第1話
彼は見知らぬ天井で目を覚ました。
病院の天井らしからぬ、木造の建物である。
首だけを動かすと当たりを見渡した。
傍には金髪の美女が座ったまま船を漕いでいる。
ここは病院..なのだろうか?
傍にいる美女は民族衣装のような服を着ている。事故の記憶はあるがそれ以降の記憶はない。案外、長い間寝て病院じゃない所に移されていたりするのだろうか。
そう一人自分を納得させようとしつつ、ふと思い出した。
「はるは...はるはどうなった?」
とてもとてもか細い彼の声ではあったが、美女が反応した。
「起きた?起きたのか!」
彼女は一安心した顔でこちらを見た。
「はるはどうなった..?」
彼は繰り返す。
「はる?何だか知らないが生きていてよかった。大丈夫だとは思うが見せてくれ。」
彼女はそう言ってこちらの目を見つめてきた。
「はる、俺の息子はどうなったんだ!?」
先ほどまで意識を失っていた男は必死の形相でそう声を荒げる。
「息子だと?森にはお前しかいなかったが...。何よりまずは体を見せてくれ。お前は森の中で死にかけていたんだ。とにかく話は後だ」
彼女はこちらの目を見ながらボソボソと声を出し、右手を彼の心臓の上にのせた。
「ヒーリング」
そういう彼女の声と体を巡る暖かな力。
そして彼の目の前に出る一つのメッセージ。
「カルラがステータスへのアクセスを申請しました。YES NO」
「なっ、なんだこれは?」
「メッセージも知らぬのか??このままでは治療が進まぬ。YESと言ってくれ。」
「い、YES」
目の前に広がる「認証しました。これよりステータスを表示します。」という文字。
彼は混乱しつつも、まるでゲームのようにステータスが表示される。
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名:イチロー
種族:人
レベル:1
HP35/90
MP0/15
ATK:15
DEF:11
MAT:1
MDF:1
DEX:70
スキル 8
特技 2
魔法 2
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「な、なんだこれは?」
彼はそう声を荒げるが彼女は取り合わない。
「ふむ、なんとも歪なステータスだな。だが、何より休息し体力を戻す必要があるな。」
彼女はボソボソと小さく話し、
「スリプル」
そう声を出した。
その言葉とともにきた強烈な眠気に逆らえず彼はまた意識を失った。
処女作です。
短文にはなりますが少しずつ書いていきます。