表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

不思議ちゃん 昌平

 僕は最近、屋上である少女とお昼を共にしている。

 そしてその少女はというと……座禅を組んで両手を挙げ、うんうん唸っていた。相変わらず理解に苦しむ。

 思えば教室に馴染めず、ここに来てからずっとこの光景を眺めている気がする。ずっとといっても数日だが。


 「あの、今日は何やってんですか」

 「邪魔しないで。気が散るから」


 僕は邪魔にならないよう近くに胡坐をかいてじっと待つ。

 やがて終わったのか目を開け、ふぅ、と息を吐く。


 「あ、終わりました?」

 「ん。今日のノルマは達成」


 言い終わると同時にぐう、と腹の虫が鳴る。その虫の主は僕ではなく、彼女だ。


 「はい、どうぞ」


 購買で買ってきたカレーパンを手渡すと、機敏な動きでひったくり、封を開けて貪り食う。よほど腹が減っていたらしい。

 その様子に苦笑しながら僕もサンドウィッチを食べる。


 「にしても、毎日よくやりますね。えっと、儀式?」


 「そう、私はある目的のためにこの儀式を毎日行わなければならない」


 「目的って?」


 「……」


 すると彼女は黙り込んでしまった……地雷踏んだ?

 沈黙で場の空気が押し潰される中、気まずくなった僕は彼女をちらり、と見ると、彼女の頬には薄く朱が刺していた。


 「……友作り」

 「へ?」


 ぼそっと呟かれた言葉に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。


 「私……友達いないから。でも、どうやって作ればいいのか分からないし……」


 僕はそれを聞くなりため息をつき、徐に立ち上がって彼女の前に手を差し出す。


 「僕も、友達いないからさ、よかったら――」


 彼女は、おぼつかない手つきで僕の手を取ってくれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ