24話 4D:スフィア3
4日目、ログインから1時間。
ユリスティアと俺たちは、ユンデ砦に辿り着いた。
本砦からここまで来るのに2分ちょっとで来てしまった。
直人も俺たちに少し遅れて到着した。
途中で増援部隊を追い越して来たが、彼らもあと5分ほどで着きそうだ。
ユリスティアは、まだ余裕がありそうな走りだったが、俺たちが追いつけなくなると速度を少し落としてくれていた。
どんな鍛え方したらあんなに速く走れるんだ?
砦に着くとユリスティアは俺たちを連れて砦の外壁へ登っていく。
そこには皮鎧を着た巨漢と、妖艶な雰囲気を纏った若い女性がいた。
その近くには数名の若い弓矢兵が戦場に援護射撃を行っているようだ。
「ガトラ、今着きました。戦況はどうなっていますか?」
「よう!嬢ちゃん、来たかい!しかし今さっき嬢ちゃんが来るって聞いたばかりで、もう着くとは相変わらず足が速いな! 戦況はまだ最悪ではないが、すぐに最悪になるって感じだ」
「モーラ、シラブルに私達がユンデ砦に着いたことを報告、そして、正確に現状の戦況を報告して下さい。以上です」
ガトラと呼ばれた巨漢の戦況報告は漠然としていると思ったが、ユリスティアはすぐにモーラから詳しい報告を聞くことにした様だ。
「がははは!!!嬢ちゃん、相変わらず短気だな」
傷ついた風でもなくガトラと呼ばれた巨漢は、大笑いして頭をガシガシと掻いている。
そうしてモーラから報告を受けたユリスティアは、俺たちをユンデ砦の責任者であるガトラと通信兵であるモーラに手早く紹介してくれた。
「じゃあ、その御神体に憑依している少年達が、この戦いの支援をしてくれるのか。おい!御神体のガキども!邪魔になる様ならすぐに戦場に叩き落とすからな!気を抜くなよ!」
脅しの様な言葉と幾つもの深い傷が刻まれたガトラの顔が俺たちを睨み付けるが、俺には「死ぬな」と言っているように聞こえた。
「邪魔にならないようにします!」
俺はそのガトラの瞳を見て気を引き締めた。
俺たちから見るとゲームかも知れないこの世界でも、強い精気の瞳を持つガトラ達。
その瞳を見ていい加減な気持ちで戦いに参加するべきじゃないと改めて思った。
「じゃあ、援軍が来る前にワシも出るぞ!」
そう言うとガトラは、ユリスティアが止める間もなく高い外壁から飛び降りて、猫のように着地すると戦場へ行ってしまった。
戦場では、まだ魔獣の数は減っていないが、兵士の方は負傷者が何名か出ている。
俺たちはここに来る前に、ユリスティアから今回の魔獣や魔獣を操る魔人族について簡単に聞いていた。
「あ!ガトラさん、もう一匹倒したよ!凄いわ」
戦場を見ていた友美が、ガトラの戦いの成果を嬉しそう報告してくる。
だが次の瞬間、ガトラの近くにいた兵士が、「炎の熊」に切りつけてしまった。
熊の血が兵士に降りかかると同時に兵士は燃え上がった。
ガトラがすぐさま指示を出して近くの兵士達が大量の水を兵士にかけて炎を消し、砦の近くまで引っ張って来る。
すぐに一人の衛生兵が砦から駆けつけて、重度の火傷で呻きを上げている兵士に液体をかけている。
すると見る間に火傷でただれた真っ赤な皮膚が、再生を始めているのか肌色に戻っていく。
「ユリスティア、あれが『聖樹の雫』なのか?」
熊の魔獣の血が炎となったことに驚きつつも、酷い火傷を負った兵士が癒やされるのを外壁の上から見ていた。
「そうです。戦場では重宝な回復薬ですが、炎の熊との戦いでは必須の物です。今回も追加を増援部隊が運んで来てくれます」
「しかし、炎の熊って言うのは本当に厄介そうな魔獣だな」
「はい、鎖網で動きを封じようとするのですが、あの力と血液が厄介です」
ーー 「炎の熊」ーー この魔獣は、体長3メートル以上の巨大な熊型の魔獣で動作は「蒼の風」より遅いが、あの人の胴体ほどもありそうな太い腕と大きな鋭い爪で人をなぎ払えば、一気に人はミンチの状態になってしまう強力な力を持つ。
しかし、「炎の熊」の最も恐ろしいことは、傷つけた時に飛び散る緑の血だ。
炎の熊の血は、空気に触れると瞬時に燃え上がり炎を上げる。
熊を傷つければ傷つけるほどに血が飛び散り、血を受けた者は松明のように燃え続ける。
炎の熊自体も炎に包まれるが、毛皮は炎に耐性があり熊自体の出血が収まれば、自然と消える。
しかし炎に包まれた熊は、まさに炎の熊となって手が付けられなくなる。
炎の熊との戦いは、まずは傷つけないことだ。
次に動きを止めて頭を切り落とすか、魔核を打ち砕くとこだが魔核は位置が不確定であるため、頭を潰すか切り落とすしかない。
頭を切り落した後では、出血しても血は燃え上がらない。
不思議な血だ。
先ほど兵士が傷を付けた魔獣は、炎の血を振りまきながら暴れ始めている。
ガトラと兵士達は押さえ込もうとタイミングを狙うが、他の魔獣が邪魔をして炎が周りに飛び散り段々と被害が増え始めてくる。
他の魔獣もその炎を見て激高したのか、兵士達への攻撃が激しくなってくる。
戦いの均衡が崩れた。
兵士達が徐々に傷つき負傷していく人数が増えていく。
砦から交代の兵士が出てくるが、戦況は明らかに悪くなってくる。
<マスター、地形と状況を把握しました。支援を開始しますか?>
暫く無言だったフタバが、俺に声を掛けてきた。
<戦況は悪くなってきているが、俺たちであの炎の魔獣を倒せるのか?>
<はい、マスター。あの数ならすぐに掃討可能です。どうしますか?>
フタバと話している内にも2名の兵士が、魔獣の攻撃で腕と足をもがれていく。
<フタバ、すぐに始めてくれ。俺たちはどうすればいい?>
<マスター、それではフタバが直人様と友美様に念話を行う事の許可願います>
<許可する!速く急いでくれ。被害が増え始めているから>
<分かりました。直人様、聖樹の室から持ってきた5枚の板を、フタバが指示する位置に投げつけて下さい。少し位置がずれても木片の制御をフタバが行えるので問題ありません>
フタバの指示で直人は10センチほどの白い板5枚を力強く投げていく。
初めは真っ直ぐに飛ばないかと思ったが、思いの外フタバが示す位置に飛んでいく。
一度、投げるのを失敗してあらぬ方向に飛んでいきそうだったが、飛んでいく途中でカーブを描きながら目的の場所に刺さった。
フタバが板の飛び方を制御しているみたいだ。
全て投げ終わると板は、戦場を半円に囲むようにほぼ等間隔に岩や樹に突き刺さっている。
『こんなもんでいいのかな?フタバさん』
<はい、ありがとうございます。直人様。後は直人様からもお力をお借りしたいので、マスターの背中に手を当てて頂けますか?>
『分かった。これでいい?』
直人の木人形の手が俺の背中に押し当てられる。
<はい、直人様。暫く手が離れないように吸着させてもらいます>
そう言った後、フタバは俺にも聖樹から持ってきた2つの白い棒を組み立てる様に指示してきた。
50センチの棒は「ト」の文字の様に小さな突起があり、そこに10センチの円筒形の棒を接続する。
ちょっと不格好な銃の様だ。
<はい、マスター。今は銃として利用します>
フタバは俺の考えを読んですぐに答えてくれた。
『ねえねえ、フタバちゃん。私は何すればいい?』
友美が何かしたいと思ったらしく、割り込んでフタバに聞いてくる。
<友美様は、戦場以外の場所で何か気が付いたことがありましたら、すぐに教えて下さい>
『分かったわ。……魔獣を操っている魔人族を見つければいいのね』
そう自分で納得して、すぐに友美は戦場の向こう側の谷間に繁茂する木々や茂みに鋭い視線を向け始める。
確かに戦場には魔獣しかいないので、どこかに魔獣を操っている魔人が隠れているのかも知れない。
勘の鋭い友美なら何か見つけられるかも知れない。
<マスター。本来のガーディアンの能力が発揮できれば、今から行う事は不要ですが、まだ万全ではないのでマスターと直人様の能力をお借り致します>
<俺たちの能力?そんな物があるのか?まあいいか、使えるなら使ってみてくれ>
『分かった。フタバさん、よろしく』
<ありがとうございます。マスター、直人様。それでは開始します>
そうフタバが宣言した次の瞬間には、戦場で動く魔獣はいなくなった。
全ての魔獣の頭が蒸発して即死だった。
~~~~~~
後から友美にも聞いたが、フタバが作戦を開始したその直後には全て片づいたらしい。
その一瞬の間に何が起こったか。
俺が覚えているのはこんな事だった。
突然自分の思考の殻が壊れて、無限に続く広い世界に意識が繋がった様な不思議な感覚。
それと同時に木人形の視覚聴覚から切り離されていく。
まるで小さく窮屈な卵に閉じ込められていた肉体が、殻を破って広い世界に出られた時の様な清々しく解放された感覚を味わった。
<マスター、直人様。いま『個』の領域を解放させましたが、意識を強くお持ち下さい。そうしないと『個』の意識が拡散してしまいます。すぐに作業を終えて『個』の領域を閉じます>
<フタバ、この広い世界はなんだ?>
<ここは、『個』の帰る場所『全』と言う領域の最も外側に位置します>
『全』という不思議な世界をもっと見たいと思って意識を向けると、遠くの方に暖かく心が幸せに満たされるような不思議な光りが見えて、俺の意識はフラフラとそちらへ行きそうになった。
<マスター、余り『全』の領域を覗かないで下さい。『個』に帰ることが難しくなってしまいます>
<わ、わかった>
フタバの注意で、俺はハッとして意識を無理矢理そこから引き離した。
何だ?あの『全』と言うのは?
<マスター、直人様。今は『全』の領域については忘れて下さい。この領域に来たのは、お二人が見て聞いて感じた戦場全体情報から魔獣の殲滅を行うための解答を出すためです。既に解は得られましたので『個』の領域を閉じます>
<え?もう何か分かったのか?それなら俺と直人がここに来ることもなかったんじゃないのか?>
<いいえ、解を求める入力情報は多いほど正確になります。それを短時間で処理するためにこの『全』の領域に来て頂きました。それにここで求められた解を『個』で利用するためには直人様のお力も必要なのです>
<分かった、今は魔獣を何とかすることが最優先だな>
<はい、マスター。意識を『個』に戻すと暫くは肉体に同期しないため周りの環境より、思考が高速になります。それを利用して一気に魔獣を撃退します。『個』に戻りましたらフタバの指示で銃のトリガーを引いて下さい>
<それでは『個』に戻します。マスター、直人様>
<分かった>
『了解』
ギュッと体が何処かに押し込められる感じがした。
これが『個』の領域に戻る感じか。
すぐに木人形の視野が戻ってくる。
戦場は停止した様に見えたが、ほんの微かに魔獣や兵士達が動いている。
ガトラは何処にいるかと考えた瞬間に視野の一部が、戦場の一角を拡大した。
そこには2頭の『炎の熊』に挟まれ、今まさにガトラに向かって魔獣の爪が迫ろうとしている瞬間だった。
<マスター、まずはあの2頭を倒します。表示されているポイントを2回撃って下さい>
<分かった。けど銃を撃つなんて初めてだぞ。当たるのか?>
<大丈夫です。フタバがマスターの照準を補正します>
俺はフタバが示した場所 ーー 直人が板を飛ばした所 ーー に銃を向けてトリガーを2回引いた。
不格好な銃の何処にこんなエネルギーがあったのかと思うほど強い閃光が2つゆっくりと銃口から出てくる。
閃光は、ゆっくりと動きながら銃口から出て、狙った板の方に進んでいく。
なんだ?あんなにゆっくり進んで当たるのか?
<マスター、次を狙います。直人様、解の情報を更新します。…終わりました>
<マスター、表示されたポイントを再度撃って下さい>
今度は3カ所のポイントが表示された。
銃口をポイントに向けるのに少し苦労したが、そこに向けてトリガーを引いていく。
そこでもさっきと同じように閃光がゆっくりと銃口から出て、狙った3カ所のポイントに進んでいく。
まだ最初の閃光も狙った板に到着していない。
<マスター、さらに次を狙います。直人様、解の情報を更新します。……終わりました。直人様、もう少し辛抱をお願い致します>
『わ、わかったよ、フタバさん』
少し直人が苦しそうだ。
「大丈夫か?直人」
『ああ、まだ大丈夫だよ』
<マスター、最後の狙うポイントを表示します。今度はあそことあちらを10回と4回撃って下さい>
<おお、分かった>
俺はフタバの指示したポイントに銃口を向けるのが段々と重く苦しくなって来たが、それでも計14回撃ち続けた。
そして終わった後で最初の閃光を見ると、ようやく狙った板に着弾する所だった。
<マスター、もう少しで高速思考が切れます。今のうちに魔力光弾の反射制御を微修正します。……終了しました。後は放っておいても問題ありません。既に魔獣の全滅は確定されました>
<え?あの閃光が魔力光弾ってことか?それにまだ魔獣のどれにも当たっていないぞ?>
<はい、マスター。あの光りが魔力光弾です。あのレベルの魔獣ではもう今の魔力光弾を避けることは出来ません。それにより全滅と確定しました。マスター、高速思考が切れます。若干のショックがあります。ご注意下さい>
~~~~~
戦場は魔獣の唸り声や兵士達の叫び、剣や鎧がぶつかる音などが溢れかえっていた。
友美は戦場の向こう側に潜むかも知れない魔人を見つけようと、手を双眼鏡の様にして観察していた。
ただ、手をそんな形にしても良く見えるはずもなく気分的にそうしていただけだった。
そしてフタバの作戦開始の言葉を聞いた次の瞬間には、戦場から音がしなくなったことに気が付いた友美は驚いて外壁から戦場を覗き込むと、そこには頭が無くなった魔獣達の屍と、それを呆然と見詰める兵士達が立っていた。
友美は隣にいるユリスティアを見ると、ユリスティアも驚いて立ちすくんでいるようだ。
友美は、ハッとしてトシヤと直人を見る。
トシヤと直人の木人形が力なく倒れそうになっている。
慌てて駆け寄り支えるが、すぐに自分で立ち上がった。
「大丈夫?トシヤ、直人」
「ああ、俺は大丈夫だ。ちょっと戻った時に立ちくらみしただけだ」
「僕も同じだけど、まだ頭が熱を持っているって感じがする」
<マスター、支援は完了しました>
<ありがとう。フタバ>
<マスター。直人様の頭が熱いと感じるのはすぐに冷めると思いますが、もし変化しなければ直人様のガーディアンを再調整致します。その様に直人様にご報告をお願いします>
俺が直人にフタバの話しを伝えている時、戦場の向こう側で一羽の黒い鳥が飛び立った。
俺は直人に話しながら何となく戦場でまだ呆然としている兵士達を見ていたが、友美が急に黒い鳥を見てソワソワして話してきた。
「ねえ、トシヤ。あの黒い鳥、なにか嫌な感じがするの。どうしてだろう?」
<マスター!あの黒い鳥を打ち落として下さい。早くお願いします>
<分かった>
俺は訳も分からずフタバに言われるままに、遠くへ飛び立とうとしている黒い鳥に狙いを定めて銃を撃った。
撃った瞬間に光りの速さで光弾が黒い鳥に着弾したと思ったが、鳥に当たる直前で弾け飛んでしまった。
まるで光弾を打ち落としたように。
<マスター、光弾を弾き返されました。上位魔獣です。あれは魔人の監視魔獣と思われます。友美様の兵器を使います。友美様が持ってきた棒をあの魔獣に力一杯投げつけて下さい!>
「友美、フタバが持ってきた棒をあの鳥に投げつけろと言ってる。出来るか?」
「無理だよ。もう2、300メートルは離れているよ」
<大丈夫です。ガーディアンの力とその武器であれば出来ます>
「木人形とその棒でなら出来るそうだ。まずはやってみよう」
「分かったわ、やってみるけど失敗しても責めないでよね」
そう言うと友美は、背中に張り付いていた1.5メートルほどの棒を持って、やり投げの様に振りかぶり力を込めて投げ出した。
スポーツ万能な友美の綺麗な投擲フォームで棒は唸りをあげて飛んでいく。
手を離した瞬間に棒は鋭い槍に形を変え、左右に小さな飛行機のような羽が作られた。
すぐに失速して落ちてしまうと思われた棒は、どう言う原理か分からないが加速したように音もなく高速に黒い鳥に迫っていく。
鳥も鋭い槍が迫ってきたことに気が付き、回避行動に出るがその時にはもう遅く、光弾の様に跳ね返すことも出来ずに串刺しにされると爆発してしまった。
「うそ、ここから届いたの?」
自分で投げて届いたことに驚く友美だが、投げた棒が変化して尚且つ加速したから当たったと思う。
<あれでいいのか?>
<はい、多分マスター達の存在は知られてしまいましたが、詳しい情報はあの黒い鳥を倒したことでまだ入手できないと思われます>
<それはフタバが心配していた敵対する何かか?>
<はい、マスター。嫌な奴です>
その時、戦場から歓声が聞こえてきた。
ようやっと魔獣が殲滅されたことを理解したようだ。
隣に誰か歩いてきた。
横を見るとユリスティアが、感動と感謝した様子で跪いてくる。
「トシヤ、直人、友美。ありがとう。…本当にありがとう。あの炎の魔獣の殲滅が無ければ何人もの兵士が亡くなっていたでしょう」
「ユリスティア、やめて!」
慌てて友美がユリスティアを立たせる。
「そうだよ。俺たちも何が出来るか分からなかったから、結果オーライと言うことでいいじゃないか」
「結果オーライ?」
「おっと、こっちだとどう言うんだろう。万事順調って事かな?」
「……そうですね。これは嬉しい出来事です」
そう言ってユリスティアは、俺たちを魅了するような笑顔を見せてくれた。
カンカンカンと外壁の階段を登ってくる複数の足音が聞こえてくる。
「おまえ達があれをやったのか!??」
先頭にいるガトラが俺たちに勢いよく聞いてくる。
それに押されるように俺たちは後ずさりながら返事をする。
「そうですが、ガトラさんもお怪我がなく良かったです」
「おまえ達が助けてくれなかったら、いまこうしていなかったぞ!見直した。ありがとうよ」
そう言うと巨漢のガトラは、俺たち3人の木人形を抱え込んで抱き締めてくる。
力強い抱擁で木人形がメキメキと音を立てるが、気にした様子がない。
「ガ、ガトラ!!トシヤ達が潰れてしまいます。離しなさい!」
慌ててユリスティアが止めに入ってくれなければ、腕の一本は折れていたかも知れない。
「あ、悪い悪い。大丈夫か?済まんな。いつも妻には注意されているんだが、つい力が入っちまう」
「い、いいえ。だ、大丈夫です」
ガトラに友美が苦しそうに答えてくれる。
俺と直人は先の支援での疲れか、木人形の力が出なくて座り込んでしまった。
「大丈夫ですか?トシヤ、直人」
「ああ、大丈夫。ただ力が出ないんだ」
ユリスティアが心配そうに聞いてくる。
その時、フタバが俺に話しかけてきた。
<マスター。お腹が減りました>
ここまでお読み頂誠に有り難うございます。




