表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全問正解子ちゃん  作者: 総督琉
十器聖編
60/114

最後の決闘、文月VS全知③終

「文月、お前は少しやり過ぎた」


 宿木は文月の首へ拳を振るうーーがそれを寸前のところで文月は止めた。そして宿木の手に握られている物を見て、文月は笑みを浮かべる。


「注射器ですか。私を眠らせようとしているのですね。だけどあなたに勝ち目はない」


 宿木が持つ注射器を奪い、それを床に投げて踏みつけた。

 壊れた注射器からは液体が染み出る。


「麻酔ですか。まあ、私には効きませんけど」


 文月は拳を構え、宿木へ身構える。


「宿木先生、この学園は貰っていきます」


「何をするつもりだ」


「支配するだけですよ。この学園を、私の中に眠る全ての力で。全てを支配し、私は王になる。王にね」


 文月と宿木の戦いが始まった。

 十歳ほど歳上の宿木にも、文月は退くことを知らず攻めていく。飛び蹴りや打撃、何度も攻撃を重ねるが、その全てを宿木は防ぎきっていた。

 しかし全知と同様に、防ぐだけで攻めきれない。


 まるで獣のような獰猛さ、宿木ですら遊ばれているようだ。

 圧倒的すぎるが故、文月には敵わない。そう思っていた。そう思えざるを得なかった。


「強すぎる……」


「それが私だ」


 文月の蹴りが宿木の脳天へ直撃する。その一撃は重たく宿木へのし掛かり、激しい一撃となって宿木の体勢を破壊した。

 忍者のように着地した直後、宿木の腹へ拳を振るう。だがその腕は宿木に掴まれた。


 ーー名門に産まれたが故、名門の名を背負わなくてはいけない。本当に苦痛だ。だが、今の私の背中を押してくれる。


「たった一瞬の好機、この時を待っていたよ」


 宿木が体勢を崩しているから故、文月は自身の体勢が整う前に攻撃を仕掛けた。だがそれが隙をつくった。ほんのわずかな隙を。

 文月を床に押し倒し、両腕を右腕で掴んで縄で縛りつけた。身動きがとれなくなった文月の首にかかる髪をはらい、隠し持っていた注射器を取り出すーー

 が、宿木が隠し持っていた注射器を取り出そうとするも、いつの間にか文月に奪われていた。

 動揺に駆られる中、足で胴体を掴まれ、そのまま文月に背後に回り込まれた。文月は強靭な力で縄を破き、その注射器を首に打たれた。


「終わりだ」


 宿木は眠りについた。

 勝利した文月は息を切らしつつも、その場にいた者たちへ告げた。


「敵は倒した。無敵の私に挑もうとする者はいるか?それほどの勇者はいるか?」


 その場にいた者は全員沈黙する。

 文月の威圧に圧倒されているからだ。


「いねえよな。ならばこれから、この学園を支配していこう。私が望む学園に」


 文月は狂喜の笑みを浮かべ、皆へそう宣言した。

 そのおぞましい表情を見て、紅は言葉も出ずただ固まっていた。


「では覚えておくと良い。この学園の支配者は私、文月京となった」



 その日、文月はもうひとつの人格に支配された。


十器聖編、閉幕。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ