表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非戦闘職として学園を追放された俺、冒険者ギルドでは危険回避の前提になっていました 〜戦わない戦術補佐は、勝たないことで評価される〜  作者: 天城ハルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/25

第17話 学園案件

 その依頼票を見たとき、最初に感じたのは懐かしさだった。


「……学園?」


 ギルドの相談スペースで、フィオナが静かに頷く。


「はい」

「正式名称は“王立育成学園・対外協力要請”」


 胸の奥が、少しだけ重くなる。


「内容は?」


「対外実習への戦術補助参加です」

「名目は“外部アドバイザー”」


 アドバイザー。

 随分、綺麗な言葉だ。


「指名、ですか」


「はい」


 フィオナは、依頼票の該当欄を指で叩く。


《補助役:アレン・クロウ》


 そこに、迷いはなかった。


「……断れますよね?」


 確認すると、フィオナは即座に答える。


「もちろんです」

「強制ではありません」

「学園側も、その点は理解しています」


 理解している。

 それが、余計に厄介だった。


「条件は?」


「報酬は相場以上」

「日程はあなたに合わせる」

「現場判断の裁量も、あなたに委ねる」


 ――出来る限り、へりくだっている。


(必死だな……)


 そう思ってしまう自分がいて、少し驚く。


 学園にいた頃、

 俺は“切られる側”だった。


 今は――

 選ぶ側に近い。


「……少し、考えてもいいですか」


「はい」

 フィオナは頷く。

「今日中でなくて構いません」


 相談スペースを出ると、ガルドとミーナが待っていた。


「学園案件だって?」


 もう、噂は早い。


「……うん」


「行くのか?」


 ミーナが、真剣な目で聞いてくる。


「分からない」


 正直な答えだった。


「戻るわけじゃない」

「ただの仕事、だと思う」


「それなら」

 ガルドが肩をすくめる。

「行ってこいよ」

「今のお前なら、何も失わねぇ」


 その言葉が、胸に残る。


(失わない……か)


 夜、宿の部屋で一人になる。


 机の上に置かれた依頼票を、じっと見つめる。


 学園。

 追放された場所。


 怒りはない。

 恨みも、正直ほとんどない。


 ただ――

 終わったはずの場所が、また目の前に現れた。


(何を、期待してるんだろうな)


 向こうが。


 謝罪か。

 復帰か。

 それとも、都合のいい協力か。


 俺は、深く息を吐いた。


(俺は、もう学園の人間じゃない)


 それだけは、はっきりしている。


 翌朝、ギルドでフィオナに伝える。


「受けます」


「……よろしいんですね?」


「はい」

「ただし、条件があります」


 フィオナは、真剣な表情になる。


「現場の判断は、俺に任せてください」

「学園の指示でも、危険だと思ったら従いません」


 彼女は、少しだけ笑った。


「その条件、先方も想定しています」

「……むしろ、それを望んでいます」


 依頼票に、受諾の印が押される。


 こうして、

 俺は“外部の人間”として、

 再び学園と関わることになった。


 それが、

 後悔型ざまぁの始まりだとは、

 この時点では、まだ誰も口にしなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ