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非戦闘職として学園を追放された俺、冒険者ギルドでは危険回避の前提になっていました 〜戦わない戦術補佐は、勝たないことで評価される〜  作者: 天城ハルト


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第6話 パーティ解散

 最後の訓練日は、驚くほどあっけなかった。


 除籍が正式に決まった以上、俺に割り当てられる実習はない。

 訓練場の端で、ただ他の生徒たちの動きを眺めているだけだった。


「……あれ?」


 模擬戦が始まってしばらくして、違和感が生まれる。


 動きが噛み合っていない。


 前に出すぎる前衛。

 回復のタイミングが遅れる後衛。

 本来なら起きないはずの小さなミスが、連鎖していく。


(……ああ)


 理由は分かっていた。


 だが、俺は何も言わない。

 もう、俺の役割ではないからだ。


「くそっ……!」


 剣を弾かれ、レオンが舌打ちする。

 ゴーレムの反撃を受け、隊列が崩れた。


 模擬戦は、敗北。


 観戦していた教官たちが眉をひそめる。


「動きが雑だな」

「連携が取れていない」


 誰も、俺の方を見ない。


 訓練後、レオンが俺の前に立った。


「……今日の、見てたか?」


「うん」


「なんか、噛み合わなかった」

「理由が分からない」


 本気で困惑している顔だった。

 責める気も、試す気もない。


 ただ、分からないのだ。


「……そうか」


 それ以上、俺は何も言わなかった。


 言えば、説明できる。

 どこがズレて、どう直せばいいか。


 でも――

 それはもう、俺の居場所ではない。


「アレン」


 別れ際、レオンが呼び止める。


「外に出たら、どうするんだ?」


「さあ」


 正直な答えだった。


「できることを、探すよ」

「戦えなくても、何かはあるだろ」


 レオンは、少し気まずそうに視線を逸らす。


「……悪かったな」


 それが、彼なりの言葉だった。


「気にするな」


 俺はそう返した。


 本当に、気にしていなかった。


 この関係は、もう役目を終えた。

 それだけのことだ。


 寮へ戻る途中、リィナが待っていた。


「……やっぱり、負けたのね」


「うん」


「あなたがいないから?」


 問いかけは、真っ直ぐだった。


 俺は、少し考えてから答える。


「それもあるかもしれない」

「でも、それを証明する術はない」


「……私は、信じてる」


 リィナは、はっきりと言った。


「あなたがいたから、勝ててた」

「それだけは、間違いない」


 胸の奥が、少しだけ熱くなる。


「ありがとう」


 それ以上は、言えなかった。


 感情を溢れさせたら、

 この静かな別れが壊れてしまいそうだったから。


 その夜、俺は正式にパーティを外された。


 書類一枚。

 署名と、印。


 それで終わりだ。


 ――アレン・クロウは、

 この学園の戦闘パーティから除外された。


 翌朝。


 学園の門が、いつもより大きく見えた。


 荷物は、背負える分だけ。

 振り返る理由は、もうない。


(ここで学んだことが、全部無駄だったとは思わない)


 だが、

 ここに居続ける理由も、もうなかった。


 一歩、門の外へ踏み出す。


 その瞬間、

 俺はまだ知らなかった。


 この学園を離れたことで――

 初めて、本当に「必要とされる場所」に辿り着くことになることを。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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