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君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~  作者: A08_Studio
【第一章】少年と少女

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【第022話】人が背負うもの


「だぁー、こうなっちまったかぁ」


ゆかりは眉間を押さえて、うつむいた。


「あたしも腹くくるしかねぇな」


「私がいると何かまずいんですか?」


結月が切り込む。


「う~ん、まずいわけじゃないんだが......まあ、いろいろあるというか......」


ゆかりの語気は弱くなっていく。


「鷲尾さんは母さんたちから何か聞いてないんですか?」


彼女は目を大きく見開き、身を乗り出す。


「どういうことだ?」


真也と結月は顔を見合わせる。


結月はゆかりへ、立ち聞きの顛末を説明した。


「はぁ、なるほど、なるほど......やられたぁー!」


ゆかりは髪をかき荒らす。


「俺たちはまんまと策略に乗せられたわけですね」


真也が水を差しだすと、ゆかりは一気に飲み干した。


「ふぅ......」


彼女は腕を組み、呼吸を落ち着かせる。


「取り乱して悪かった。改めてになるが、警察庁刑事局異能犯罪対策課の鷲尾だ。よろしく頼む」


「来栖結月です。よろしくお願いします」


結月が応えるとゆかりもうなずく。


「いろいろあるにはあるんだが、お嬢が協力してくれるのは正直助かる」


「......鷲尾さんは私のこと、知ってたんじゃないんですか?」


ゆかりはバツの悪そうな表情を浮かべる。


「う~ん、そうだなぁ......」


彼女はうつむく。


「まあ、想像はつくから大丈夫です」


「ごめんなぁ」


ゆかりは泣き出しそうな声で謝る。


「じゃあ、今日の報告といきますか」


見守っていた真也が切り出した。


「そうだな」


ゆかりも真剣な表情に戻る。

真也と結月はそれぞれの持っている情報をゆかりへ伝えた。


「なるほどな......う~ん」


「彼女は何かの病気だったりとかは?」


ゆかりはしばし考え込んだ。


「お前たちの読み通りだ。彼女は難病を患っている」


「“難病”?」


「ああ、近年になって発見された病気らしく、治療法も確立されてないらしい」


「どんな病気なんですか?」


「力があふれるような感覚が出るんだとか、でも、身体機能は衰弱していくっていう、何だかよく分からない病気なんだ」


「そうですね......」


「まあ、私たちは医療の専門家じゃないから、その議論をしてもしょうがないんだがな」


真也もうなずく。


「彼女は去年の夏頃に発症して、治療を受けつつ日常生活をしていた。だが、10月ごろから一気に悪くなり始めたそうだ」


真也と結月は神妙な表情で聞いている。


「彼女の最近の調子は?」


「良くはなかったんだろうが、小康状態のような感じだったらしい。それで、ホッとしたのも束の間、彼女は失踪。両親のことを思うとな......」


しばしの沈黙の後、ゆかりが口を開く。


「これが青柳怜の事情だ。でも、あまり入り込みすぎるなよ。お前たちが気に病むことじゃない」


「分かってます......」


真也は唇をかむ。


「生きてれば誰しもが何かを背負っている。彼女も、お前たちも、あたしもな。彼女の背負ったものが、それだったというだけの話だ」


「病気と失踪の因果関係はあるんですか?」


結月が質問する。


「現状、因果関係は確認されてない。ただ、病気による心境の変化で、行動パターンが変わっていた可能性はある」


「彼女の最近の様子は?」


「両親や主治医から聞いた限りでは、特段変わった様子はなかったそうだ」


結月は口に手を当てる。


「だから、学校に目をつけたんですね」


「その通りだ。さすがに鋭いな」


ゆかりは表情を緩める。


「事実、青柳怜は通学途中に失踪している」


彼女は目を細める。


「彼女の住んでいるエリアから、お前たちの高校に行く生徒は少ないらしくてな。通学途中の彼女の様子は掴めてないんだ。だから、学校内の近しい連中なら、何か知ってるんじゃないかと思ってな」


「なるほど。じゃあ、そのあたりを中心に情報を集めた方がよさそうですね」


「ああ、そうしてもらえると助かる」


「分かりました」


ゆかりもうなずく。


「正直、こいつだけじゃ、心もとないと思ってたのも事実だ」


真也は口を尖らせる。


「別に責めてるわけじゃないぞ。人間には向き不向きがあるって話だ。ここに関しては、お嬢を頼らしてもらうかな」


結月は静かにうなずいた。


「お前も、お嬢から少し学べ。なんで、あたしらとは普通に話せるのに、同級生とはダメなんだよ?」


「う~ん......、なんか、あの純粋なノリについていけないっていうか」


真也は弱々しく答える。


「私は大丈夫なの?」


「うん、なんでか分からないけど、君は大丈夫」


結月は顔をしかめ、拳を握りしめる。


「なんだろ、すごく複雑な気分」


「お前な、もう少し気ぃ利かせられねぇかなぁ」


ゆかりと結月は大きくため息をついた。

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