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寓話 人生の教訓を描いた短い物語  作者: トワイライト


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第9回(#41~#45)

#41 未来を見る窓


ある町に、不思議な窓があった。


その窓からは未来を見ることができる。


明日の出来事。


来年の出来事。


何十年後の出来事まで。


すべて見えると言われていた。


人々は列を作った。


自分の未来を知りたかったからだ。


ある青年も窓を覗いた。


そこには未来の自分が映っていた。


仕事をしている姿。


友人と笑う姿。


年老いた姿。


青年は安心した。


少なくとも生きている。


少なくとも未来はある。


それから青年は毎年窓を見た。


未来が気になったからだ。


進学の前。


就職の前。


大事な決断の前。


必ず窓を覗いた。


窓はいつも答えを見せてくれた。


失敗する道。


成功する道。


青年はなるべく良い未来を選んだ。


その結果、人生は順調だった。


大きな失敗もなかった。


だがある日、


老人になった彼はふと気づく。


未来の記憶はたくさんある。


だが自分で選んだ記憶がほとんどない。


不安になった老人は最後に窓を覗いた。


そこには誰も映っていなかった。


老人は驚いた。


何度見ても空っぽだった。


すると窓の隅に小さな文字が現れた。


**「ここから先は、あなたが決めてください」**


老人は長い間、その言葉を見つめた。


そして人生で初めて、


未来を知らないまま歩き出した。


---


解釈


人は未来の不確実性を恐れます。


しかし未来が分からないからこそ、


選択には意味が生まれます。


失敗も成功も、


自分で決めたからこそ自分の人生になります。


この話は、「自由とは未来を知らないことかもしれない」という寓話です。


■■■■■■■■■■■■■■■■


#42 すべてを知る木


ある森の中央に、大きな木があった。


その木には不思議な力があった。


幹に触れると、


どんな質問にも答えてくれるのだ。


人々は遠くからやって来た。


「明日の天気は?」


「どの仕事を選ぶべき?」


「私は幸せになれる?」


木はすべてに答えた。


しかも必ず正しかった。


やがて人々は自分で考えなくなった。


何かあれば木に聞く。


迷ったら木に聞く。


木の答えが正解だったからだ。


ある少年も木を頼っていた。


進学も。


友人関係も。


将来の夢も。


すべて木に決めてもらった。


そのおかげで失敗は少なかった。


だがある日、


少年はふと尋ねた。


「僕は何をしたいんだろう?」


木は沈黙した。


少年は驚いた。


初めて答えが返ってこなかった。


もう一度聞く。


「僕は何が好きなんだろう?」


木はやはり黙った。


「どうして答えてくれないの?」


長い沈黙の後、


木は初めてこう言った。


**「それだけは、お前の答えだからだ」**


少年は立ち尽くした。


人生で初めて、


答えのない問いを持った。


だが不思議と恐くなかった。


それは誰かから教わるものではなく、


自分で作るものだと感じたからだった。


---


解釈


知識や情報は多くの問題を解決してくれます。


しかし、


「何を望むのか」


「どう生きたいのか」


という問いには正解がありません。


他人から与えられる答えではなく、


自分で選び取る答えだからです。


この話は、「人生で最も重要な問いほど、誰も答えてくれないのかもしれない」という寓話です。


■■■■■■■■■■■■■■■■


#43 空の宝箱


ある島に、伝説の宝箱があった。


その宝箱を開けた者は、


人生で最も価値のあるものを手に入れられると言われていた。


多くの人が探した。


冒険家も。


学者も。


王様も。


だが誰も見つけられなかった。


ある青年は、その話を聞いて旅に出た。


山を越え、


海を渡り、


何年も探し続けた。


途中で仲間ができた。


別れもあった。


失敗もした。


それでも宝箱を諦めなかった。


そして老人になった頃、


ついに洞窟の奥で宝箱を見つけた。


伝説の宝箱だった。


震える手で蓋を開く。


中は空だった。


何も入っていない。


金貨も。


宝石も。


秘密の書物も。


何もない。


老人は怒った。


人生をかけて探したのだ。


騙されたと思った。


そのとき、宝箱の底に小さな文字を見つける。


**「何を期待していた?」**


老人は答えようとした。


金か。


名誉か。


幸福か。


しかし言葉が出なかった。


代わりに思い浮かんだのは、


旅の途中で出会った人々だった。


笑った日々。


悔しかった失敗。


美しい景色。


若かった頃の自分。


老人はしばらく考えた。


そして静かに宝箱を閉じた。


空だった。


だが不思議と、


何も失った気はしなかった。


---


解釈


人は目標や夢を「手に入れるもの」だと考えがちです。


しかし本当に価値があるのは、


その目標を追いかける過程で得た経験や変化なのかもしれません。


この話は、「宝物とは最後に見つかるものではなく、探している間に積み重なるものかもしれない」という寓話です。


■■■■■■■■■■■■■■■■


#44 影のない人


ある町では、人は皆、自分の影を連れて歩いていた。


影はその人の人生そのものだと言われていた。


長い影もあれば、


短い影もある。


だが誰も、自分の影を失った者を見たことはなかった。


ある日、町に影のない男が現れた。


人々は驚いた。


太陽の下を歩いているのに、


足元には何もない。


「影を失ったんだ」


「かわいそうに」


皆がそう噂した。


しかし男は気にしていなかった。


普通に笑い、


普通に働き、


普通に暮らしていた。


ある少年が男に尋ねた。


「影がなくて怖くないの?」


男は笑った。


「なぜ?」


「だって、自分の影だよ」


男は少し考えた。


そして答えた。


「私は昔、自分の影ばかり見ていた」


「影?」


「そうだ。過去の失敗や、他人からどう見られているかや、自分が何者かということばかり」


少年にはよく分からなかった。


男は空を見上げた。


「ある日、影を追うのをやめた」


「すると消えたの?」


「いや」


男は笑った。


「見なくなっただけだ」


少年も足元を見た。


そこには自分の影があった。


だがその日初めて、


空も見上げた。


---


解釈


人は自分自身について考えます。


それは大切なことです。


しかし、自分が何者かを気にし続けるあまり、


目の前の世界を見失うことがあります。


自己分析や評価は影のようなものです。


必要ですが、それだけを見て歩くことはできません。


この話は、「自分を理解すること」と「人生を生きること」の違いについての寓話です。


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#45 世界一大きな鏡


ある王は、自分の国を世界一にしたかった。


そこで職人たちに命じた。


「世界一大きな鏡を作れ」


何年もの歳月をかけ、


巨大な鏡が完成した。


山よりも大きく、


湖のように広い鏡だった。


王は満足した。


そして全国の人々を集めた。


「この鏡を見よ」


人々は鏡の前に立った。


すると不思議なことが起きた。


鏡には姿だけでなく、


その人が最も気にしているものが映るのだ。


金持ちは自分の財産を見た。


兵士は名誉を見た。


学者は知識を見た。


皆、自分の映像に夢中になった。


王も鏡の前に立った。


そこには巨大な王国が映っていた。


豊かな町。


高い城。


大勢の民。


王は満足した。


これこそ自分が求めていたものだ。


だがそのとき、


鏡にひびが入った。


そして粉々に砕け散った。


人々は慌てた。


しかし鏡の破片を拾い上げた瞬間、


奇妙なことに気づいた。


小さな破片には、


以前とは違うものが映っていた。


財産ではなく家族。


名誉ではなく仲間。


知識ではなく好奇心。


王の破片には、


王国ではなく幼い頃の自分が映っていた。


王は長い間、その破片を見つめた。


そして静かに言った。


「大きすぎる鏡では、近くのものが見えなかったのかもしれないな」


---


解釈


人は大きな目標や理想を追いかけることがあります。


しかし、その過程で身近にある大切なものを見落としてしまうことがあります。


広い視野は大切ですが、


時には小さな視野だからこそ見えるものもあります。


この話は、「何を見るかは、どれだけ遠くを見るかだけでは決まらない」という寓話です。

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