二十一
不確かなのに確実だと断言できる。きっと自分は何かをしてしまったのだ。そもそも、たった一匹の仔犬が蘇ったところで影響なんて高が知れている。そうじゃない何かを起こしたからこそ、あれは事件として、周囲一帯の村からも忌み嫌われる結果となったのだ。サクラはまだ震える自分の身体を落ち着かせながら、それが何なのかに頭を巡らせる。
牛たちがサクラの方を落ち着かない様子で見ていることに気づき、サクラは大きく息を吐いた。
(……でも夢は夢、わたしが真実を知りたくてもどうしようもできない。こうして夢で思い出す方法しか過去を知る方法はないのかな?)
昨日のボウの様子を思い出しサクラは考えた。
(子供は知らない。でも、逆に大人たちは知ってる。わたしと話す大人はいないけど、どこかに何かきっかけがあるはず……。それはきっと、何でわたしがちゃーを蘇らせれたのかにも繋がるはず。そして、思い出せないけれど、あの不思議な名前にも、)
血のつながった家族から見放され、村を盥回しにされたことにより他者への興味や期待というものが一切無くなっていたサクラは再び真実を知るために感情を取り戻しつつあった。
夜が明け、いつもと変わらぬ太陽が空へと上がった。けれど既にサクラの周りは明らかに変化している。