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第四話:鈍感?あぁ、あれだろ、主人公達の特性

今日中に更新しました。


先に言いましょう、このペースは続きません。


「で?あんたは何て答えたのよ?」

時刻は四時頃。

結構長い間「異常値測定室」にいたらしく、出た時には3時半を回っていた。

今は再びギルド近くの広場へ行き、母さんとチルに測定した時の結果と、そして専属歌手に誘われた事を話していた。

あ?ルエを苛めた件?

母に殺される恐れが有るからな、口が裂けても言わねぇよ。

「……まさか、はいって言ったの?」

俺の沈黙をどう取ったのか、チルは睨み付けてきた。

返事は、実は保留にしてある。

半ば押し付けられる様に渡された、ポケットに入っている一枚のメモ。

ルエの話に依れば、これをギルドに持ってこれば、ルエがギルドに居さえすればいつだって会えるらしい。

まぁ、良く言う紹介状って奴だ。

「あのねぇ!シルは知らないかも知れないけど、世の中には経験の浅い人を【勇者】関係に勧誘して、盾として使おうって人もいるの!」

「…………お前な、そういう情報どこで手に入れてんだ」

俺達、確か12歳ぐらいなんだが…。

汚い大人の事情を知ってるなんて、やっぱりチルは精神年齢がげふんげふん。

「それに、まだ返事はしてねーよ」

「……っな!だったら答えなさいよねっ!」

だが、怒っている言葉とは裏腹に、チルは明らかにほっとした表情になっていた。

「全く……びっくりするじゃない…………そのセルピクシーに誑かされたのかと思った……」

何やらぶつぶつ呟いているが、取り合えずスルーで。

まずは、しなければならない事が有る。

「……なあ母さん、カード返してよ」

「…まさかほんとに…前聞いてきた時は何かと思ったけど……カード折っちゃおうかしら……」

ミルフォートカードの文章を目を皿の様にして読みながら、母はぶつぶつ呟いている。

…あれ?今折るとか言って無かったこの人?

「さ、さぁ母さん、俺も見たいからさ」

そう言いながら、無理矢理カードを奪い返した。

「ねぇシルヴィ、貴方この能力が有るって気付いたんじゃないかしら?」

「は、はぁ?何言ってんの母さんはっ?」

誤魔化しながら、背中を流れる冷や汗を感じる。

……実は、以前に【祝言歌(シングバード)】について聞いた時、俺は母にこう頼んだのだ。

―「もしその能力が俺に付いたら、俺は剣は捨てるよ?」―

………っつーか喜べよ。

息子が剣を持って戦わなくて良いんだぞ?

……ほんとに、この世界の親はどうかしてる。

「ねぇ、そう言えば!その能力ってどんな物なの?」

と、チルが尋ねてきた。

そういや、あんまり知られて無い能力だっけか。

どう説明するべきか分からなかった為、少々頭を悩ませる。

……うーん、出来ればこの世界の概念で…あっ!

有ったじゃん、もうそのままなのが。

「ほら、魔力術で『補助・支援系』の物が有るだろ?」

頷くチル。

ここの辺りは去年習ったので、まぁチルの頭なら覚えているだろう。

「じゃああれを誰でも使える……正確には、魔盲の人以外は誰でも使える様にした笛が有ったのも覚えてるよな?」

再び頷きが返ってくる。

「じゃあ、この能力は、それを歌に代えて出来るって事?」

おぉ、俺が言う前に答えを導きやがった。

成程、チルはバカじゃなくて鈍いだけらしい。

……鈍感とか、どこの主人公だよ…。

ん?俺がどうかしたのか?

「そうだ。ちなみに、笛と違って歌毎に違う効果が使えるから、割かし重宝される能力なんだぜ?」

「……良いなー」

チルが俺を羨望の眼差しで見てきた。

「何だ?興味無いみたいな感じだったのに、やけに羨ましげだな?」

「あ、いやー…そんなんじゃないんだけど……」

チルは慌てた様に首を振って、それから顔を真っ赤にして俯かせる。

「……………その……シルの歌、聞ける人の事…、羨ましいなって………。」

蚊の鳴く様な声で言われた言葉。

………何言ってるか全然聞こえん。

だが、ここで「何て言ったんだ?」と聞いたら間違い無く昼間と同じ様に怒られるだろう……。

よし俺の頭!チルが何を言ったのか推測するんだ!

状況を整理しよう。

まず、チルは俺を羨望の眼差しで見ていた。

そして、その後の発言は恐らく照れ隠しに依るもので、それから顔を真っ赤にしてモゴモゴ言った。

あぁ成程。

俺と同じ能力が良い訳ね。




レチル・クローム視点




あわわ、言ってしまった!

どうせこいつは鈍感だから、見当違いの言葉を発するのだろうけど…。

でも、誰が予想できたかな?

まさか、こいつがようやくその鈍感っぷりを収めて、しかも私の心まで汲み取っているなんて……。

「何だ、お前。俺と一緒が良いのか?」

「ふぇ?!あにゃにゃっ、そ、それはそにょっ!」

あぁ、もう、言語崩壊。

ちゃんと聞こえてたんだ…。

しかもその上で、私がこいつと一緒のパーティーに入りたいって言ってるのを察するなんて……!

ダメ、今日のこと全部、夢かも知れない。

あ、今馬鹿にしたでしょ!?

こいつが鈍感じゃ無い事が、どれだけ珍しい事か知らないのね!

「ははっ、そう恥ずかしがんなよ」

そう言って笑う、シル。

初めて学校で見た時は、「いけ好かないヤツ」って感じだった。

けど、良いところが一杯有って、笑顔が素敵で、別に私が面食いな訳じゃ無いけど………いつの間にか、惹かれてた。

白状します。

私は、こいつ、シルヴィールの事が好き。

「にしても、嬉しーな」

「うぅえっ?……………きゅー………」

あぁダメもうダメ反則だよ!

そ、そんな人前で言う事じゃないでしょ!

私の自意識過剰よね!?

ゆ、友人が同じパーティーの一員になりたいって言ってきたから嬉しいだけよね?!

そそそ、そんな「チルが一緒が良いって言ってくれたから嬉しい」、みたいな美味しい展開、こいつが提供する筈が……、

「歌うの好きな人、この世界にもいっぱいいるんだ」

無かった。

えぇ、完膚なきまでに意味不明よ。

あははっ……正直期待してた自分が馬鹿みたいだわ。

さぁ、私は朝の私とは違う………はっきり言って、許す気にはなれないわね。

「え?チ、チルちょっとそれは止めろ。駄目だ、なあ分かるだろ!そのカード折られたらまずいんだって!」

……はぁ、もうばっかみたい。




シルヴィール視点




「危なかった……」

ふぅ、と安堵の溜め息を口から漏らす。

いやいや、何故に突然怒った?

意味分かんねーよ。

……まぁ、説得したら直ぐに諦めた様な溜め息をついて、それから氷の様な視線と共にカードは返ってきたのだが。

つーか人のカードを奪い取るな。

ミルフォートカード取ったら、一応通常の窃盗以上の罪なんだからな。

…全く、どうしてこう俺の周りには人のカードをへし折ろうとする奴等ばかりなんだろうか。

ウン十万もする物は、ちゃんと大切に扱えよな。

ともかく、これで俺はゆっくりカードを見る事が出来る。

さて、何が書いて有るのかな……?





~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カード所有者:シルヴィール


能力:【祝言歌(シングバード)

 ランク:最高

 熟練度:1

~~~~~~~~~~~~~~~~~~




……表はシンプルだな。

えっと、裏は…。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~

スロット1:

スロット2:

スロット3:

  ・

  ・

  ・

スロット9:

~~~~~~~~~~~~~~~~~~




…ずらずらと、スロット1~9までの文字が書かれている。

勿論それだけでは無く、このスロットについての解説も横に表示されていた。

曰く、「貴方は9曲まで登録して使用する事が出来ます。この曲登録は、一度登録すると1日が経過するまで変更出来ません。登録されて無い曲の効果は発動しません」

らしい。

成程納得。

んで、だ。

どうやって曲の効果を知れば良いのだろうか?

それにどうやって曲を追加すれば?

意味が分からずにもう一度カードの表を見直す。

すると、端っこの方に『能力貰いたての場合』と書かれ、縁どられた文章が有るのが目に入った。

……押すのか、これ?

ぽちっとな。

……………。

ぽちっとな。

…………………。

ぽち。

ぽちぽちぽちぽちぽち。

…………………………………………。

ぶちっ。

「人馬鹿にしてっとぶち折るぞコナラァッ!」

「お、落ち着きなさいよシル!それ折っちゃダメでしょ!」

はっ……!

俺は、一体…?

「何よ、いきなり大声出して……」

見ると、チルが怪訝そうな顔で俺を見ていた。

………ん?

まぁ良いや。

取り合えず、カードに目を落とす。

「…………そうかそうか。そう言えばカードの分際で人間様を侮辱してやがったな……」

「ねぇ、だから落ち着きなさいっての!」

チルに怒鳴られ、俺は事情を話した。

俺の話を聞いたチルは、ジト目になって俺を見てきた。

「あんた、ひょっとしてバカなんじゃない?」

「あぁ?んだよ急に」

チルは俺の手の中のカードに手を伸ばすと、カードの端っこを押した。

ぽちっとな。

ほわわわ~ん

何だか間の抜けた効果音と共に、カードの画面が切り替わる。

「あんた、魔盲だって言ってたじゃない、自分で」

………そーでした。

くっそ、忘れてたぜ。

別に照れ隠しじゃないが、俺はカードに素早く目を落とした。

「………成程な、まずは能力を活性化する為に呪文を唱えるのか、へぇ~」

魔盲です。

こちとら魔法が使えねーんですはい。

やっべぇ、お先真っ暗なんだが。

つか、活性化しないと効果は無い訳ね、成程。

ってか、良く考えりゃそれもそうだ。

今まで俺の歌で誰かが回復したり、誰かが強くなった事は無いしな。

「……シル、あんたも授業で聞いてたでしょうが」

チルがちょっと馬鹿にした様な目で見てくる。

「はぁ?何をだチル?言っとくが、俺は今すっげぇお先真っ暗な訳。………あ~ぁ、将来チルに養って貰おうかな~………」

マジで目に浮かぶ。

俺は引き籠りニート、「魔盲のクズ」のレッテルを張られ、月の仕送りをチルに送って貰う。

……はぁ、すまないチルよ。お前に母親の役を押し付けてしまう様で……。

俺が謝罪の念を込めてチルを見ると。

「」

固まっていた。

ちょっと馬鹿にした様な目も、俺の膝に置かれた手も、ほんの少しだけ乗り出した体も、完璧に止まっていた。

………え?時の魔法でも発動した?

「………シルヴィー、そんな発言は、あまり軽い気持ちでしない方が良いわよ」

母が呆れた様な目を向けてくる。

「え?………あぁ、確かに後ろ向き過ぎる言葉だったな」

そうだ、何か方法が有るかも知れないのに、ここで諦めてどうする!

しずはだって、こんな事で諦めたりしない筈だしな。

…あれ、そういやチル、固まる前に何か言い掛けてた様な……?

「なぁチル、授業で聞いた話って何だ?」

と、突然チルが復活した。

「なな、んあっ……何でもないのっ!」

顔を見事な赤に染めながら、手をばたばたと振る。

「いや、お前なんか言いか…」

「あはっ、ごめんねシル、用事思い出しちゃった!」

そう言って立ち上がるチル。

そのまま駆け出すかと思われたが、何故か俺の前に立ち、そわそわしている。

「……………あぅ……」

相変わらず顔は真っ赤で、時たま口を動かしかけるが、やはり何も言わずにそわそわしたままだ。

「どうした?用事じゃないのか?」

「……あ、あのねっ!」

俺が声を掛けると、意を決した様に俺の手を取り、チルは口を開く。

「わたっ、私っ!シルの事、ちゃんと養ってくからっ!」

それだけ言うと、ダダッ、と駆け出してしまった。

……こんな大声で言うなよ。

広場中の人がこっち見てんじゃん…。

そんな大声で言ったら、まるで俺とチルが結婚するみたいに勘違いされるだろ…………?




チルは、ツンデレでは無いです。

主人公が勘違いしてるだけで、実際は結構アプローチしてるんですけどね~……。


ご安心下さい、ちゃんとツンデレちゃんも出ますので。

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