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第四十三話 四月二十七日(土)少女はお泊りを楽しんだ

調子に乗って少し過激になったかも。

注意事項:多少艶かしい描写が有ります。苦手な方は閲覧注意。

入浴を終えたリヒトが部屋に戻ってくると、ユウはベッドの上で正座をして待っていた。


「お待たせーって、ユウ?どうしたんだ?」


「えっと……お風呂お借りします!」


ユウは着替えを持って慌てて部屋を飛び出していった。呆然と見送ったリヒトは部屋を見渡せば、ベッドの上にある枕の位置が変わっていた。それは彼女のいたすぐそばにあり、リヒトは何故正座して待っていたのかをなんとなく察した。


「これは……ユウの歯止めがきかなくなってるかも。頑張って耐えなきゃか」


リヒトは嬉しさ半分怖さ半分でユウが戻るのを待つことにした。

彼女が飛び出すように部屋を出て三十分程経った頃だろうか、部屋のドアがノックされた音が聞こえてきた。ドアが開かれた先を見ると、そこには湯上がりの火照った顔で立っているユウの姿があった。


「あ……あの、お風呂いただきました」


「ああ、ゆっくり入れた?」


「うん。……変じゃないかな」


ユウは緊張した面持ちで着ている寝間着を見せるように身体を動かした。淡いピンクの花柄で上下セットになったパジャマを着ており、胸元が広めに開いているデザインだ。その姿を見たリヒトは思わず目を逸らしてしまったが、すぐに彼女の方へ向き直り感想を伝えた。


「大丈夫だって、似合ってるよ」


「本当?良かったぁ……」


安心した表情を見せたユウはすとんと彼の隣に座った。風呂上りの石鹸の良い香りが鼻腔をくすぐり、リヒトの理性を揺さぶられていた。ユウはリヒトの様子がおかしい事に気付くと、不思議そうに彼の顔を覗き込んだ。


「リヒト?どうかしたの?」


「……いや、ユウからいい匂いがするからな。抱きしめていい?」


リヒトは平静を装うとしたがこのままだと本能のままに襲い掛かりそうだと思い直し、暴走しない程度に求めて発散しようと本心を喋ることにした。

ユウは彼の提案を聞くと、恥ずかしそうにしながらもコクリと小さく首を縦に振って了承した。

リヒトは彼女の肩に手を添えると、そっと胸元に抱き寄せた。そしてそのままベッドに倒れた。


「リヒトっ!?」


「大丈夫。襲ったりはしない」


ユウは突然のことに驚いて固まっていた。リヒトはそっと彼女を落ち着かせるようにその頭を撫でる。強張った身体から力が抜けたのを確認すると、彼はユウの耳元に口を近づけて囁いた。


「ただ、こうしていたいだけだ」


「……ん、分かった」


ユウは甘えるような声を出すリヒトにクスッと笑うと、大人しく彼に身を委ねた。

暫くの間、二人はそのままの状態でいたが、やがてユウがもぞりと動いてリヒトの顔を見上げた。


「ねぇ、ちょっとだけ話を聞いてくれる?」


「ん?良いけど」


「ありがとう。……僕ね、ずっと考えてたんだ。もしも薬が切れて男になったとしたらどうしようって。でもね、もう良いかなって思ったんだ」


「どうして?」


「うん。だって……女でも男でも、ちゃんと受け入れてくれる人がいるから」


ユウの言葉にリヒトは驚いた顔をしたが、次第に柔らかい笑顔になっていった。彼はユウの身体を優しく抱きしめると、頬にキスをした。


「そうだな。俺もユウならどんな姿でも良いと思う。性別なんて関係ない。ユウだから、俺は好きになれたんだよ」


「……嬉しい。ありがとう、リヒト」


ユウもリヒトの背中に腕を回して強く抱きしめた。お互いの温もりを感じながら、暫くの間無言の時間が流れた。しかしそれは決して嫌なものではく心地よい時間だった。


「なあ、ユウ」


「何?」


「好きだよ。これからもよろしくな」


「うん、こちらこそ!」


リヒトはユウの額に自分のそれをこつんと合わせて笑い合う。感情が溢れかえるように惚けた笑みを浮かべたユウは、そっと顔を傾けた。


「大好きだよ、リヒト」


二人の距離がゼロになり、二人の唇が重なる。驚愕に目を見開いたリヒトを愛おしそうに見つめると、そっと顔を離した。


「……ユウ?」


「いつもリヒトから貰ってばっかだったから、ちゃんと返したかったの」


「嬉しいよ。応えてくれてありがとう」


二人は微笑むとどちらからともなく唇を重ねた。何度も啄むようにキスをすると、今度は深く口づけをした。リヒトは逃がさないとばかりにユウの頭を押さえて舌を差し入れ、彼女はそれに答えようと必死に絡めていく。


「んぅ……ふぁ……」


静かな部屋に水音だけが響き渡る。ユウは酸素を求めて僅かに隙間を作るが、すぐに塞がれてしまう。苦しさを覚えながらも、与えられる熱に浮かされて思考は蕩けていった。


「はあっ……りひとぉ」


「……っ、ユウ、ごめん!」


「んー?」


リヒトはユウがぐったりしている事に気付くと慌てて離れた。ユウは荒い呼吸を繰り返しながらぼんやりとしていたが、自分が酸欠になっている事に気付き、恨めしそうな視線を向けた。


「……リヒト、酷い」


「本当に悪い。我慢できなくて……」


「良いよ。僕からしたことだし、僕も求めちゃったし」


ユウはリヒトの胸に顔を埋めると、彼の服を掴んでグリグリと押し付ける。リヒトはそんな彼女の頭を優しく撫でていたが、やがて空気を変えるように明るく言った。


「なぁ、ユウ。まだ寝るには早いし少しゲームでもするか?この前新作出たんだよ」


「……あの体勢でやってみたい」


「もしかしてあれか?まあ何でもいいよ」


リヒトはゲーム機を取り出すと、電源を入れてセッティングする。ユウはリヒトの胡坐の上に座ると、嬉々としてコントローラーを握った。


「やっぱりこれのことか。これゲームに集中できなくなりそうだけどやるだけやってみるか」


「やった!」


ユウは満面の笑みで喜んだ。そして始めたゲームは珍しい協力プレイ可能なタイトルの新作で、二人は和やかに会話をしながら進めていた。


「ユウっそっち任せた!」


「うん!もう終わったよ。アイテムあげる!」


「おっサンキュ!」


楽しげに話す二人だったが、段々と睡魔に襲われてきたのかユウの反応が鈍くなり、やがて頭が船をこぎ始めた。

リヒトはその様子に苦笑すると、ゲームを中断して彼女の肩を揺らした。


「ユウここで寝るな」


「……ん、はこん、で」


「はいはい」


リヒトは眠い目を擦っているユウを抱えると、ベッドに運んで横にさせた。そして布団をかけると、その隣に潜り込んだ。


「お休み、ユウ」


「ん……おやすみ」


リヒトが耳元で囁けば、ユウはふにゃりと笑って軽いキスをする。赤い顔を隠すようにもぞもぞと身体を寄せてリヒトの懐に潜り込んだ。納まりが良い場所を見つけると、やがて小さな寝息が聞こえてくる。


「可愛いなぁ……」


リヒトは穏やかな表情をして眠るユウの顔を見てクスッと笑うと、優しく彼女を抱き締めて頭を撫でる。眠りながらも嬉しそうに胸元にすり寄ってくる。


「えへへ……りひとぉ……」


「……大好きだよ」


リヒトはユウの額に軽くキスを落とすと、そのまま瞳を閉じた。

執筆時間が取れない…

更新頻度週二ぐらいになりそうです。

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