第三話:あれ?俺ってロリコンだっけ?
今回、少々幼女に対する苛めの様なシーンが登場します。
苦手な方は、覚悟して下さい。
…あぁでもそこまで過激じゃないです。
ほのぼのとした奴ですよ~。
「それでは測定を行う為、保護者の方はここで待機して下さい」
そう言って、受付の人は俺の手を引く。
…朝の人と同じ人じゃん……。
つかこの人、手強く握り過ぎ…。
やめて欲しいんだが。
「ほら、シルヴィール君♪部屋はここですよ~」
「……あの、そこ休憩室って書いて有りますけど…?」
「………………チッ。…はい、こちらになります♪」
何をしようとした!?
休憩だよね?!疲れてたんだよね?!
舌打ちとか気のせいだろ!?
俺が不安を抱きながら歩いていくと、あるドアの前でお姉さんの足が止まった。
ドアを見て……、
「……うわ、俺こう言うの好きじゃねー……」
いや、本音出ちゃったよ全く。
ごっつい装飾が施されたドア。
魔力を象徴する「魔法陣」をモチーフとしたエンブレム(魔法陣と違って、効力は無い)、気力を象徴する「気発弾」をモチーフとしたエンブレム(かめは…げふんげふん)、能力を象徴する「獣使役」をモチーフとしたエンブレムが、それぞれに描かれていて仰々しい限りだ。
その上更に、ドアの上に打ち付けられたプレートは上質そうな木で出来ていて、「異常値測定室」、とそのままと言えば余りにそのままな名前を銘打たれていた。
何だか緊張してしまう。
校長室に入る時みたいだ……。
「あの、お客様ですが宜しいでしょうか?」
お姉さんが中に向かって呼び掛ける。
へぇ、こんな分厚いドア越しでも、この小声がちゃんと伝わるんだな。
素直に感心してしまう。
「…………………」
伝わるんだな。
「…………………」
伝わるんだな。
「………じゃあ、ノックしましょうか?」
コンコン。
……初めからそうしてくれ。
ノックして程無く、ドアが向こう側に開かれた。
「………客か。入りなさい」
姿を見せたのは、歳のいってそうなご老人………では無かった!?
ふふ…流石異世界!美味しい展開が盛りだくさん☆
下手すりゃ俺より若い外見。
可愛らしい女の子だった。
「…人をじろじろ見るな。入れと言っておろう」
そう言って不機嫌そうな顔になった為、俺はその表情を堪能しながら部屋に足を踏み入れた。
後ろですっげぇお姉さんの視線を感じたが、勿論スルーで。
「では、まずは互いに名を名乗ろうか。儂はルエ。見ての通り、セルピクシーじゃ」
そう名乗ってきた幼女。ってか、
セルピクシーだったの!?
セルピクシーとは、平均寿命が恐ろしく高く、そして外見が最も人間に近い種族だ。
特徴として、非常に賢い、魔力視、気力視に長ける、等が有る。
……人間との見分け方としては…。
「俺はシルヴィール。見ての通り人間だ。………な、羽見せて羽!」
「幼女の裸体が趣味か。しかも上半身の後姿をご所望とは、中々に高尚な趣味の様だな」
ちぇーっ。
セルピクシーっつったら、その「水の羽衣」とも称される美しい羽だろ!
けちけちすんなよな~。
俺にロリコン属性は無いし。……筈だ。
「冗談は止めにしようかの。儂が幼女など、笑い話にも程が有るわ」
ニコリともしない顔で言われても。
「それで?シルヴィール殿は何から知りたいのじゃ?」
「え?」
ルエは少し苛々した様に眉に皺を寄せ、自らの頭をとんとんと叩いた。
「鈍いの、今日の客は。お主は何の為にここへ来た?」
「…………あぁ。……えっと、魔力からで」
そう言うと、ルエは目を細めた。
「そうかそうか。シルヴィール殿は魔力に期待はしていない様じゃな?」
あれ?態度に出てたかな?
まぁ正直、魔力は無いと思うしな。
だって、転生前にちゃんと頼んだんだし。
「はい、魔力には興味は無いですし、はっきり言うと気力にも興味は無いです」
「ほうほう……気力にも興味は無い、と………」
ルエは愉快そうに笑い、懐から黒い円盤を取り出した。
「これが何か、学校では習ったかの?」
差し出された円盤には見覚えは無かったが、良く似た同じような物なら見た事が有った。
「……魔反鏡?」
「その通りじゃ。……なんじゃ、只の馬鹿かと思うたが、結構やるでは無いか」
何だろう、見た目すっげぇ可愛いのに、こいつ時間が経つほどむかついてくる。
「御託は良いから、もう測定しちゃって下さい。ほら、俺の魔力量を調べてくれよ」
「まぁそう急くな」
そう言って、ルエは完璧にくつろぐ体勢になった。
「少し話をしようかの、少年。魔力視とは何か?言うてみ」
「え?……魔力を見る力、だろ?」
訳が分からないまま言われた事に答えると、ルエは満足そうに目を細めた。
「そうじゃそうじゃ。魔力を視認する力、それが魔力視じゃ。……では、魔力障とは何を指す言葉じゃ?」
…おいおい、こっちは測定しに来ただけだぞ。
何で授業みたいな感じになってんだよ。
……まぁ一応答えるけどさ。
「魔力視、魔力触、魔力知のどれかが使えない奴の事だろ。……なぁ、俺は一体何を…」
「じゃかあしい。黙って質問に答えるんじゃ。…では、なぜ今の魔力障には、一番肝心な【魔力使】が入って無かったのかな?」
……うん、こいつやっぱムカつくわ。
よし、後でゲシゲシしてやる。
覚えとけよチクショウ。
「魔力視は魔力を見る力、魔力触は魔力に触る力、魔力知は魔力を感知する力……んで、これらは大抵の生物には備わっているから、無ければ魔力に対する…言い方は悪いが障害が有る、という事で魔力障。魔力使はその名の通り魔力を使用する力で、これは無くても問題は無いからだ」
俺の言葉を聞きながら、ルエは魔反鏡の縁を指でなぞっている。
「……ふむ、正解じゃな。……じゃあまずはっきり言うておく」
ルエは魔反鏡をこちらに向けた。
すると、そこには…!?
「っな?何だこれっ!?」
慌ててその場から飛び退る俺に、ルエは宣告した。
「お主、魔盲じゃ」
魔反鏡。
魔力を光と認識し、反射する鏡。
この鏡が有れば、魔力の無い物でも魔力を視認する事が出来る。
………。
今鏡に映ったのは、轟々と燃える俺の姿だった。
「心配せずとも燃えんよ。その炎は元々威嚇、若しくは布団代わりに使う様な温い(ぬく)物じゃしな」
ルエが話してる間も、炎は今にも音を立てそうな程激しく燃えている。
……いや、実際には音を立てているんだろうな。
魔盲。
その名の通り、魔力を見れず、触れず、感知出来ないという事。
成程、どうやらルエは俺に答えさせてる間に、魔法を掛けていたらしい。
「……isnao」
ルエが何事かを呟くと同時に、魔反鏡に見える炎も消え去った。
「ま、気力知だけでも有ったのは幸いじゃ」
…ん?
「どういう事だ?気力はまだ調べてないだろ?」
「先程からお主の顔に気発弾を当てておるよ」
「何してくれてんだっ!?」
死ぬだろ、それよ!
「安心せい。気力触が無いので有れば、気力による攻撃も無意味じゃしな」
「……………気力知が有るってのは、何でだよ」
確か、検査みたいなのをしなければいけないんじゃ……?
詳しくは覚えていないが、気力知、魔力知は最も調べ辛い基礎力だった筈だ。
「右足がむずむずするじゃろう?」
「え?」
突然何を言い出すんだ?
……まぁむずむずはしてたけどさ。
「それがどうかしたのか?」
「じゃから、気力知。そこに儂が気力を纏わせたのじゃ」
………成程ね。
魔力知、気力知。
これらは“触”とは違い、触れている感覚では無い。
ただ、何かしらの形で魔力や気力の存在を知らせてくれる物だ。
センサーとも言える物だが、勿論感度に個人差は有る。
肌に直接触れてようやく作動する物も有るし、ダンジョンで魔力や気力による罠をことごとく感知したり出来る人もいるのだ。
勿論触れている判定では無い為、もし気力触が無い状態で気力知が働いても、相手が攻撃を意図したのかそれとも探りを入れただけなのか、一切分からないのだ。
だから、俺の足がむずむずしたのも取り合えずは気力知が働いた結果なんだろうな………って、
「……あれ?俺って気力触無いのに、気力纏わせられんのか?」
それはおかしい。
気力触が無い、という事は、俺も気力も互いを空気としか認識できない。
いや、空気以下だな。
そこに有るのを、一切分からないのだから。
だから当然、気力を纏うなんて真似も出来ない筈である。
「あぁ、それは儂が気力を留めているだけじゃ。なあに、対外放出をコントロールしてるだけの事よ」
「………お前って、結構すげーんだな」
確か気力の扱いやすさって体からの距離の二乗に反比例してたんじゃ…?
「伊達に400年も生きとらんよ。鍛える時間はたっぷり有ったでな」
顔を赤らめ、少しそっぽを向く。
へぇ、400年も生きてるのか。
セルピクシーの平均寿命、確か……700歳後半だったような…。
じゃあ、そんなに年は取ってないのか。
照れる様子も可愛らしい。
「ん、んむ!それでは能力測定に移ろうか!」
「………ははっ」
やばい、照れ隠しが下手過ぎて思わず笑いが漏れてしまった。
「何がそんなに可笑しいのかの?」
「何でも無いです」
うわぁ、睨まれた!
やべぇ、ルエに睨まれたらゾクゾクしちゃうよぉ☆
「………まぁ良い。それでは…」
ルエは、とびっきり意地悪そうな顔をした。
「跪いて、地面に頭を擦りつけよ」
あれから数分後。
「……ルエ、早くしてくれ。これじゃ能力が分かる前に、新たな性癖に目覚めちゃうから」
俺は、幼女に土下座するという、人によっては美味し過ぎる状況にいた。
「それ、頭が高いぞ」
プチッ
あ、俺の頭から、血管が一本退場した様だ。
我慢我慢。
例え幼女に頭をゲシゲシされたからと言って、俺は広い心で許してやるのさ。
「ほうほう、抵抗せずか。余程の臆病者か、変態なんじゃな」
後で覚えてろ。
幼女よ、目に物見せてやる。
俺は根っからのSなのさ!
「まぁ、憂さ晴らしはこれくらいにして、本題に移ろうかの」
そう言って、ごそごそ動く音が聞こえてくる。
つーか憂さ晴らしって言いやがった。
よし決めた、もう泣いたって許さねえ。
「行くぞ?少々痛むかもしれんが……」
頭から足がどかされ、少しして。
「あだっ!?」
「痛むと言っておろうが……」
思わず飛び上がってしまった。
ルエの手には、待ち針が握られている。
……いや、状況からするとあれが「能力指針」なんだろうな。
首筋からじんじんと痛みが走って………首筋?
「おいルエ。俺が土下座した意味は何だ」
「さて、調べるとするかの」
……ははっ。
そうかそうか。
こいつ、俺にとことんまで苛められたいらしいな。
あ?相手は幼女?
400年も生きたババァだろ?
結果が出るまではひとまず我慢だ。
俺じゃ鑑定出来ねえからな。
ルエは少し大きめの皿の様な物を取り出した。
全体的に、緑と青で美しい装飾が施されたそれ。
鑑定団で良い値が付きそうなそれは、俺の記憶が正しければ最高級の「能力水盆」だった筈だ。
それには既に水が張ってあり、ルエは先程の能力指針をその中心に浮かべた。
指針はゆっくりとその向きを変え、その後縁に向かってゆっくりと進み出す。
「ほぉ…………!」
皿を覗き込むルエが、感嘆の声を上げる。
指針はその後も縁に向かって進み続け、そして遂に…。
「……縁に付くのなんざ、何年振りかのお」
ルエは楽しそうに目を細め、それから今度は指針が触れた縁を眺めた。
「………おいお主、喜ぶのじゃ」
ま、俺からお願いした能力だからな。正直言って、余り喜ぶ気にはなれない。
さて、俺が手に入れた能力は。
「【祝言歌】など、中々に珍しい能力じゃて。それの最高レベル………よもや、これは初めてかもしれんな」
【祝言歌】。
補助系能力、である。
しかも俺向き!
「なぁ、ミルフォートカードくれよ」
「……おぉそうじゃな。………というか、もっと喜ばんか、少年」
だって予想通りだし。
あ、ちなみにミルフォートカードってのは、超高性能な魔力技術の結晶とも言うべきカードだ。
能力者にのみ与えられるカードで、表面にその能力のランク、情報、現在の詳細、等が魔力で表示される。
勿論このカードを作るのには多額の金が掛かり、その為に能力者に無償で発行されるのはこれが最後だ。
え?俺が魔盲だって?
言っただろう、魔力技術の結晶だって。
カード自体が二重構造になっていて、表面は透過性の高いプラスチックの様な素材、奥側が魔反鏡によって作られている。
つまり、表面に魔力で構成された字が浮かび上がり、奥の魔反鏡でそれを視認できる訳だ。
すげぇだろ?
正直、測定の時は無料で貰えるってのも、気が引けてならない。
名前の由来は、このカードを作る際に掛かっていた莫大な詠唱や加工時間を、システム化して圧倒的な効率で作れる様にしたミルフォート・ジャムラッスの名前から取られている。
まぁ、前は一枚作るのに二人掛かりで三日だったって―しな。
それを一人で一日二枚にまで縮めたのは、褒め称えられたって誰も文句は無いだろう。
「【祝言歌】の効果を尋ねんのじゃな、若いのよ」
ルエが棚をごそごそしながら、俺にそう言ってきた。
「……いやま、そりゃ結構調べはしてたからな」
「【祝言歌】をか?それはまた用意が良いのお」
ようやく見つけたで有ろうミルフォートカードを片手に持ち、振り返ってこちらを見てくるルエ。
その顔はどこか俺を睨み付ける様で、また全てを見透かす様でも有った。
「ほれ、これで良い筈じゃ」
ミルフォートカードの表面に、能力指針で複雑な模様を描く様にすると、何も書かれていなかったカードの表面に、やがて文字が浮かび上がった。
ルエから受け取り、俺はそれをポケットに捻じ込む。
「……カードの内容は確認した方が良いのではないか?」
「大丈夫だ、家に帰ってからちゃんと見るさ。……今はそれより、大事な事がある」
すると、ルエの目が細まった。
「…………シルヴィール、と言ったか。お主、只の少年では無かろう」
その言葉は断定する物で、普段の俺ならその言葉にこれからする事を止めただろう。
だが、今の俺は「ドSモード」。
…………ふふ、その程度の事で止まりはせん!
「なぁルエ、ちょっと後ろ向いてしゃがんでくれないか?」
「ふぇ?な、なんじゃ急に……」
予想外の反応に戸惑いつつも、言う通りにしてくれる幼女。
その頭を。
えい。
「ひにゃあ!」
「げしげし、ぐりぐり」
無防備な幼女の頭に足を乗せ、そのまま土下座の体勢まで無理矢理に持っていった。
足を乗せながらも俺は器用に場所を移動し、幼女の頭を正面から踏み付ける形になる事に成功する。
「ふ、踏むな!お主が普通じゃないのは黙っておこう、約束するから!」
「何を言っているのかな、この子は~?俺が今問題にしてるのはそれじゃないよね~」
足の下から、慌てつつも偉そうな声が聞こえてくる。
えい。
げしげし。ぐりぐり。
「おいお主、その足をどかした時が貴様の命日じゃぞ……!」
「じゃあ一生このままで♪」
つーか偉そうだな。
そうか……じゃあ、踏む力をちょっと強くしようっと☆
「あ、ちょっ……いふぁい、待っ…つよっ…」
地面に強く押し付けられたからだろう、幼女の声はちょっとくぐもった。
ふふふ、ゾクゾクだぁ♪
少し足をずらして、幼女の頭を横に向かせる。
「……ひぅあっ!………うぅ、踏むな、踏むなぁ…………!」
無理矢理だったからだろう、可愛らしい悲鳴を上げ、それから直ぐに自由になった口で言ってきた。
というか。
微妙に口調が崩れてるじゃん!
ぞっくぞくだぁ♪
「あ?頼み方がなってないですよ、お嬢ちゃん?」
やべぇ、俺鬼畜www
幼女の頬ぐりぐりしちゃってるし、自分が怖いwwwwww
「ひぐぅっ……おねひゃいです、もうひゃめへくだひゃい…ふぇぇぇぇん」
ふははは、見よ!
あの御年400歳の偉そうなあいつですら、俺の手に掛かればこの通りだ!
さっき言った通り、泣いたって許さないもんな!
え?鬼畜過ぎる?
知るか、俺は危うくMにされるとこだったんだぜ?
二倍返しがポリシーの俺は、ルエがMになるまで許してやんねーww
「ひっく、ぐすっ…うえっ……」
「なあ、ルエ」
俺はぐりぐりを止め(勿論足はそのまま頬に置いている)、ルエの名を呼んだ。
苛めてるだけじゃ可哀想だからな。
「ひっぅ……うぅ?」
ルエは、その涙でぐしゃぐしゃの目をこちらに向けて、?を頭に浮かべる。
俺は安心させる様に微笑んで、ルエに言ってやった。
「お前、笑った顔も可愛いけど、泣いてる顔が一番だな」
「……ふ、普通逆だよぉ………」
おお、口調が年相応だと?!
やったktkr!!!
「な、俺はお前の可愛い顔が見たいから苛めてるんだ、お前が嫌いだからじゃない。分かったか?」
俺が聞くと、ルエはしばらく固まった。
何を言ってるのか分からないって顔をしてる。
そりゃ俺も同感www何言ってんの俺wwwww。
あれ?この小説って「ww」とか登場させる予定有ったっけ?
まぁドSモードだし良いか。
「俺、ルエの泣いてる顔、……好きだよ」
にっこり微笑んでやると、ルエは頬に足を置かれていると言うのに、顔を真っ赤にしやがった。
よし、もういっか。
ドSモード、解除。
俺は足をどかし、ルエを立たせてやる。
押し付けられたからだろう、真っ赤に床の後が付いた頬を見て、ほんのちょっと心が痛んだ。
あぁ、可愛らしいお鼻も、心なしか低くなった気がする。
「今日はごめんな?俺、ただ測定しに来ただけだってのに」
そう言うと、呆けた様なルエの目に、少々の物足りなさが…写った、気がした。
まぁ気のせいだろ。
いや、流石にこの短期間でMになるとは思えんしな。
それは直ぐに消え、段々と目に光が戻ってくる。
「……………違反料」
「え?」
ルエは、顔を真っ赤に俯けながら、何事かを呟いた………が、全然聞こえない。
思わず聞き返すと、ばっと顔を上げ、大声で怒鳴ってきた。
「違反料じゃ!金貨20枚は貰うぞ!」
その顔は耳まで真っ赤に染まっていて、………あー、すっげぇ怒ってる?
つーか金貨20枚って。
元の世界で言や、大体200万………。
「ゴメン、そんなに払えない」
「ぜ、絶対に貰うぞ!金貨20枚分じゃ!」
そう言うと、ルエは再び顔を俯かせ、それからしばらくしてまた上げた。
「……じゃ、じゃがどうせ払えんじゃろうし、そ、そうじゃ!お主、儂の元で働け!そうじゃ、それが良かろうて!」
さっきの百倍ぐらい顔が赤い……あ~あ、すっげぇ怒ってんじゃん。
っつか、働けって。
「……ルエ、お前普段どんな仕事してんの?」
まさか、これ程の魔力&気力使いが、測定だけを行っているって事は無いだろう。
「………勇者じゃ。…その、な……」
真っ赤な顔のまま、俺の手を取ってきた。
これ以上赤くはならないと思っていた顔だが、その行為により更に赤さを増す。
……握り潰したいのを我慢してんのか?だったら手なんか取らなければ良いのに。
「儂の、専属【歌手】になってくれぬか……?」
ルエの言葉は、俺にとっては予想外の物であり、そしてびっくりする位の魅力的な誘いであり、俺の学校卒業を意味する物だった。
※今回は曲名が出ていません。
はい、と言う訳で説明多っ!
この章だけで魔力や気力について、多く語られてる気がします。
……まぁ気のせいだ、うん。
次の更新はいつになるやら。
少なくとも、今日中には無いと思いますが。
…………ではでは、また気が向いた時に。