表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~  作者: A08_Studio
【第一章】少年と少女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/32

【第031話】あなたのいいところ

結月は眉間にしわを寄せる。


「あのさ、違いがよく分からない......」


「そうかな? さっきの場所とこことではかなり違うんだけど......たぶんこっちかな?」


彼女は真也に手を引かれながら歩みを進める。


「なんか複雑......」


「なんで?」


結月は口を尖らせる。


「だってさ、あなたは分かって、自分じゃ分からないんだよ?」


「う~ん......」


「自分のことなのに、よく分からないまま」


彼女は視線を落とす。

真也も考え込む。


(確かに、彼女自身が納得しないまま進むのはよくないかも)


彼は足を止める。


「そうだね、君の言うとおりだ」


「えっ?」


結月は真也を見つめる。


「これは本来、君自身が探していくものだ。俺が勝手に決めるのは違うな。ごめん......」


「別に責めてるわけじゃ......私が自分で分からないのがいけないんだから」


彼は首を振る。


「いや、勝手に決めるなって言われたばかりなのにさ......」


結月は目を見開く。


「別に勝手じゃないんじゃない? 私も嫌だったら嫌って言えるし」


「そうだけど、君が選んだ方がいいと思う」


真也はまっすぐに彼女を見つめる。

結月はしばし考え込み、顔を上げる。


「そうだね。私の異能だから、私が理解しないと」


彼もうなずく。


「ねえ、感覚を教えてくれないかな?」


「感覚?」


「そう、それが分からないんじゃ進めないから。まず、自分が“想いの断片”だっけ? それを掴めるようになりたい」


「分かった」


真也は口に手を当てる。


「今は、何か感じる?」


「......そよ風くらいのサワサワするような感覚だけかな。あなたが言うような、温度とか、想いが入ってくるとかはないかな」


「なるほど......何が違うのかな?」


結月は目を閉じる。


「う~ん、人も違うし、考え方も違うし......そんなの上げ始めたら切りないんじゃない?」


「そうだけど、何かが違うからこそ、気づけてるってことでしょ? だから、そこにヒントがあるんじゃないかな」


二人で考え込む。


「大きいところで言えば、視点は一つあるかもね?」


「視点?」


結月は真也の方を見る。


「そう。君は自身だから主観で、俺は他人だから客観」


「他人だから見えることもあるみたいな感じってこと?」


「まあ、そんな感じかな? 可能性でしかないけど」


彼女は顔を上げる。


「試してみる」


真也は目を見開く。


「やれば何かしら変化があるから、そこから掴めるものもあるはず」


「さすが。君のそういうところ、俺、ホント尊敬してる」


結月は怪訝そうに真也をのぞく。


「それは褒めてるの?」


「褒めてる、褒めてる。頼もしいし、好きだね」


彼女は赤面する。


「そんなところ褒められたの初めて」


「嫌だった?」


結月は首を振る。


「嫌じゃない、嬉しかった」


真也は微笑む。


「上っ面で人を見るのが嫌でさ、そういう感じになっちゃうんだよね」


結月も微笑む。


「それはあなたのいいところ。私も好きだなそういうの」


真也は赤面し、視線をそらす。


「ずるいな。それって褒めてる?」


「また同じくだりをするの?」


二人で笑い合う。


「仕返し成功だね」


結月がVサインを見せつけると真也は口を尖らせる。


「なんのだよ。君は褒める部分の宝庫だから覚悟しときなよ」


「今度は宣戦布告? 褒めたって何も出ないよ」


「関係ない。俺が褒めたいから褒めるんだ」


「じゃあ、楽しみにしてる」


「うん」


そうして、二人が笑い合うと、温かい空気が二人を包み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ