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「ちゃー!」


結構な時間を掘っていただろうか、やがて土の中から柔らかな毛皮が顔を出した。少女は鍬を放り捨てて直に手で掘る。そこから出てきた冷たいモノは少女が可愛がっていた仔犬で間違いなかった。少女はゆっくりと仔犬を抱きかかえた。冷たくなった仔犬は息をしておらず、土が全身にこびりつき変な臭いがした。


「ちゃー、なんで返事してくれないの。なんで?」


少女には生き物の死がどういうものなのかまだ分からなかった。必死に仔犬に呼びかける、が、仔犬は返事をしない。


「どうしたらまた遊べるの。ねえ、ちゃー動いてよ」


仔犬が再び元気に動きだすことを、少女は強く願った。目を閉じ、心の中で必死に生きている時の仔犬を想像する。何故か少女の周りから音は消え、母犬が耳を伏せて少女から距離を取るように後ずさっていった。


「お願い……【  】、ちゃーを元に戻して」


その言葉の直後、少女の周りを大きな影が覆った――


「きゃうん!」


犬の声がした。少女が目をそっと開けると、抱いていた仔犬が少女の顔を見上げている。


「ちゃー! よかったぁ……」


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