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君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~  作者: A08_Studio
【第一章】少年と少女

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【第026話】見えない恐怖

結月がゆかりへ駆け寄る。


「間一髪だな」


「......いったい何が」


「話はあとだ、こいつを早くなんとかしねぇと」


ゆかりは立ち上がり、真也を背負う。


「ゆづ、かおりの姉御に連絡できるか?」


結月はうなずく。


「“至急Irisへ、緊急処置”だと伝えてくれ」



「姉御、あいつは?」


部屋を出てきたかおりにゆかりが問いかける。


「命に別状無し。あとは、あの子次第ね」


「はぁ~そうか......すまねぇ、あたしが付いていながら」


かおりは首を横に振る。


「あなたが機転をきかせてくれたから、あの子は助かった。本当にありがとう」


彼女はゆかりを抱きしめ、頭を撫でた。


「ゆづは?」


「真也に付いててくれてる」


「そうか」


「気に病まないでほしいけど......」


かおりは心配そうに部屋の扉を見つめる。


「......」


「それはそうと、現場の方は?」


「所轄の方で神社は封鎖、異能対の方で調査を進めてる」


「そう」


彼女が歩き出すとゆかりもそれに続く。


「真也くんは?」


リビングまでくると藍が問いかける。


「大丈夫よ。しばらくお世話になるかもだけど」


藍は静かに息を吐き出す。


「心配ないわ。さっ、二人ともかけて、一息つきましょう」



「やっぱりか」


ゆかりは腕を組む。


「ええ、真也から抽出した“気力”には、得体の知れないものが含まれてた」


「吸い出せたのか?」


かおりはうなずく。


「姉御はどう感じた?」


「確かに、精神を浸食されるような感覚があった。そして、“陰”でも“陽”でもない」


彼女は険しい表情を浮かべる。


「陰陽区分ができないってことあんのか?」


「ないはずよ。少なくともこれまでは」


「新しい区分ってことか?」


「分からない。複雑に混じってる可能性もある」


かおりは口に手を当てる。


「そもそも、陰陽を混ぜるなんてできんのか? 性質が正反対だろう?」


「できないことはないと思う。二系統持ちだと、二つの性質を合わせることもできるじゃない?」


「確かに」


「ただ、一人の人間が持てる陰陽区分はどちらかだけ。二系統持ちでも両方持つことは不可能だ」


彼女の眼光が鋭くなる。


「ってことはだ、今回のは自然由来ではないってことか?」


「断定はできないけど、人為的に生み出された可能性はある」


「はぁ、これは大事になりそうだな」


ゆかりは額に手を当て、うつむく。


「サンプル、預かってもいいか?」


「ええ、装置の容器ごと持って行ってちょうだい。“理院”にも出すでしょ?」


かおりはゆかりへ鍵を渡す。


「そうだな、助かる」


ゆかりの携帯が鳴る。


「はい、鷲尾です......ええ......ええ......分かりました。こちらもサンプルを回収し次第、戻ります。はい、失礼します」


彼女は電話を切る。


「なんだって?」


ゆかりは小さく息を吐き出す。


「神社の地中から謎の装置が発見された」


かおりもため息をつく。


「どうやら、最悪のケースになりそうね」


「ああ。......たぶん、二人は保護特例になっちまう」


ゆかりは申し訳なさそうにつぶやく。


「心配ないわ。私と藍が付けば問題ないでしょ?」


彼女は顔を上げる。


「特級と一級なら十分過ぎる」


「今日から対応するから、二人にも説明していい?」


「すまねぇ、よろしく頼む。情報は追って連絡する」


かおりがうなずくとゆかりは処置室へと向かっていった。


「いったい奴らは何をしようというの」


かおりの言葉は静寂な空間へと吸い込まれていった。

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