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君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~  作者: A08_Studio
【第一章】少年と少女

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【第027話】変わりゆく日常

ゆかりが処置室の扉をノックするが、返事はない。


「入るぞ」


真也が横たわるベッドの横に、結月が座っている。


「ゆづ......」


結月がゆかりの方を向く。


「あまり、気にしすぎるなよ」


結月の反応はない。


「別に死んだわけじゃねぇし、その内、目を覚ます」


彼女はうつむく。


「......私が行ってみようなんて言うから――」


「そうじゃない、そうじゃねぇぞ、ゆづ」


ゆかりは結月の肩に手を当てる。


「こいつのことだ、行く前からそんなことは覚悟決めてたと思うぞ」


結月が顔を上げる。


「真也は良くも悪くも慎重派だと思う。チキンで腰が重いとバカにはしたが、それはリスクを考えられるからこそだ」


「......」


「だからこそ、異能の気配を感じた瞬間にお前を遠ざけたんだ。いざって時に、そうしようと決めてたんだと思う」


彼女の目が潤む。


「普段は頼りねぇくせに男見せやがって」


ゆかりは微笑み、結月の頭をなでる。


「だから、そんな落ち込んでやるな」


ゆかりは結月を抱きしめた。



「そう......」


藍は小さく息を吐く。


「さっき、“統領”から連絡が来た」


かおりも静かに息を吐く。


「また、始まるのね」


「......まだ断定はできないけど」


藍が何かに気づく。


「まさか、哲が駆り出されたのも?」


「そうかもしれない」


かおりはうつむく。


「だったらなおさら、二人を守らないとね」


「ああ、それに、ある意味チャンスかもしれない」


「チャンス?」


彼女は腕を組む。


「私たちにも、あの子たちにも、時間ができた。合法的にね」


「なるほど」


藍は口に手を当てる。


「どの道、目途が付くまで、私たちはここを出ることができない」


「確かに、鍛えるにはもってこいかもね」


「あの子たちも、本質的な異能の脅威を認識したはずだ」


「そうね。鉄は熱いうちに叩けというし」


「ただ、真也も目覚めてないし、結月ちゃんにも時間は必要だろう。数日休ませて、二人にも話そうと思う」


「オッケー」


カウンター奥の扉が開く。


「姉御、容器回収したから、戻るわ」


ゆかりは鍵をかおりへ手渡す。


「保護特例の話は?」


「ゆづにはさっきした」


「なんか言ってた?」


「分かったって」


かおりと藍は神妙な表情を浮かべる。


「あと、ゆづん家に説明に行ってくる」


藍がエプロンを取る。


「私も行くわ、久々に顔も見せたいし」


「助かるぜ、藍の姉御」


かおりは立ち上がる。


「真也は、私が見ておくから、三人で行ってきて」


藍とゆかりはうなずく。


「はぁ~、正直、署に戻りたくねぇ......」


ゆかりはうなだれる。


「大丈夫でしょ? あの人は哲と動いてるんでしょ?」


「そうだけど......」


藍がゆかりの背中をポンと叩く。


「元締めも言ってくれてるだろうし、私もこの後、連絡しとくわ」


「恩に着る、姉御ぉ」


かおりは小さくため息をつく。


「さすがに、理解してくれると思うけどね」


ゆかりは手を横に振る。


「いやいや、娘のことになると空気変わるからな」


かおりと藍は苦笑いを浮かべる。


「まあ、徹底しているという点では私たち以上かも」


「だろ? ゆづが実は異能を発現してたとか口が裂けても言えない」


「隠し通せるとも思わないけどね」


「それでもだ!」


「はいはい、大丈夫よ。その時は私が何とかするから。あなたは目の前のことをやりなさい」


かおりはそっとゆかりの頭をなでた。

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