【第025話】闇の気配
「えっと、神社は......」
真也は公園の案内板をのぞき込む。
「こっちの奥だね」
結月はその方向を指さし、歩き始める。
真也とゆかりもそれに続く。
「都会にもこんな自然あるんだな」
真也は辺りを見回す。
「大きな公園だと、こんな感じじゃない?」
「そうなの?」
結月はため息をつく。
「君は出かけたりしないの?」
「あぁ......しないかも」
「じゃあ、休日は?」
「本を読んだり。最近はバイトだけど」
ゆかりもため息をつく。
「お前、本当に17歳なんか? 高校生だったら、もっとなんかあんだろ」
「なんかって何ですか?」
「ダチと遊ぶとか、彼女をつくるとか」
「う~ん......」
真也は寂しげに微笑む。
「じゃあ、今日は?」
結月は彼の腕に抱きつく。
「今日は楽しいよ」
「誰のおかげ?」
「もちろん君でしょ」
真也の様子を確かめると、結月も得意げな表情を浮かべる。
「お前ら楽しそうだな」
ゆかりは生暖かい目で見守っている。
「鷲尾さんはそういうのないんですか?」
「そういうの? 高校の時ってことか?」
結月はうなずく。
「高校の時は、ダチと遊びまくってたな」
「彼氏は?」
「いない、いない」
「へぇ、意外」
結月は目を見開く。
「たくっ、どんな目であたしを見てんだ」
ゆかりが大きく息を吐くと、真也は何かに気づく。
「なんか、社っぽいのが見える」
結月とゆかりもそちらを見る。
「あれだね」
「ちょっと待て」
真也と結月は立ち止まる。
「外周から見てもいいか? まず、外から異能の気配を確かめたい」
二人もうなずく。
「よし、じゃあ、左から行くぞ。何か、気づいたら立ち止まれ。絶対に自分から近寄るな」
「了解です」
「分かりました」
二人の返事を確認すると、ゆかりは先頭で歩き出す。
「手入れはされてるみてぇだが、人が全然いねぇな」
「そうですね、途中も誰もいませんでしたし」
「木が生い茂ってるせいか、薄気味わりぃ」
「確かに、ちょっと怖いかも」
結月は腕をさする。
「社のまわりは完全な死角だな」
「丘になっているせいか、木で全然見えませんね」
「今のところ、違和感はねぇが......」
ゆかりは険しい表情を浮かべる。
「っと、一周できないみたいだな。戻って、表から入ろう」
真也と結月はうなづく。
「ここって昔からあるのかな?」
「どうだろう。まあ、新しい感じはしないけど」
「こうやって忘れられてくのかな」
結月は遠くを見つめている。
「手入れがされてるってことは、忘れられてはないんじゃないか?」
「本当にそうなのかな?」
三人が鳥居の前まで来る。
「あたしが先頭で行くから、二人は付いてきてくれ」
二人がうなずくとゆかりは足を踏み出す。
「特段、違和感はねぇな」
「ですね」
「まずは手水だな」
三人並んで清めを行い、拝殿へと向かう。
「!」
真也が何かに気づき、結月を力いっぱい突き放した。
結月は突き飛ばされて倒れ込む。
「痛い......」
「ゆづ! 真也から離れろ!」
ゆかりが叫ぶ。
真也を取り囲むように黒いオーラが立ち上がっている。
彼の叫びに呼応するかのように勢いを増す。
ゆかりは結月の前に立つと異能を解放する。
彼女を白いオーラが包み込み、背に巨大な白銀の翼が現れる。
「一か八か、持ってくれよ」
ゆかりは宙に舞い上がると翼を大きく広げる。
そして、大きく羽ばたく。
光をまとった風圧が真也を襲う。
「ひ弱ななりして、意外とタフじゃねぇか! ドンドン行くぞオラァ!」
ゆかりは間髪入れず、風圧を叩き込む。
最初は変化がないように見えたが、次第に真也の黒いよどみが薄くなり始めた。
「よし!」
ゆかりが真也へ飛び寄り、彼を引っ張り出す。
そして、真也の頭を掴み、印を切る。
そうすると、真也の身体を覆っていた黒いオーラは徐々に消えていった。
「はぁぁ......」
真也が落ち着くの確認すると、ゆかりは地面へとへたり込んだ。




