表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非戦闘職として学園を追放された俺、冒険者ギルドでは危険回避の前提になっていました 〜戦わない戦術補佐は、勝たないことで評価される〜  作者: 蒼月アルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/55

第51話 遅れた区画

 問題は、小さな迷いから始まった。


 第三区画――住宅が密集する一角。


 魔物の流れは主に第一区画へ向かっていた。

 だが、一部が街の外縁を迂回し始めていた。


「まだ距離はある」

 現場責任者はそう判断した。


 避難の号令は、出なかった。


 結果として――遅れた。


 夕刻。


 外縁の柵が破られる。


 規模は大きくない。

 だが、住民の移動が始まる前だった。


 混乱は一瞬で広がる。


「逃げろ!」


 叫び声。

 狭い路地。

 転倒。


 騎士団が到着した頃には、

 魔物はすでに数体を残して去っていた。


 被害は、数名。


 致命傷ではない者もいた。

 だが、助からなかった者もいる。


 夜。


 報告を受けた会議室は、静まり返っていた。


「……私の判断です」


 現場責任者が、頭を下げる。


「避難を急ぐべきでした」


 誰も責めない。


 参事が、ゆっくりと口を開く。


「これは」

 一拍置く。

「私たちの判断です」


 視線が、俺に向く。


 弁明を求めているわけではない。

 ただ、確認だ。


「……言うことは、ありません」


 それだけだった。


 遅れたのは事実。

 読めたかどうかは、別問題だ。


 予測はできた。

 だが、確定ではなかった。


 完全な回避は、できなかった。


「あなたなら」

 騎士団長が低く言う。

「動かせたのではないか」


 静かな問い。


「分かりません」


 即答。


「動かしたかもしれない」

「動かさなかったかもしれない」


 責任を引き受けない。


 それは冷酷ではない。


 この街が、自分で判断している証だからだ。


 参事が、目を閉じる。


「……次は、どうしますか」


「同じです」


「同じ?」


「判断を早める材料を増やすだけです」


 死者は出た。


 だが、街は崩れていない。


 完全救済は、ない。


 その現実を、全員が理解した夜だった。


 外では、森のざわめきが続いている。


 終わっていない。


 だが、

 **誰の責任かは、もう明確だった。**


 それは、街のものだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ