第七話:誕生会って、二人より大勢の方が…あいや、何でも無い
更新遅くなりました!
中々勉強が手に付きません!
長文大変すみません!
です。
「………歌をプレゼントかぁ……」
やっぱ、チルも知ってる曲にするべきかな…?
だとしたら、俺はネィルン先生の歌しか浮かばないが…。
……あの人の歌は、正直言ってあの歌声しか受け付けない。
要は、俺自身が歌いたくないって事だな。
んー………。
やっぱ、誕生日を祝う歌が良いよな…。
あ、いや、でも日頃の感謝を伝えるのもアリかも……日頃の感謝?
………ま、そんなもん、捻り出せば出てくるだろ。
どうしよう、マジで悩む……。
「あぁそういや、しずはにもこうして歌ってやったっけ……」
俺からすれば、もう10年以上も前の事だ。
えっと、確か誕生日毎に違う曲を選んだっけ…。
よし、歌ったのを上げてみようか。
・愛言葉
・七ノ歌
・ふたりごと
・いいんですか?
・ただ ありがとう
こんな感じになる。
……ま、RADWIMPSが多いのはしょうがないとして。
あれ?ってか、別に一曲じゃなくても良いのか…?
この五曲全部歌うとして、掛かる時間は……30分にもなんねーか。
なら、これで決定だな。
んで、「あれ?アカペラで歌っちゃうの?」と思った奴。
……ふふ、俺が神から貰った能力、その二だ!
…あ、いや、【祝言歌】も合わせたら三つ目だけど……。
細かい事をぐちぐち言うな!
…ん、この世界には、音楽を聴く為の媒体が二つ有る。
まずは、科学技術の結晶であるレコード的なの。
剣ぶら下げてる時代だから、正直有るのはすげぇと思う。
んでだ。
後もう一つが、俺にとっちゃ超重要で……。
「なぁ母さん、『録緑石』使っても良いかな?」
「あら、またアイディアでも浮かんだの?」
その名も、【録緑石】。
見た目は緑色で縦筋が一杯入った、大体手の平大の立方体の石。
勿論自然界ではごつごつした感じで、立方体な理由は、規格で決まっているからだ。
ちなみに大きさも明確に定義されている。
んで、それのどこが凄いのかというと……。
この石は、【共鳴箱】と組み合わせる事により、無限大の種類の(より正確に言うなら1.2×10の13乗だが)音を出す事が出来る。
ん?録音の仕方?
一般的には、まず未使用のストーンを用意し、そして音入れを行う。
……この音入れ、方法は様々ですっげぇ分厚いマニュアルとか有った筈だけど………俺には関係無い。
つーか、この石作ったの誰だよ……ってなるよな。
ま、聞いたところによると今から1600年前の東の最果ての魔王が発見したらしい。
んで、討伐されて今では人間が我が物顔で使う訳だ。
…ストーンの使い方とか、出す音の種類とか結構綺麗にまとめてあったらしいんだよな。
魔王は悪い奴ばっかって言うが、俺はこの魔王だけは密かに尊敬していた。
だからこそ、今のここの技術じゃ解明出来ないし……【共鳴箱】も最初のを真似て作ってるだけだから、音質が上がったりとかも無い。
…いや、今のままでも最高級の音質だから、これ以上上げなくても良いんだがな。
んでだ。
世のミュージシャン達がこれの扱いに四苦八苦してる中、俺は神のお蔭で随分とチート出来た。
―「なぁ、音源も欲しいんだけど」―
そう言うと、神はこの石について語りだし(七回は訊き直した)、そんで能力をくれたんだ!
そうだな、名付けるなら……「音源ダウンロードしちゃうぜっ!」。
うるせーな、だからセンスよか伝わりやすさだっての。
ストーン自体は……お、まだ結構あんじゃん。
俺はきっかり五つ取ると、ストーンの置き場所である物置から離れる。
じゃ、ま、やりますか。
まずは光の玉を呼び出す。
んで、画面をタッチ、愛言葉を探し出して選択。
「聴く」「プレイリストに追加」「削除する」「音源を取る」
上の様な選択肢が出てきて、俺は一番右を選んだ。
「カラオケ用音源」「アカペラ音源」「生音」
左を選択。
はい終了っと。
ちなみに、この光の玉は魔力とは違うらしく、俺も普通に触れる……つーか俺にしか触れない。
……そのお蔭で、魔盲だなんて予想もしてなかったのに……。
え?
描写がつまらん?
何だそりゃ、ただ単にタッチするだけのをどう面白くしろと?
やってみようか。
中二っぽくな。
「中2モード」、発動。
次は……そうか、「七ノ歌」か。
ふ………凡人共が一月掛かる物すら、俺の手に掛かればほんの一瞬…。
俺は、神聖なる光を召喚する。
この光は、選ばれた物にしか見えな……だぁ、うざってえなこの野郎!
何だこれ!?
これ読んだ奴!今のキャラ、ムカつかねえのか?!
大体、俺に中二せtt『中2モードが強制解除されました』セリフ遮るな!
説明とか良いから!
…あー、無駄に疲れるわ。
俺は、明後日にチルが見せるであろう真っ赤に激怒した顔を思い、ちょっとげんなりした。
……だってあいつ、誕生日の度にものすっげぇ怒るんだもん。
いや、だって。
口調は震えて言葉になってないし、顔は人間とは思えない程赤いし、更には俯いて肩を震わせるんだぜ?
……は?
あいつが恥ずかしがってる?俺からのプレゼントを?
いやいや、そりゃ無いだろ。
だからいつも、「もうちょっとましなのが良かったか……?」って悩んじまうんだよ。
プレゼント渡してんだから、素直に喜んでくれりゃ良いのに。
取り合えず、曲を全て入れ終える事に成功した。
って訳で、物語はほんっとに都合が良い。
もう誕生日当日だ。
チルが帰ってくる前に、チルの家を飾らなくちゃいけない。
ん?チルの出掛け先?
おいおい、ちゃんと前から言ってあると思うが、あいつは今日「異常値測定」が有るんだよ。
……まぁ確かに家でやっても良いと思うが、チルのおじさん曰く「体裁上でも取り合えず店でやらないと、身内贔屓と近所がうるさい」だそうだ。
そう言う訳で、朝早くに出たあいつを、更に早くから玄関近くの植え込みに隠れて待っていた俺は、早速部屋を飾り始めたのだ。
え?女の子の部屋に勝手に入んな?
いやいや俺さ、何か知らんが合鍵なる物まで渡されてんだよ。
わざわざ誕生日の飾り付けを、「合鍵」と言う形で強要してんだろうな…。
図々しいんだか回りくどいのか。
全く、あいつの思考回路はさっぱり読めない。
じゃなく、飾り付けだって。
今日は、例年とは雰囲気を変えようと思っていた。
まず、歌う訳だし…そだな、……あいつ、有るのにベッド使わないし、最早物置と化したこのベッドをステージにさせて貰いますかね。
にしても、チルの部屋はほんとに広いよな~。
まるで、ドラ○もんの空き地じゃないか。
………いや、ほんとに結構広いんだよ。
んで俺は女の子らしく無い、剣を砥ぐ為の石や剣を拭く為の布が落ちている部屋を見回して一つ溜め息をついた。
一人で飾るの、しんど………。
……ん?あぁいや、他の奴等は明日学校でチルの誕生会に参加する(まぁ俺もな)から、今日は俺一人でのお祝いだ。
学校でもやるのに、どうして俺がわざわざ出向かなきゃならないのか。
だがそれを女性に言うと、例外無く誰もが怒る……ので、結局俺は女性陣のご機嫌をとる為にも、こうして一人で祝ってやるのだ。
全く、ここまでしてやってんだから、チルだって俺に惚れてくれても良いんじゃね?
痛っ、何だ突然、意味が分からっ……だ、空き缶投げんなっ!
っくそ、いきなり何だよ……。
読者だからってな、登場人物に空き缶投げて良い訳じゃねえぞ!
あぁ、ってかチルっていつ帰ってくんだろ…?
はっきり言って、昼後が良い。
おじさんの店は結構遠いとか、何かそんな話を聞いた記憶が遥か彼方。
なら、多分昼は過ぎるだろう。
よし、まずはベッドのガラクタ(謎の落書きが描かれた植木鉢から、「わたしのたからもの」と書かれたおもちゃ箱っぽい奴まで様々)共を、部屋の隅に整理しよう。
ん?
あぁいや、この辺りの整理整頓は別に許容範囲らしい。
ただ、綺麗に片付けて三日後にこの部屋に戻ってくると、ベッドはまた悲惨な事になっているのだ。
ふざけんな。俺の労力を返せ。
と言う訳で、俺はベッドからガラクタを運んでいく。
うん、何年も前から同じ物ばっかり積まれてやがる。
流石に女の子の部屋の物を捨てたりはしないが、それでも時々言ってるんだけど。
最早例年の事で、ガラクタ共の定位置も決まってきた。
のに。
何故物が余るのか。
記憶に無い、一冊のノート。
表には何も書かれていないが、どうやら使用中らしいし、ノート自体も新しい。
あ、ちなみにこの世界の紙は、南西の方に有る大陸の製紙技術が凄くて、ほとんど前世と遜色の無い物を使用出来る。
んー………何だろ、あいつ授業中ノート取ってたっけな?
結構頭良いみたいだし、どうやら一度聞いたら覚えてる様だしな……。
ま、中身見りゃ分かるか。
パラ。
一ページ目を開く。
閉じる。
「…………眠いからな、やっぱ朝四時から植え込み待機はやり過ぎたか…」
目をごしごし。
…眠気は無い様だが、まぁ取り合えず、目は覚めた。
パラ。
一ページ目を開く。
閉じる。
「あれ?ひょっとして新手の悪戯か?俺がこれを開けるのを予想して………」
成る程、そう思えば読んでも大丈夫だろう。
一ページ目を開くと、目に入ってくるのは一つの文章。
「もしシルがこのページから先を読んだら、私をお嫁に貰って下さい」
全く、こんなに意味の分からないドッキリは初めてだ。
一体何が書いて有るのか。
……もう一度、脅しなのか誘惑なのかいまいち分からない文章を読む。
冗談、だよな…?
「…………………。」
放置しよう、触らぬ神に祟り無しだ。
あぁ?チキンだ?
ちげーよ馬鹿、ただ単に……俺の第六感が、「関わるのを避けろ」と命令してきただけだ。
本能からの警告には、ちゃんと従えよ?
そんな訳で、ノートは結局部屋の隅に放置。
見た目も考えて、定位置は「わたしのたからもの」に放り込む、という形で解決した。
ふははは、見ろ!
あれだけ汚かったベッドの上が、こんなに綺麗に!
…ま、【共鳴箱】置きますか。
あれから、俺はすっごく頑張った。
ものすっごく頑張った。
んで、部屋を綺麗に飾り付け、そして……何とサプライズプレゼントまで、気の迷いで用意した。
俺はこんなに頑張った。
なのに、それなのにだ。
「んなっ!あ、あんたこの文読んで続き読まなかったの!?」
「どうして怒られなきゃいけない」
理不尽だろ!
大体、読んだらお嫁に貰えとか………明らかに地雷だろ、それ。
読むか。
「なっ…!だ、だって……ほら、読んだら私がその、あんたと……」
「はぁ~……あのな、お前なら俺が同じ事したら、読むのかよ」
「読む」
「だろ?だから、俺も読まねえ」
全く。自分に当てはめて考えて欲しい。
「ちょっ……人の話聞きなさいよ!私読むって…」
「あーほらほら、誕生会なんだからそう怒んなよ。折角の楽しい日が暗くなんじゃねーか」
そう言うと、チルは滅茶苦茶不機嫌そうな顔で、ふっかぁい溜め息をついた。
何コレ、すっげぇむかつく。
だが、今日はチルの誕生日だ。
こいつが怒るのは構わないだろうが、祝う側の俺が怒る訳にもいかない。
俺は「日頃の感謝」とやらを無理矢理引き出すと、二人っきりのパーティーを始めた。
レチル・クローム視点
読まないとか。
読まないとか。
読まないとか。
……あぁもう、分かってはいたけど…ほんっとにこの男は…!
あんな大胆告白(※一方的な勘違い)する位なら、男らしく読みなさいよね……!
…え?異常値測定?そんなのどうでも良いわよ。
今はこのバカの方が重要!
…ベッドに登ってるし。
いつもの誕生日は、あの無駄に高くてテーブルにも使えそうなベッドにプレゼントが置いて有るんだけど……。
あれ、あいつが自分からその上に登る……?
い、いつもはプレゼントが置いて有るところに、自分が登るって事は…。
そそそそんな…///
え、っと…よ、喜んで受け取ると言うか……。
あぁダメ、顔が真っ赤になっちゃう……。
これじゃまたシルに「怒るなって」って言われちゃうよ…………。
けど、私のそんなドキドキは全く要らなかった。
「……歌、歌うの………?」
シルがポケットから取り出した【録緑石】に、後は声を大きく聞かせる為の小型の【共鳴針】。
ベッドの裏から、隠して有ったのだろう【共鳴箱】を取り出す。
え?え?!
う、歌うの?
じゃ、じゃあプレゼントはシルじゃないのか……って、それはどうでも良いもん!
もしかして、聞こえてたのかな、あの日!
私が「シルの歌聞ける人、羨ましいな」って言ったから……?
だとしたら、すっごく嬉しい。
「あー、あー。ん、大丈夫か」
シルは声を確認する様にちょっと出して、それからこっちを見てにっこりと笑った。
この顔!この顔が凄いの!
前に一度だけ、学校で音楽の授業が有ったんだけど……その時にシルが一人で歌ってね、皆聞き惚れたんだから!
歌う時だけいつもの「何かつまんねーなー」みたいな顔じゃなくて、すっごく楽しそうでキラキラ輝いてて……言っても伝わらないけど。
「じゃあ………まぁ、お前がまず知らねえ曲ばっかだけど、えっと……ライブ、やってやるよ」
「うんっ、うんっ!」
すごい勢いで頷く。
後で思い返せば、すっごく緩んだ顔してただろうな~。
いつもみたいな恥ずかしさは無かったから、怒ったとは思われなかったと思うけど……。
「じゃあ、最初の曲!DECO*27さんの、『愛言葉』だ!」
デコニーナさん、か……聞いた事は無い、けど……た、タイトルが…///狙って選曲したんじゃないでしょうね……///
ま、まさか…私に向けた思いとか、入ってたりして…。
シルが【録緑石】の一つをセットして、それから【共鳴箱】の三つあるボタンの内、右端のボタンを押す。
♪~ ♪~
テンポが良い音楽が聞こえたと思ったら、私の意識はトリップしていた。
あうぅ……こういうのキャラじゃないけど、白状しちゃえばまさに曲が紡ぐ…世界?みたいなのに入った感じだった。
もう、私はシルに愛されまくってました。
勿論、『愛言葉』って言う曲に沿って…///
こんな歌、反則だよ……///
これも言っちゃうと、曲が終わってから、私は感動と興奮のあまり泣いていた。
その勢いのままシルに抱き着こうとしたのは、思い留まれたので心の中にしまっておく。
「泣いてくれてありがと……ははっ、チルって結構泣いた顔、可愛いんだな………それじゃ、次の曲!RADWIMPSさんの、『七ノ歌』!」
なのか、という曲が流れてきて、再び私はトリップ。
ごめんね、ほんとはいっぱい書きたいけど……。
ここの話は、恥ずかしいから飛ばす事にします。
シルヴィール視点
まさか、ここまで良いとは思わなかった。
どうして普通のプレゼントは怒るのに、歌はこんなに喜ぶんだ…?
まぁ、俺としては嬉しい限りだが……。
つーか、普段怒ってるか恥ずかしがってるかしてる顔が、緩むとここまで可愛いんだな………。
涙でグシャグシャんなった顔も、中々にそそるしな。
…おっと失敬、今のは忘れてくれ。
取り合えず、歌い終わった俺は、目の前で倒れて動かなくなったチルを、どうしようかと眺めていた。
「うにゅぅ…………もっと歌ってぇ…えへへ~」
キャラが変わってるぞ、おい。
これ、気の迷いで用意したサプライズプレゼント渡したら、どうなっちまうんだ……?
まぁいっか、取り合えず起きて貰う。
「お~い、ライブは終わりだぞ~………戻ってこ~い」
「シル………声がきれーで、笑顔がすてきで、………えへへ~」
あぁ成程。
どうやら、良い音楽に免疫が無かったようだな。
自分で言うのも何だが、今日は「日頃の感謝」とやらの影響か、今までで一番良い感じで歌えた。
音も外れなかったし、歌詞も間違えなかったし、それに何より………何か、心を込めれたっつーか。
…………………。
だぁっ、どうして俺は音楽となるとこっ恥ずかしいセリフを吐くんだ!
俺は気持ちを切り替える様に、チルの意識を戻しにかかる。
…べ、別に誤魔化してんじゃねーよ!ただほら、こいつ倒れてたらスカートで色々不味いってーか……。
見えちゃいそうです、つーか今なら捲ってもばれない……?
そこで捲らない俺、流石だ。
「ほらチル!いい加減目を覚ませ!」
「ひゃうはっ!」
代わりに、頭を踏み付ける。
え?あぁいや、軽くですよ?
別に「ドSモード」じゃねえしな。
「ななっ、ななんあななっ!」
「……言語崩壊してんじゃねーよ、ほら、ライブ終わったぞ」
顔を真っ赤にして飛び起きたチルは、今度こそ間違い無く怒った顔でどもっていた。
「なっ!あんたねぇ、顔踏み付けなくても声掛けるとか!方法有るでしょ!」
声は掛けました。
「いーから怒るな、な?折角の誕生日なんだし」
「うぅ~………っく、一生歌ってなさいよね……」
出来るか。
流石の俺でも、一生歌いっぱなしは死ぬ。
いや、「一生」って事は要は死ぬ気なら大丈夫……?
とか、この場合どうでも良いな。
お、そう言えば。
「お前さ、そういや異常値測定、どうだったの?」
「へ?」
チルの動きが止まる。
「ほら、お前今日測定だったろーが。結果はどうだったんだ?」
「…………………良かった、けど……」
おぉ、良かったのか。
そりゃすげぇな。
…………ごめん、もうちょい詳しく。
「魔力はどうだったんだ?」
「…………………多いって…魔力使いで、成功出来るだろうって」
「気力はどうだったんだ?」
「…………………多いって…気力使いで、成功出来るだろうって」
成る程な、気力と魔力を併用して使えるのか。
すっげぇじゃん。
。
。
。
ちょっと待ちたまえ。
いや、何か。
これは、いわゆる「大剣最強+魔力強い+気力強い=チートやん」って感じの方程式が存在する、あの謎の奴ですか。
いや。
いやいやいやいやいや。
困るから。
違った、困りはしないんだ。
だが、どう反応したら良いだろう……。
よく分からんが、取り合えず……。
「おめでとう?」
「…………………………」
沈黙が返ってくる。
「………ご愁傷様?」
「…………………………」
すっげぇ睨まれた。
ってか、ガチで何て言えば良いの?
いや、凄い事だけど、凄い事なんだけど!
……ただ、これほどの使い手がほっとかれるとは思えないんだよ。
要は、勇者になる確率が上がったって事だ。
…この世界は、別に男女で差別したりしない。
女だろうがまだ子供だろうが、チル程の腕なら直ぐに前線に引き抜かれるだろうって事だ。
「……なぁチル、お前、勇者になる予定、有る?」
「…無い、事も無いけど…………」
そう言うチルの顔は暗い。
………………ま、俺も何か言いますかね。
「おじさんとこで測ったって事は、まだギルドとかに情報は回って無いだろ?」
「そうだけど………何よ、それがどうかしたの?」
チルの顔が怪訝そうな表情をした。
皆、覚えてるだろうか。
俺が能力を測って貰った後、ルエ…幼女に、専属【歌手】になってくれと誘われた事。
それはつまり、俺にコネが有る、という事なのだ。
「ならさ………どうせそのスペックじゃ隠し切れないと思うし…」
そう言いながら、俺はポケットに手をやった。
先程用意したばかりの、即席プレゼント……とも言うべきか定かでは無いぼろぼろの紙。
あ、ポケットの中でぐちゃぐちゃになりやがったな。
それをチルの手に押し付けながら、俺は誤魔化すように頭を掻いた。
「え………これって……」
「あぁ、いや……その、な。………ほんとは、ただチルと冒険したいからだったが……知らない奴と勇者になるよか………ま、俺も丁度誘われてる事だし、お前も一緒にどうかなーって…………っておいっ、何だよ急に!」
突然抱きついてきた。
…正直、心は27でも体は12なのだ。
ドキドキも半端じゃない。
「…………ありがと、シル」
それだけ言うと、チルはゆっくり俺から離れた。
その目には涙が溜まっていて、………やっぱり、不安だったんだろうな。
子供には荷が重すぎると思う。
剣技で秀でてたのは本人の努力の結果だ、だからチルもそれについては良いだろう。
だが、神から賜ったか知らんが魔力と気力は別物だ。
自分の努力では無く、単なる才能。
俺のも努力が足りない訳では無く、単に運が悪かっただけ。
………俺の事はどうでも良いから。
そんな突然「お前は強いから命を危険に晒せ」みたいな事になるのは、望んじゃいないだろう。
おまけに、周りに誰も知り合いがいないとなっては、流石のチルだって保たないだろうしな。
……お節介かもしれないが、俺はチルに、「パーティー招待券」を渡していた。
あ、ちゃんとルエに許可も取ったんだからな?飾り付け終わらせて直ぐに。
チルの家からじゃギルドは直ぐだし。
ちなみに、活性化の方法はまた後日話し合う事となった。
「……ね、シル」
「ん?」
チルがちょっとだけ不思議そうな顔をしながら、俺の名を呼ぶ。
もう涙は消えていて、むしろすっきりした表情をしていた。
「この前、なんだけど……シルさ、私に『結婚しよう』みたいな事、言ってなかった?」
「はぁ!?」
言う訳ねーだろ!
まず、そんなセリフは臭くて言えんわ!
付き合ってもねーしな……『結婚したい』とか、色々と飛ばし過ぎだ、過程とか、速度とか。
「……………はぁ、なんか私、ばっかみたい」
チルはそう溜め息を吐くと、しわくちゃになった『パーティー招待券』を丁寧に伸ばし、それからそっと胸に当てる。
「うん、宜しくね♪【大好きな人】。」
「おぉ。宜しくな、【相棒】」
…ほんの少し、意味合いが違った様な…………。
まぁ気のせいか。
あ、そう言えば。
「チル、お前能力どうだった?」
「……………有ったけど」
「何だったんだ?」
「【不眠戦】」
「……それはまた、お似合いで」
「………………ほっときなさいよ」
って訳で、誕生会は無事終了した。
登場曲:愛言葉(DECO*27 .feat初音ミク)
:七ノ歌(RADWIMPS)
:ふたりごと(RADWIMPS)
:いいんですか?(RADWIMPS)
:ただ ありがとう(MONKEY MAJIK)
お気に入り登録が十件超えてる!
有り難い限りにございます!
テスト五日前切ってる!
非常に迷惑にございます。
あ、チルの能力の解説は次章で行いますので。
ではでは~、次の更新も遅くなると思います。
テスト前で、そろそろ本気モード入るので。