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非戦闘職として学園を追放された俺、冒険者ギルドでは危険回避の前提になっていました 〜戦わない戦術補佐は、勝たないことで評価される〜  作者: 天城ハルト


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第10話 補助がいない違和感

 その日は、いつもよりギルドが騒がしかった。


「……失敗?」

「怪我人が出たらしいぞ」


 掲示板の前で、数人の冒険者が顔をしかめている。

 どうやら、新人向けの依頼で事故が起きたらしい。


 俺は、少しだけ足を止めた。


(珍しくない話だ)


 本来なら、そう流して終わる。

 だが――


「ガルドたちも、同じ依頼だったはずだろ?」

「昨日まで、あの三人は無傷続きだったのに」


 その言葉に、耳が引っかかった。


 ほどなくして、ガルドとミーナが戻ってくる。

 二人とも無事だが、表情は硬い。


「……どうだった?」


 俺が声をかけると、ガルドは苦い顔で頭を掻いた。


「正直に言う」

「今日は、お前がいなかったのが響いた」


「え?」


 ミーナが、少し申し訳なさそうに続ける。


「あなた、別の依頼受けてたでしょ」

「だから、別パーティの補助を一人借りたんだけど……」


「噛み合わなかった」


 ガルドが短く言った。


「指示が遅い」

「危険を読むタイミングが違う」

「結果、無駄な消耗が出た」


 怪我人が出なかったのは、運が良かっただけだという。


「……俺がいなくても、問題ないと思ってた」


 ガルドは、視線を落とす。


「でもさ」

 顔を上げて、真っ直ぐ俺を見る。

「いないと、違うんだな」


 その言葉に、胸がわずかにざわつく。


「それは……慣れの問題じゃ?」


「違う」

 ミーナが首を振った。

「あなたの時は、“起きる前に避けてる”感じがする」


 それは、学園でも聞いたことのない言葉だった。


 ギルドのカウンターで、フィオナがこちらを見ている。


「……アレンさん」


 珍しく、彼女の方から声をかけてきた。


「今日、別パーティから相談が来ています」

「臨時でいいので、補助に入ってほしいと」


「俺が?」


「ええ」


 彼女は少しだけ言いにくそうに続ける。


「そのパーティ、最近失敗続きで」

「……あなたが関わった依頼と、関わらなかった依頼で、結果が違いすぎるんです」


 一瞬、言葉に詰まる。


(比較、され始めてる)


 学園では、されなかったことだ。


「……分かりました」

「できる範囲で」


 そう答えると、フィオナは安堵したように頷いた。


「ありがとうございます」


 その日の午後、俺は別のパーティに同行することになった。


 編成は、前衛二人・後衛一人。

 経験はあるが、最近つまずいているらしい。


「補助? ……大丈夫か?」


 最初は、警戒された。


「戦えません」

「その代わり、危険は減らします」


 同じ説明。

 同じ立ち位置。


 だが、結果は――


 やはり、同じだった。


 無駄な戦闘を避け、

 危険な地形には近づかず、

 戦う時は、勝てる形だけを選ぶ。


「……なんだこれ」


 依頼完了後、前衛の一人が呆然と呟く。


「今まで、何でこんなに苦労してたんだ?」


 誰も、俺を褒めはしない。

 だが――

 不安がない。


 それが、何よりの変化だった。


 ギルドへ戻ると、噂が一段階変わっていた。


「最近、補助次第で結果変わるって話だぞ」

「戦わないのに、空気が違うらしい」


 俺は、冒険者証を見下ろす。


 まだ、最低ランク。

 評価も、肩書きも、何もない。


 それでも――


(……必要とされ始めてる)


 それは、確かだった。


 学園では得られなかった感覚。


 自分が“いないと困る”という実感が、

 少しずつ、形になり始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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