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「駄目だよ、鳴いちゃ駄目」


農村外れの林を年端としはもいかぬ少女が裸足で走っていた。腕には何か小さく黒い生き物を抱えている。

暗い夜道には強い腐臭が漂っていた。


「鳴いたら見つかっちゃうからね、」


少女は麻袋を引き裂いたかのような襤褸ぼろを身に纏い、手脚には相当な量の泥の跡が付いている。どのくらいの時間走ったのか、少女にはもう分からなかった。


(……どうして、どうして、みんなこわいよ……何にも悪いことしてないのに……)


音の無い闇がどこまでも続くような錯覚に陥りそうになった中、きゅうん、とでも形容するだろうか、幼体の動物の頼りない鳴き声が微かに少女の腕の中から聞こえた。


「あ! 駄目っ!」


咄嗟とっさに声をあげるが、その自分の声の方が大きかったことにはっとし、少女は目前の木の後ろに回って後方を見る。

後方には無数の火の手、否、松明を持って自分達を追ってくる村人の群れが見えた。少女の声に反応し近づくそれはまるで、蜷局とぐろを巻いた赤い大蛇のように少女の瞳に映った。



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