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トゥエルブ・セレクション  作者: 上川央離
第1章 十二支結集編
14/29

第14話 会議

 元十二支が集会するための部活動「動物愛好部」。無事定員人数が集まり、晴れて結成された。


 時は学園生活が始まって3日目、放課後である。


 いったいどこから用意してきたのかわからない大きめの円卓を囲んで、俺ら5人はこれからの方針について話し合うというわけだ。


「さて、揃った十二支は4人になったわけだが、次は誰を攻めるべきだと思う? 一応、聞いといてやるよ」


 そう言った元トップの子音さんは、生徒の名前が載っている名簿を、ポイと俺の方向に投げ出す。


 この言い方、彼は次に仲間にする元十二支を決めているな……と、ふんぞり返って椅子に座る姿を見ていると思う。


 ところで、自由だな。この人たち。あくびをしているが、まともに子音さんと向き合っているのは寅琳さんだけ。


 亥寧さんがクルクル回る椅子を気に入って、丑理さんの椅子をも巻き込んで戯れている。


 凄まじい勢いで回っている丑理さんは……終始真顔で何も言わない。


「白白しいわあ。どうせ4組と5組以外、妥当なのは3組やろ?」


「そ。3組の片方はセレンを見せればソッコー仲間だからな」


「俺を見せるだけ……?」


 えーと、さんくみ、3組……せっかく生徒名簿を渡されたのでペラペラめくって見てみると、たしかに十二支を匂わす名前があった。


「えーと。動物の名前が入っている……兎川李卯(とがわりぼう)……犬浦戌慈(いぬうらじゅつじ)……あ! (うさぎ)(いぬ)!」 


「ウサちゃんとイヌくん!? ね、次は2人に会えるの!?」


「わわっ! ちょ、俺の椅子を回さないでくださーい!」


 俺がその名前を口にした瞬間、キラキラお目目の亥寧さんがすっ飛んできた。そして何故か俺の椅子を回す。遠心力で気持ち悪い。

 なるほど猪突猛進。俺には止められそうもない。


「落ち着けや。まったく、やかましくて敵わんわ。あ、セレンはん。せっかくやから、今度はコイツと卯戌コンビ仲間にして来たらどうや?」


「あ、それいいな」


「………はい?」


 寅琳さんが亥寧さんを持ち上げ、回る椅子を止める。助かった……と思ったのも束の間、思わぬ無茶振りである。

 子寅コンビは、意地悪だということを学習するばかりだ。


「安心しいや。お前はウサちゃんを説得すればええねん。ワンちゃんの方は、ほぼ確定で心強〜い味方になってくれんで? それに、コイツはどっちとも仲がええから、十分な交渉材料や」


「わは! ウサちゃんとはいっぱいおしゃべりするし、イヌくんとはいっぱい遊んでるよ〜!」  


「は、はあ……?」 


 ウサギとイヌ。どちらも可愛いイメージのある十二支だ。人間にとっても親しみが深くて、ペットとしても大人気。


 今のところクセがある元十二支ばかりだけど、人間のイメージで出来上がった性格はどのようなものなのだろうか。


「では……私は4組、(たつ)(とり)に接触しておこう。ネズミ、例の件を確認しておく」


「頼む。卯戌は大丈夫そうだからな、俺は5組と接触を図る。(へび)(さる)……アイツら、厄介な思考してそうだな」


「となると、俺は消去法で6組やな。(うま)(ひつじ)か。楽勝やな。ウマさえ引き込めればええし!」


「わは! セレン、がんばろーね!」


 考えごとをしていた隙にあっという間に話がまとまっている!


 俺は、飛びついてきた亥寧さんが腹に衝撃を与えたために、ただうなづいて、肯定の意志を示すだけなのであった。


 若干寅琳さんが同情するような眼差しで俺を見ていたので、経験者なんだろう。


「同じ十二支だからって、舐めてかかると痛い目見る。想定外の今の状況で、アイツらがどんな考えを起こしているかまでは想像もつかない。覚えておけよ。特にトラ」


「名指しかい。へいへい、わかってますよー。俺はイノシシの方がやばいと思うけどな」


「えートラくんひどい! 大丈夫だよセレン、大船に乗ったつもりでいてね! どーんと!」


「あはは……俺も頑張りますね」


 正直不安だとは、亥寧さんの純粋な笑顔を見るととても言えない。それに、トップスリーはそれぞれ1人で2人の相手をするのだ。

 俺が落ち落ち弱音など吐いていられない。


 子音さんと丑理さんが場を引き締め、寅琳さんと亥寧さんが空気を和らげる。

 なるほど、支合同士で役割が違く、意外にも場はまとまっていくのだなと思った。


 これからの方針は決まった。

 今日は会議を終わりにしてお開きにしよう、というところに、コンコンと、ドアをノックする音が聞こえてきた。


「ま、まさか十二支の誰か? あ、それとも入部希望者……?」


「誰だ、入ってこい」


「え、雑!?」


 子音さんが許可したため、扉がゆっくりと開かれる。余裕綽々なこの感じ、もしかしたら誰が来たのかわかっているのかな。他の三方も取り乱した様子はない。


 すぐに、扉から可愛らしい耳……と尻尾? の生えた、この学校の制服ではない、緑色の制服を身に纏った茶髪の青年が現れた。 

 いったい……何の動物だろう。丸い耳に、細長い尻尾。犬……とも違う気がする。


「ちぃーす。元十二支4匹方、お邪魔します」


「……あ? まさかと思うが、イタチ……? お前、何してんだ?」


 イタチ……あっ、イタチと言えば、十二支の話で出ていたな。神様が全動物に出した手紙が、イタチにだけ届かなかった、という話だ。


 申し訳なくなった神様が、月の始まり1日を「ついたち」と呼ぶことにしてあげたのだ。


 そのイタチがここ、十二将に来たということは、何かが始まる予感がする。何となく……悪い予感が。

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