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君の闇、光へと通ず ~現代異能探偵青春譚~  作者: A08_Studio
【第一章】少年と少女

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【第018話】ミステリーは突然に


「失踪事件?」


「ええ、それで真也に協力してほしいの」


夕陽が差し込む雪峰家のリビングでかおりが切り出した。


真也はいつも通りにバイトに来ただけであったが、到着するなり、かおりにリビングへと呼び出されたのであった。


「えっ? なんで、自分なの?」


「それは私が」


スーツを着た見知らぬ女性が割って入る。

真也が視線を送ると、かおりは困ったような笑顔でうなずいた。


「初めまして。警察庁刑事局異能犯罪対策課の鷲尾と申します。本事件の捜査を担当しています」


鷲尾は、警察手帳を見せつつ、丁寧に挨拶した。


真也も軽くお辞儀をする。


「これまでの捜査から、この事件には、異能が関係している可能性が指摘されています。そのため、所轄の警察と協力しつつ捜査を進めている次第です」


「はぁ......でも、それと自分になんの関係が?」


鷲尾は小さくうなずき続ける。


「その失踪者は、あなたが通っている高校の生徒なのです」


「!?」


「失踪届が出されたのが1週間前。ただ、現状、失踪者の足取りを掴む情報は得られていません」


「待ってください。そんな話、聞いたことがありません。そんな事件が起きてるなら、騒ぎになってても――」


「指摘はもっともです。本件は、関係者やメディアも含めて、徹底的な情報統制がなされています」


真也の言葉を遮り、彼女は淡々と説明する。


「そんなにやばい事件なんですか?」


「情報統制については、事件の深刻度というより、事件の性質の問題です。異能の存在は、公には伏せられています。そんな状況で、怪奇現象ともいえる事件が世間へ公表されたら、どうなると思いますか?」


真也は沈黙し考え込んだが、しばらくして目を大きく見開いた。


「ご理解いただけたようで何よりです。そんな事情もあり、警察も大々的な聞き込み捜査ができない状況です。特に、学内の関係者ですね」


そう言うと鷲尾は真也をまっすぐに見つめた。


「まさか、自分に学内の聞き込みをしろと?」


彼女はニコッとうなずいた。


「ご明察。あなたは、異能の事情や危険性を理解している。かおりさんや藍さんも含めた関係者からお話を伺い、人間性にも問題がないと判断しました」


「そう言われても......」


真也はうつむく。


「あた......、私たちは、あなたに事件の解決をしてくれと言ってるわけではありません。我々は、学内関係者からの情報が欲しい」


「......」


「事件捜査に協力していただくにあたっては、リスクに対する万全の備えとフォローをさせていただきます。それを踏まえた上で、失踪した子を助けるために協力していただけないでしょうか」


鷲尾は深々と頭を下げた。

しばしの沈黙の後、真也は顔を上げる。


「......分かりました。ただ、あまり期待しないでもらえると」


「ありがとうございます。もちろん、できる範囲で構いませんし、危険を感じたら引いてください」


真也は静かにうなずいた。

それを確認すると、かおりが切り出した。


「まとまったようね。......ゆかり、もういいわよ」


鷲尾はピクリと眉を動かすと、一気に表情を緩め、ニカッと笑みになった。


「はははっ! いや~、ギリギリだったな!」


「へっ!?」


真也は呆然と鷲尾を見つめる。

彼女は対面のソファーから立ち上がると、真也の横に座り、背中をボンっと叩いた。


「つーわけで、よろしく頼むぞ、少年」


「協力の謝礼は弾むから、楽しみにしとけよ」


かおりが顔をしかめる。


「ゆかり、まだ高校生だから」


「そうか......じゃあ、あたしとのデート券とか? あたしが大人の階段、昇らせちゃおっかな~?」


鷲尾は真也の肩を抱き寄せ、耳元でささやく。


「ゆ・か・り」


「冗談だよ、冗談。そんな、こえー顔すんなよ」


彼女は軽く受け流すと、ふと何かに気づく。


「おっと、少年の方はまんざらでもなさそうじゃん。お姉さんと一緒に高みを目指してみる?」


鷲尾は左手で真也の太ももをなぞる。

真也はゾクリと震えた。


「はははっ! いじりがいのあるヤツ!」


彼女は腕で真也の首を抱え込む。


「ともかく、一人の女の子を救うために協力してくれや」


「“女の子”?」


真也は鷲尾の方へ向き直し、聞き返した。


「ああ、言ってなかったか?」


真也は、口をぽかんと開けて、虚空を見つめる。

そして、震えるように息を吐き出した。

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