プロローグ
8話完結予定です。順次SSを上げていきたいと思います。
「ディライト公爵令嬢! 私は、この女性を心から愛してしまった! もうこれ以上、君との婚約は続けられない! 私はこれから愛に生きると誓ったんだ!」
国王の生誕祭のパーティー。その華やかな場で。なにを馬鹿な事を――とは誰も止められなかった。
その発言をしたのは、第一王位継承権をもつ、アレクシス・バートランド殿下だったからだ。
「まぁ、嬉しいですわ。アレク様」
隣には、あまりにも場違いなほどに、肌を晒した女性を連れている。誰もが、『ああ、アレクシス王子が娼婦に夢中だという噂は本当だったのだ……』と考えた。
一方の、先ほどの礼儀の欠片も無い発言を浴びせられたディライト公爵令嬢は、扇で口元を隠し、静まり返った会場で誰の耳にも届くような凛とした声で聞いた。
「それは、神に誓って、でしょうか殿下?」
アレクシスは、グッと押し黙った後に言った。
その言葉に周囲は動揺する。王族が神に誓いを立てる。
その意味を誰もが知っているからだ。
「……ああ。神に誓ってだ……!」
ニヤリ、と二人の女性が口元に笑みを浮かべた。
一人は、アレクシスが連れて来てエスコートする『娼婦』。
そしてもう一人――。
その直後。
バサァッ!!
茶色いウィッグが会場の空中を飛んでいった。
「おま……エリーゼ!? え、えぇ? クラリスは知って……!? 嘘だろ、全然ついていけないんだが……!」
自分が起こした騒ぎにも関わらず、王子は慌てて隣の女性と、目の前の婚約者を何度も見返した。
ざわり、と会場の空気が揺れた。
「言質、取りましたからね!」
そして、高らかに宣言する女性の声が辺りに響いたのだった。




