不思議ちゃん 昌平
僕は最近、屋上である少女とお昼を共にしている。
そしてその少女はというと……座禅を組んで両手を挙げ、うんうん唸っていた。相変わらず理解に苦しむ。
思えば教室に馴染めず、ここに来てからずっとこの光景を眺めている気がする。ずっとといっても数日だが。
「あの、今日は何やってんですか」
「邪魔しないで。気が散るから」
僕は邪魔にならないよう近くに胡坐をかいてじっと待つ。
やがて終わったのか目を開け、ふぅ、と息を吐く。
「あ、終わりました?」
「ん。今日のノルマは達成」
言い終わると同時にぐう、と腹の虫が鳴る。その虫の主は僕ではなく、彼女だ。
「はい、どうぞ」
購買で買ってきたカレーパンを手渡すと、機敏な動きでひったくり、封を開けて貪り食う。よほど腹が減っていたらしい。
その様子に苦笑しながら僕もサンドウィッチを食べる。
「にしても、毎日よくやりますね。えっと、儀式?」
「そう、私はある目的のためにこの儀式を毎日行わなければならない」
「目的って?」
「……」
すると彼女は黙り込んでしまった……地雷踏んだ?
沈黙で場の空気が押し潰される中、気まずくなった僕は彼女をちらり、と見ると、彼女の頬には薄く朱が刺していた。
「……友作り」
「へ?」
ぼそっと呟かれた言葉に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「私……友達いないから。でも、どうやって作ればいいのか分からないし……」
僕はそれを聞くなりため息をつき、徐に立ち上がって彼女の前に手を差し出す。
「僕も、友達いないからさ、よかったら――」
彼女は、おぼつかない手つきで僕の手を取ってくれた。