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サクラがもっと小さい頃、サクラの実家では犬を飼っていた。もう顔も忘れてしまった両親が番犬として大きな犬を飼っていたのだ。元は山犬だという話があったが、とにかく大きくて真っ白な犬だった。

その犬がある年の春に仔犬を生んだ。これ以上犬を増やすつもりのなかった両親は引き取り手を探し、最終的には1匹以外は全て貰い手がついて家からいなくなった。

残った一匹というのは何故か親とも兄弟とも異なり薄汚れたような黒茶色をしていた。貰い手がつかなかったのはきっとその見た目のせいであろう。しかし、当時のサクラにはその黒茶色の仔犬がむしろ皆と違って特別な存在のように思えて心から可愛がっていた。

貰い手が付かなかったことから、仔犬はそのまま家にのこり、サクラの愛犬となった。




サクラが牛小屋に戻ってから暫くすると、微かにだがアサの家から当の客人とアサの会話が聞こえてきた。耳の良いサクラにはその会話が聞こえていたが、それは現国王の容態が良くないから今年の実りが心配だといったサクラには分からない内容ばかりであった。

サクラは牛小屋の隅で藁の端を指で弄りながら、ただただ時間が過ぎるのを待っていた。あの事件の時、自分が何をしたのかサクラ自身にはまだよく分かってはいなかった。しかし、村人の態度があの事件を境に変わり、自分の環境も急激に変わってしまったことだけは分かっている。


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