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非戦闘職として学園を追放された俺、冒険者ギルドでは危険回避の前提になっていました 〜戦わない戦術補佐は、勝たないことで評価される〜  作者: 蒼月アルト


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第48話 分けるという選択

 夜が明ける前に、再び会議が開かれた。


 騎士団長は疲労を隠さず立っている。

 勝利の熱は、もう残っていない。


「数が増えている」

 斥候の報告は簡潔だった。

「森の奥から流れてきています」


 参事が、静かに問いかける。


「全面迎撃は可能ですか」


 騎士団長は即答しない。


「可能だが……」

 言葉を濁す。

「長引けば、市街地戦になる」


 商人代表が顔色を変える。


「それは避けたい」


 視線が、こちらへ向く。


「案を」

 参事が言う。


 俺は地図を机に広げた。


「三つに分けます」


 街を区画で囲む。


「森に面した第一区画」

「商業中心の第二区画」

「住宅の第三区画」


 参事が理解を示す。


「第一を空ける、と」


「はい」


 騎士団長が眉をひそめる。


「街の一部を、捨てるのか」


「捨てません」

 淡々と答える。

「動かすだけです」


 第一区画の住民を第二へ。

 第二の一部を第三へ。

 第三の一部を城外仮設へ。


 流れを作る。


「全面ではありません」

「三分の一です」


 商人代表が唸る。


「損失は」


「限定的です」


 参事が決断する。


「実行します」


 団長が反発する。


「戦えば守れる!」


「守れます」

 俺は否定しない。

「ですが、守った証明は残ります」


「証明?」


「“ここに守る価値がある”と」


 団長は黙る。


 昼前。


 第一区画の移動が始まる。


 混乱はある。

 だが、全面避難より小さい。


 夕方。


 魔物の先頭が第一区画に到達。


 空いた通りを通り抜ける。


 破壊はある。

 だが、人はいない。


 城壁上から参事が息を吐く。


「……成功、でしょうか」


「まだです」


 俺は、第二区画を見る。


 魔物の一部が、曲がった。


 人の匂い。

 生活の気配。


「完全ではありません」


 だが、数は減っている。


 騎士団が限定迎撃を行う。


 被害、ゼロ。


 夜。


 参事が言う。


「あなたの案です」


「違います」


 否定する。


「決めたのは、あなたです」


 参事は、少しだけ笑う。


「それでも」

「並べたのは、あなたです」


 俺は答えない。


 城壁の外では、まだ影が動く。


 だが、街は立っている。


 全面ではない。

 完璧でもない。


 ただ、

 **分けたことで、崩れなかった。**


 それだけが、事実だった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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