表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非戦闘職として学園を追放された俺、冒険者ギルドでは危険回避の前提になっていました 〜戦わない戦術補佐は、勝たないことで評価される〜  作者: 天城ハルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/15

第2話 数値に出ない実力

 成績会議は、いつも通り淡々と進んでいた。


「次、二年第三パーティ。総合評価は――Aだな」


 教官席の中央で、マルグリット教官が書類に目を落としたまま告げる。

 低く、感情のない声。


 模擬戦の結果、討伐速度、被害率。

 数値化された項目が、机の上に並んでいた。


「レオン・ヴァルディス。撃破数、突出している」

「前衛として申し分ない」

「将来は部隊指揮官候補か」


 教官たちが次々と頷く。

 その中に、疑問の声はない。


 俺は、部屋の隅に立っていた。

 当事者だが、発言権はない。


「補助担当……アレン・クロウ」


 マルグリット教官が一瞬だけ、視線を上げる。


「戦闘参加率が低い。撃破数はゼロ」

「戦術指示は出しているようだが……それだけだな」


 それだけ。


 否定も、肯定もない。

 ただ事実を読み上げただけだ。


「勝率は高いが、個人評価には反映しづらい」

「他の者が優秀だった可能性もある」


「妥当だな」

「補助職はどうしても評価が曖昧になる」


 誰かがそう言って、話題は次に移った。


 俺は何も言わなかった。

 言えることが、なかった。


(……確かに、俺は戦ってない)


 指示を出した。

 危険を避けた。

 最善の配置を考えた。


 でも、それは“結果”として残らない。


 剣を振るったわけでも、魔法を撃ったわけでもない。

 数字にすれば、ゼロだ。


「アレン」


 会議が終わった後、廊下でマルグリット教官に呼び止められた。


「君は真面目だ。指示も分かりやすい」

「だがな――」


 一拍置いて、続く。


「実戦では、戦えない者は足手まといになる」

「指示だけでは、部隊は救えない」


 厳しいが、理屈は通っている。

 俺は頷いた。


「はい……分かっています」


 本心だった。


 俺は強くなりたいと思ったことはある。

 だが、現実は変わらなかった。


 才能がないなら、役割を果たすしかない。

 それが、俺の出した答えだった。


「今後の方針次第では、補助職の扱いも変わる」

「覚悟しておけ」


 そう言い残し、教官は去っていく。


 廊下に一人残され、俺は壁にもたれた。


「……覚悟、か」


 不安はあった。

 だが、それ以上に――

 自分が“切られる側”だとは、どこかで理解していた。


 訓練後、いつものようにパーティで集まる。


「今回も楽勝だったな」

「アレンの指示、分かりやすかったぜ」


 レオンが笑いながら言う。


「でもさ」

 ふと、別のメンバーが続けた。

「ぶっちゃけ、俺たちが強くなっただけじゃね?」


「はは、まぁな」

「結果出してるのは俺たちだし」


 悪意はない。

 本当に、そう思っているだけだ。


 俺は、否定しなかった。


 否定する理由が、見つからなかった。


 その様子を、少し離れた場所から見ていた少女がいる。


 リィナ・フェルゼ。

 回復役の同級生だ。


 彼女は俺を見て、ほんのわずかに眉をひそめた。


(……本当に、それだけ?)


 その違和感は、まだ言葉にならない。


 俺自身も、気づいていなかった。


 この学園では、

 「勝たせた者」ではなく、「倒した者」だけが評価されるということを。


 そしてその基準が、

 静かに、確実に――

 俺を不要な存在へと追いやっていることを。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ