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十一


「な、なんだ!?」


重心を崩して仔犬を取り落しそうになった男から少女は仔犬を奪い取ると、そのまま周りの静止の声を無視して村外れへと走り出していった。


(……ちゃーは祟りなんかじゃない、あの人たちこわい、逃げなきゃ、逃げなきゃ!)





音を立ててサクラは藁の山から転がり落ちた。目がちかちかする。表に出るなと命令されてから牛小屋で座っているうちにまた眠ってしまったようだ。今日はもう二度目だ。サクラはあの日、あの場所で何があったのか夢で思い出してしまった。


「そうか……わたしは、死んだ仔犬を蘇らせたんだ」


サクラの手が震える。これまで他の人と自分が違うだなんて思っていなかった。だが、確かにあの日サクラは仔犬を不思議な力で蘇らせた。そして、それを気味悪がって仔犬を焼き払おうとした村人たちに追いかけられたのだ。


「一匹だけ違う色で貰い手がなかったちゃーちゃんと私は一緒なんだ」


今なら分かる。自分がどういう存在なのかが。


(でも、なんで私はあの時、ちゃーちゃんを甦らせれたんだろう……)


サクラの心の中で生まれた、この純粋な疑問への回答はまだなかった。


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