きょうだい
そんな、突然できたかわいい妹。
そんな妹がオレに寄りかかり急に、
「わたしね、好きな人がいるの」
と、いきなりの恋バナ…
「あぁ。」
「でね、その人には好きな人がいてね…。わたしは、仲良いけど…恋人対象外なんだ」
とかなしい表情をしだした。
…えっとー、兄貴ってさ…こういう時カップ麺差し出すのがベスト⁉︎
いや、オレならカップ麺みたらなぜかテンション上がるけど…やっぱちょっと違うか⁉︎
…
ならば…どうすりゃいいんだ⁉︎
「えっとー、なら兄ちゃんと一生独身貴族になるか!」
と提案してみた。
「却下‼︎」
食い気味で速攻却下された。
「その人ね、お兄ちゃんに似てるの」
「おお、どの辺が?」
「うんと、目が二つあるところとか、足が二本生えてたり?」
…
「おい、それは似てるって言わなくない?」
「そう?」
「…うん。てかさ、にいちゃんも好きな人いる」
「あー…、知ってる。髪の毛が蛇なんでしょ?」
「え…なんでそうなるんだよ。」
「あはは、…そもそも…お兄ちゃんの好きな人なんてききたくないっ‼︎」
とむくれる妹。
「かわいいなぁ。優花ちゃ〜ん?怒りまちたかぁ?」
「うん。だって…お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんだからっ」
ギュ〜♡
「なんだよ、かわいいなぁ。優花〜」
ギュ〜♡
優花は、オレをお兄ちゃんとして抱きついているのだろう。
しかし‼︎
変態なオレは、妹ではなく、なおかつ幼馴染でもなく、一人の女性として抱きしめています‼︎
はぁ〜、妹でも幼馴染でもなんでもいいから優花を抱きしめる理由をこれからどんどん模索していこう‼︎と、このとき心に決めた変態は、オレです‼︎
「真樹弥がほんとにお兄ちゃんだったらよかったなぁー」
なんてオレの横で呑気にくつろぐ優花。
…
「いや、それはダメでしょ。だってオレ…」
あ…、あぶねー。
うっかり、だってオレ優花とそしたら結婚できないじゃん!なんて言いそうになったわー‼︎
「え?だってオレなに?」
「えっとー…、優花ときょうだいになったら…なったらー…」
なんていう⁉︎
「なったら?」
…「うん、なれたらよかったなー‼︎やっぱりきょうだいになるか‼︎あ、なら来世できょうだいの予約入れとこう‼︎」
オレは、天を仰いだ。
「ダメっ…‼︎」
オレの願いを阻止する優花。
「きょうだいにならないの?」
…
「うん。きょうだいには…ならない方がいいと思うの。」
「なんで?」
「なんでも‼︎そもそも…現実も、きょうだいじゃないし‼︎これからもその先もきょうだいにならないのっ‼︎もうきょうだいごっこおしまい‼︎」
といきなりきょうだいごっこが終了した。
あーあー…。
「なぁ、優花」
「なに?」
「もうすぐ花火大会だな。」
「うん。」
「楽しみだな」
「うん。」
「今日雨だな」
「うん。」
…
「雨降ってないけど?」
「うん。」
⁉︎
急にうん、しか言わなくなった…。
なんで?
「明日雨だって。」
「うん。」
「優花、オレのこと好きだろ?」
「うん。…んっ⁉︎」
「優花ー、オレのこと好きなんだ?」
「う…違う‼︎」
「どうしたの?なんで急に怒ったの?」
「だって…だってさ…真樹弥がさ…」
「なに?オレが?」
「真樹弥が好きな人いるとか、きょうだいになろうとかいうからー…。」
「やなの?」
「だって…だってさ、わたし…」
「わかった!優花がオレにとっての一番の大切な幼馴染だから。だからおこんなって。一番だよ。」
となだめた。
そう、優花は…昔から一番になりたがるのだ。
「そんなの…なんか…わたしが言わせたみたいで嬉しくないっ‼︎」
「ごめんって。」
たまにぐずる優花がまたかわいい。
でも、優花は…オレの一番だけど…
優花にとったら、ただの幼馴染での一番なんだよな。
一番好きな人は、他の学校にいるオレの知らない人…。
「オレも優花の一番になりたい‼︎」
思い切って言ってやった。
「うん、一番だよ‼︎幼馴染決定戦一位獲得してるよ‼︎」
と親指を立てて笑った。
…
やっぱり幼馴染…
ただの幼馴染…にすぎないのでした。
続く。