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非戦闘職として学園を追放された俺、冒険者ギルドでは危険回避の前提になっていました 〜戦わない戦術補佐は、勝たないことで評価される〜  作者: 天城ハルト


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第9話 もう一度、同じ結果

 二回目の依頼は、前回より少しだけ難易度が上がった。


 討伐対象は、森の外縁に出没する小型魔物。

 数は少ないが、動きが素早く、油断すると囲まれるタイプだ。


「前回と同じ編成でいいか?」


 ガルドがそう言って、俺を見る。


「俺は構いません」


 そう答えると、ミーナが少しだけ安心したように息を吐いた。


「正直……前より気が楽なのよね」

「あなたがいると」


 その言葉に、俺は何も返さなかった。


(気のせい、で済ませておいた方がいい)


 まだ、説明する段階じゃない。


 森に入ると、前回と同じように周囲を観察する。

 風向き、足跡、地形の起伏。


「ガルド、三歩下がって」

「ミーナ、詠唱は短縮。無理に最大威力を狙わないで」


「了解」

「分かったわ」


 反応は早い。

 前回の成功で、俺の指示を疑わなくなっている。


 魔物が姿を現したのは、予想通りだった。


「来る、右前方」

「二体。間隔は狭い」


 ガルドが一体を引きつけ、ミーナがもう一体を牽制。

 無理に倒しきらず、位置をずらし、分断する。


「今、行ける」

「焦らなくていい。確実に」


 結果は、前回と同じ。


 負傷者なし。

 消耗も最小限。

 想定時間より早い完了。


「……やっぱり、おかしい」


 帰り道、ミーナがぽつりと呟いた。


「いつもなら、誰かしら怪我してた」

「でも今回は……」


「運がいいだけだろ?」


 ガルドはそう言ったが、声に確信はない。


「二回続くと、運って言いづらいわよ」


 ミーナの視線が、俺に向く。


「アレン、前もこんな感じだったの?」


「……ええ」


 正直に答える。


「勝てていました」

「大きな事故もなく」


 それだけ。


 ギルドに戻ると、受付嬢――フィオナが依頼書を確認して、目を瞬かせた。


「……被害報告、なし?」


「はい」


「この依頼、意外と事故率高いんですけど」


 フィオナは、俺と二人を交互に見る。


「編成、変えてませんよね?」


「同じです」

 ガルドが答えた。

「……楽でした」


 フィオナは、何か考え込むように顎に手を当てた。


「そう、ですか」


 その視線が、俺に向く。


 探るような目。

 だが、問い詰めるほどではない。


「次の依頼も、同じ三人で受けます?」


「受けます」


 ガルドが即答した。


「変える理由、ないしな」


 依頼票を受け取りながら、俺は思う。


(少しずつ、だな)


 学園では、

 勝っても理由を見られなかった。


 ここでは、

 勝ち続けると、理由を探される。


 それだけの違い。


 ギルドの掲示板に、新しい噂が貼られる。


「最近、事故らない新人パーティがいるらしい」

「補助が変わってるとか」


 俺は、それを横目で見て通り過ぎた。


 まだ、名前が出る段階じゃない。


 でも――

 確実に、何かが動き始めている。


 冒険者証を握りしめながら、静かに歩く。


 この世界は、

 結果を積み重ねた者から、

 少しずつ居場所を与えていく。


 その仕組みは、

 学園よりもずっと分かりやすかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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