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君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~  作者: A08_Studio
【第一章】少年と少女

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【第021話】不器用な男


校舎の中庭のベンチで真也は深いため息をついた。


「何やってんの?」


真也は顔を上げる。


「日向ぼっこ」


結月の表情は変わらない。


「座っても?」


「どうぞ」


彼女もベンチに腰を下ろす。


「難航してるみたいね」


「何のこと?」


真也は淡々と答える。


「どっかの誰かさんが廊下を行ったり来たり」


彼は顔をしかめる。


「反対側のクラスの人間がこちら側に頻繁に来るのはさすがに気になる」


「はぁぁ~、だよなぁ。君はA組だっけ?」


「うん」


真也は力もなく、うつむく。


「どこまで知ってるの?」


彼はおそるおそる尋ねる。


「立ち聞きしてたから。君が巨乳ヤンキー刑事さんに鼻の下伸ばしてたのもね」


真也はさらにうつむく。


「いったい、どんな素晴らしいご褒美なんだろうね」


結月の言葉のトゲは強くなっていく。


「あの人は、俺の反応を楽しんでただけだろ」


真也の言葉に力はない。


「そもそも、あの時はバイト中だろ?」


「久川さんに備品の補充を頼まれたの。それで二階に行ったら、私の名前が聞こえてきて」


「あぁー」


真也は腕を組み、何かを悟った。


「これってさ?」


「どう考えても、わざとだろ」


彼は一段と深いため息をついた。


「君も不器用だね。人を頼ればいいのに」


「......頼れるもんなら頼りたいさ」


真也は投げやりに答える。


「D組の長谷川くん、友達なんでしょ? 彼は交友関係広そうじゃん?」


「あぁ~う~ん......」


真也は険しい顔でうつむく。

結月はあきれた表情でため息をつく。


「手伝ってあげよっか?」


彼は顔を上げ、結月を見つめるが、すぐに難しい表情を浮かべる。


「何の心配してるか知らないけど、私も持ってるから」


「えっ?」


「心配は不要と言ってるの」


結月は語気を強めた。

真也はしばし考え込み、顔を上げる。


「ごめん、手伝ってほしい」


「何で謝るの? こういう時は、“ありがとう”でしょ」


「......ありがとう」


結月がたしなめると、真也もそれに従う。


「意地張ってないで相談くらいすればよかったのに。言えること言えないことあるかもしれないけどさ」


「う~ん、考えもしなかったな」


「君って冷静そうに見えて、意外と視野が狭いよね」


真也は口を尖らせる。


「校内は調べたの?」


「うん、くまなく歩いたけど異能の気配はなかった」


「聞き込みは?」


「まったく」


「でしょうね」


結月は深く息を吐いた。


「じゃあ、私からも」


「へっ? もう情報を集めたの?」


「あのね、聞こうとしなくても、聞こえてくるものもあるし、話の流れで聞くこともあるし、そんな構えなくても情報は入ってくるの」


結月はあきれている。


「たまたま、隣クラスだったから、合同授業も多いしね」


「なるほど」


彼女は続ける。


「青柳さんは物静かな印象ね。B組は陽キャが多いから、よりそう見える感じはあるかも」


「ふ~ん」


「ただ、去年の秋ぐらいから休みがちでね。出席の時も咳をしていた印象がある」


「もともと、体調が良くなかった?」


「かもしれないね。その辺りは、刑事さんに確認した方がいいかも」


「そうだね。......あのさ、今日から君も報告会に出てくれない? その辺りは、君から説明してもらった方がいいと思う」


結月は一瞬考え込む。


「......Irisでいいの?」


「うん、17時になったら鷲尾さんが来るから」


「分かった」


真也はうなずくと神妙な表情になる。


「なに?」


「いや、彼女はクラスに馴染めてたのかな?って」


結月は口に手を当てる。


「少なくともはじかれたりとかはなかったと思う。でも、彼女自身が距離を作っていた感じはあったかもしれない」


「どういうこと?」


「上手くは言えないんだけど、もの悲し気というか、冷たい目で見ているというか」


真也は考え込む。


「どうかしたの?」


「いや、何でもない」


「......」


5限目の予鈴がなる。


「ごめん、ギリギリになった」


「別に大丈夫」


「じゃあ、夕方にIrisで」


真也は校舎へ向かおうとする。


「うん。あのさ、一緒に行かない?」


「えっ?」


「事前に話すことを相談しといた方がいいでしょ?」


「確かに。じゃあ、ホームルームが終わったら、ここに集合で」


結月は怪訝そうな表情を浮かべる。


「ねえ、なんで正門とかじゃないの?」


真也はバツが悪そうに答える。


「俺は人がいっぱいいる場所が苦手なんだ」


彼女はプッと笑うと優しくうなずいた。

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