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第二十九話 四月十九日(金)少女はカップケーキを作った

筆が進まず、連続更新が途絶えました。

次は週末にどれだけ書けるか次第です。

…土曜は昼過ぎまで予定があるんでした。

生徒会の溜まった仕事を終わらせた翌日、ユウは登校して直ぐにリサの元へ向かった。


「おはよう!部活の件オーケーだって」


リサは一瞬ビクッとして振り返ると、ユウだと気付いて笑顔になる。


「お、おはよう!良かった、部長にも連絡しておくわ」


「じゃあよろしくね」


話し終えたユウはいつものようにリヒトの元へ行った。


放課後になり、ユウはリサに連れられてスイーツ部までやってきた。


「失礼します。部活動支援部の佐倉と申します」


「あ、待ってましたよー」


中に入ると、既に他の部員が準備をしていた。その中心には、見覚えのある女の子がいた。


「あれ、佐々木さん。昨日ぶり」


「え?……リサの友人って佐倉さんだったんだ」


「ユウの事伝えるの忘れてたわ」


ユウは二人を見ながら会話をする。すると部長らしき人が入ってきた。


「君が助っ人ね。私はスイーツ部部長の中村です。とりあえず座ってくれるかしら」


ユウとリサは促されるまま椅子に座った。


「それじゃあ初心者向けの講座を開くから手伝ってくれる?これレシピね。目を通しておいて」


渡されたのは今日作るカップケーキが書かれたプリントだった。


「分かりました」


内容を覚えたユウは中村に聞いて初心者が固まったグループの一つを請け負った。

中村の指示の下、調理が始められた。

ユウはまず道具の扱いについて請け負った初心者三人に講義を始めた。


「えっと、皆は未経験だよね?」


「「「はい」」」


「じゃあまずは材料を用意しましょう。道具はこれで、使い方は――」


一通りの説明を終えたら、いよいよ実践に移る。


「それでは、僕がお手本を見せるので皆さんはそれを真似して作ってみてください。何か分からないことがあれば遠慮なく質問して下さいね」


ユウは三人の前で実演を始める。手際よく作業をするユウの姿は三人とも素直に関心していた。


「すごいですね……」


「私達と同じ年なのに凄いわ……」


「う、うん……。あっという間に生地が出来ちゃった」


ユウの手際は良く、ものの十数分で生地が出来上がった。三人も四苦八苦しながらも生地を作り終え、後は焼くだけだ。


「よし、後は焼き上がりを待つだけ。今回もそうだけど、タイマーをセットしておかないと焦がす未来しかないから気を付けてね」


「そんな簡単に焦げるんですか?」


「割と数分ズレればあっという間だね」


「ヒェッ……気を付けます」


ユウの言葉を聞いて、女子生徒の一人が青ざめた顔になった。


「ちなみにオーブンの中は色味が分かりにくいけど、最初と見比べれば意外と違いが出るよ。これ」


ユウはスマホを取り出して焼き始めの写真を見せる。


「ほんとだ……全然違う!」


「だから時間を正確に測るのが一番大事かな」


ユウ達は談笑しながら焼けるのを待っていた。

それから暫くして、お菓子の甘い匂いが漂ってきた。


「そろそろかな……丁度タイマーも鳴ったし」


そう言ってユウはオーブンを開ける。すると、香ばしい香りと共にカップケーキが姿を現した。


「わぁ~美味しそうだなぁ」


「見た目は完璧ですね!」


「完成!」


ユウは人数分のカップを取り出してテーブルに並べる。


「じゃあ仕上げのラッピングをしましょう」


ユウは三人に指示を出す。そして、全ての作業が終わった頃には疲れた様子の三人が座っていた。


「お疲れ様でした!どうでしたか、初めての作業は?」


「初めてにしては上出来じゃない?」


「確かに、こんなに上手く作れるなんて思わなかったかも」


「これって簡単なやつですけど、他のはもっと難しいんですよね?」


「スイーツ部に入った以上は練習あるのみだからね。レシピ通りに作ることが一番だよ」


「そうなんだ……」


「今回は初めてでここまで出来たのは良かったと思うよ!」


ユウは笑顔を浮かべながら三人を褒めると、彼女達は嬉しそうに頬を緩ませた。


「ありがとうございます!これからも頑張りますね」


「また機会があったら教えてくれませんか?」


「お願いします!」


「もちろん、喜んで」


ユウは快く承諾すると、四人は挨拶をして中村の元へ向かった。


「皆ちゃんと作れました」


「良かったわ。佐倉さんありがとね。自分で作ったのは持ち帰って食べてね」


「了解です。これで完了ですか?」


「えぇ。今日はお疲れさま。助かったわ」


「いえ、こちらこそ勉強になりました」


「ねぇ、ユウ?」


ユウが完成したカップケーキを回収していると、リサが後ろから声をかけてきた。ユウは振り返って首を傾げた。


「どうしたの?」


「そのカップケーキ、リヒトにあげるのかしら?」


「あー……うん。一応ね」


ユウが照れたように笑うと、リサは微笑ましそうに見つめた。


「ふぅん?ユウったらどんどん可愛らしくなって……恐ろしい子」


「もう……揶揄わないでよ」


「ごめんなさい。でも、本当に可愛いわよ?」


「……リサの方がずっと綺麗だと思う」


ユウが呟くと、リサは一瞬驚いた顔をしたがすぐに表情を戻してユウを見据えた。


「あら、嬉しい事言うのね」


「あ、いや、その……思った事を言っただけで」


「そう。……女になってもたらしは変わらないのね」


リサは儚げに笑ってユウの頭を撫でる。彼女の呟きは周囲の賑わいにかき消され、ユウには届かず首を小さく傾げるだけだった。


「それじゃ、私は先に帰るから。また明日学校で会いましょう」


「う、うん。またね」


リサは手を振って先に帰宅する。残されたユウもカップケーキを持ってスイーツ部の部室を後にした。


――その後、柔道部に練習相手として呼ばれているリヒトは友人に睨まれていた。

理由は単純明白で、ユウが作ったカップケーキを貰っていたからである。


「おいリヒト……」


「なんだ?」


「お前、何貰ったんだ?」


「カップケーキだが」


「ちくしょう!!なんで女子の手作りを貰ってんだ!?」


「彼女から貰って何が悪い!」


リヒトの言い分は尤もである。しかし、男子にとって女子からの手作りはそれだけの価値があるのだ。


「くっそ……羨ましい」


「俺だって食べたくて仕方ないさ。だけど、部活が終わるまでお預け食らってんだぞ!?」


「えっ、マジでか。それはそれで……いや、ご褒美が待ってるだけじゃねえか!」


「そういうこった」


「クソがぁ!!」


男達の声が響き渡る中、リヒトはユウが作ってくれたカップケーキを楽しみに練習に励むのだった。


スイーツ部を出たユウがふらっと歩いてる最中に見つけたマネージャーが大量の仕事を抱えていたので思わず手を貸したところ、まさかの柔道部マネだったのでそのまま柔道部に向かってリヒトと遭遇した。

そんな火種を投下したユウは今、とりあえずカップケーキを渡すだけ渡してマネージャーの手伝いに向かっていた。


「佐倉さん……手伝ってくれてありがとう!」


「いいんですよ。あの量を見て知らぬふりは心苦しかったので」


「ほんと優しいよね!うちの部員にも見習ってほしいくらいだよ」


そう言ってマネージャーは苦笑いを浮かべた。彼女は手を動かしながらもユウへ輝く瞳を向けた。


「ところで……リヒト君とは付き合ってたりするの?」


「……はい。少し前から交際をさせてもらってます」


「へぇ~そうなんだ?じゃあ彼が今噂の彼氏様なんだ!」


「噂ってそんなに広まってます?」


ユウは首を傾げると、マネージャーは目を輝かせて語り始めた。


「そう!生徒会で注目の女の子が一途に想いを寄せる謎の男子生徒!最近だと同じクラスで手作り弁当を貰ってる仲で、バスケ部で武勇伝を作った大型新人だとか」


「そこまで……たぶんクラスメイトが広めたような気がします」


ユウが頬を引き攣らせながら答えると、マネージャーは楽しげに笑みを浮かべて口を開いた。


「注目株の佐倉さんがまさかこんなに可愛い子だとは思わなかったよ!」


「あ、ありがとうございます。終わったので柔道場の方に戻りましょう」


「え?……いつの間に?」


山があったはずの洗い物がいつの間にか綺麗になっている。先に移動したユウの後姿をマネージャーは唖然と見つめていた。

その後無事に部活を終えたリヒトは、柔道部の友人からの妨害を潜り抜けてユウの元へつき、一緒に帰路についた。


「ユウ、お疲れ様」


「リヒトこそお疲れさま」


「このカップケーキ、ユウが作ってくれたのか?」


「うん。スイーツ部での指導の流れで一応作ったけど……口に合うといいな」


ユウが照れくさそうに言うと、リヒトは嬉しそうに笑ってユウの手を引いた。


「ありがとう。大切に食べるよ」


「うぅ……なんか恥ずかしいな」


彼は身を寄せてユウの耳元で囁いた。ユウが顔を赤らめて俯くと、リヒトは微笑んでユウの手を強く握った。

自分でもなんか内容薄くね?って思ったりもしたけど、これ以上は筆が進まないのでご勘弁を。

多分書きたかった場面になったらノリノリで筆が走るんだろうな…

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