の悔いなし」
◇◇◇◇◇◇
さて帰って寝よう
にしてもさっきから向こうが騒がしいな
キキィー
は?
「は?」
◇◇◇◇◇◇
目の前には横断歩道の真ん中で止まったトラック
その下には何かを引きずった赤い跡
やべぇ、事故現場に遭遇しちゃったよ
ん?あれ?あの顔……………
俺だ………俺がいる
は?意味わかんねー
なんで俺が俺の引かれた姿見てんだよ!!
俺は今ここに立ってる
なのに…………なのにあそこにいるのは俺だ………
なんでだよ
「そりゃあお前が引かれて死んだから魂としてそこに立ってんだよ」
!!!!
後ろに和服っぽい服を着た見た目10歳くらいの少女が何故か身の丈以上の鎌を持って立ってた
「は?死んだ?俺が?」
「あぁ、死んだんだよ、お前」
嘘だろ………
「あ、でも別世界に行って蘇れるぞ」
「ど、どういうことだ?」
「こっちの条件を呑んでくれたらな」
「………わかった」
「お前は断罪の執行者となって私の手足として動いてもらう」
「俺が?」
「他に誰がいる?」
「それもそうだな。で、どうやってなるんだ?」
「そりゃあ簡単だよ」
そしてそのセリフが紡がれる
「私と契約してみないか?」
俺……佐山 龍二の日常を終わらすセリフが
一応転生もの