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勇者様その後

作者: 水瀬

 まあ、なんか色々あって、世界は平和になりました。


「あー…暇だー……」


 こんにちは、世界を平和にした勇者です。

 現在絶賛就職活動中ですぜちくしょう。

 今まで世界は酷い状態で、魔物とかごろごろしていたから、それを倒して人々を守る勇者という職業が存在していた。だが、俺が魔王を倒してしまったために、なんというか、もうやることがない。

 魔王が死ぬ→配下である魔物も滅びる→世界が平和になる→あれ?俺いらなくね?

 世界救ったのになんで俺こんな目にあってんの?世の中って不条理すぎだろ。


「ちっ…魔王殺さなきゃよかったぜ……」

「もー、何やってんですか勇者様ー」


 呼びかけられた声に振り返るとそこには(無駄に)爽やかな笑みを浮かべた好青年。まあ、元勇者パーティの賢者だ。過去自分のMPがもったいないからとケチられ何度俺は戦闘不能になった事か。しかも回復役こいつだけだったからな!悪夢だった!


「うっわー、まだ就職決まってないんですねー」


 やっぱ体力馬鹿は駄目ですねー。とくすくすと笑いながら言われ眉を顰める。うっさいモヤシ。ひょろひょろしやがって。

 ちなみにこいつは旅が終わって三日でさっさと王立研究所の機関に就職した。現在のこいつの地位、国家直属の研究員。現在の俺、無職。……同じパーティの仲間だったはずなのになんなんだこの差は。これが格差社会か。やはり世の中勉強ができないと駄目なのか。

 現在の社会の仕組みに絶望していると、賢者はまた楽しそうに笑った。


「もー、就職先決まってないの、勇者様ぐらいですよ?頑張ってくださいよ勇者様―」


 一応元とはいえ僕のリーダーだったんですから情けない姿見せて恥さらさないでくださいよね!

 いえ、俺だって好きで恥さらしてるんじゃないんだけど。

 俺だって就職したいよ。まさか魔王退治の後にこんな悲劇が待っているなんて俺は予想だにしていなかった。倒すことしか考えてなかったし。

 というか、魔王倒してやったんだからさ、普通国王とかが俺のこと称えて保護とかしてくれるもんじゃねえの?畜生・・・・世の中って冷たい。利用するだけ利用してぽいかよ。


「魔物もいませんし世界情勢も安定しちゃったんでほんとに勇者様のやることないですからねー。剣の腕の使い道ないですし」

「俺の修行の日々はなんだったんだ…」

「えー?無駄骨?」


 もうやだ…この(元)仲間厳しすぎる。言葉が痛い……なんだこのドS。世の中のサドは全員滅びればいいんだ。そうすればきっともっと生きやすい世界になる。そうか、俺は魔王を倒す旅ではなくサドを倒す旅に出るべきだったのか!なんか悟った気がする!


「勇者様ー?しっかりー。現実逃避したって貴方が無職っていう切なくって微妙にしょっぱい事実は変わりませんよー」

「知ってるわぼけ…」


 もうやだ、世界滅べ。なんだよ俺あんなに頑張ったじゃねえか、畜生。世の中はもっと俺に優しくなるべきだ。魔王殺さなきゃよかった。

 ぶつぶつと文句を言っていると、賢者は、はあ、とわざとらしくため息をついて「じゃあ就職決まったら連絡くらいはしてくださいね。一応祝ってやりますから」と言って去っていった。一応ってなんだ一応って。


「ほんと、魔王殺さなきゃよかった…」


 世界滅べやごらー、と世界に対して文句を言っていた俺はこの後なんか微妙にミニサイズで復活した魔王と一緒に世界征服をすることになりました。

 いや、マジで世界滅べって思ってたわけじゃないんだけどちょっと就職活動に疲れていたのとその場のノリで。

 一応魔王の側近に就職ってことだけど、たぶん賢者には祝ってもらえない気がした。

 頑張ったんだけどな、就職。

 なんとなく切なくなったので魔王と一緒に高級料理を食った。美味かったのでまあいいかと思った。


 元勇者で現魔王側近な俺ですが、見上げる空は相変わらず無駄に綺麗です。


2007年ぐらいに書いていた小説です。

投稿テストのようなものなので、だいぶ内容が薄いです。

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