『通房、重勤の再誕たる後、速記者たらむこと』速記談3100
右大将藤原通房卿は、奈良の重勤上人の生まれ変わりだと言われていた。重勤上人は興福寺の菩提院に住んでいらっしゃったが、春日大社に行幸があったとき、当時の大将の装束や居ずまいのすばらしさに感動してしまい、執着の心を起こして、大将に生まれ変わったのだという。通房卿に生まれ変わり、大将として春日大社行幸に供奉の後、ほどなく薨去されたという。十九歳であったとか。通房卿は、生前、速記者にあこがれていたので、後生では速記者に生まれ変わるだろうと、人々はうわさした。
教訓:今生でなりたいと思ったものに、後生で生まれ変わるというのは、執着にほかならないが、うらやましい気もする。