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全問正解子ちゃん  作者: 総督琉
十器聖編
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策の激突、戸賀狂嫁VS霞ヶ崎小雪⑥

 蒼青太郎、彼は霞ヶ崎の仲間であった暴走族を集め、一挙に敵陣へ攻め込んでいた。

 離れた場所にいる霞ヶ崎は、トランシーバーが復活したことで何者かが電波障害を止めたのだと理解した。


「霞ヶ崎さん、まさか援軍が……」


「援軍が来てくれたのは良いが、来てくれたとしても三十人ほどだろう。それでは到底敵の数には敵わない。早く蒼に連絡をーー」


 トランシーバーを持ったとたん、霞ヶ崎は叫んだ。


「蒼青太郎、むやみに敵陣へ攻め込むな」


「この声……霞ヶ崎か」


「青太郎。私の話を聞け。敵の数は軽々と百を越える。正面突破では勝てる見込みがない。だから今は私の指示通りに動いてくれ」


「わ、分かった」


 青太郎は動揺しつつも、霞ヶ崎に返事を返す。


「まずはーー」


「ーー逃げられる前に仕掛けろ」


 梓沼の声が蒼青太郎のいる場所付近へ響き渡る。その声とともに現れたのは、武装している戦闘に慣れているような集団。その数およそ五十人。

 現在蒼青太郎率いる暴走族は三十人、武力には圧倒的差がある。


「すぐに逃げろ。青太郎」


 逃げようとする青太郎らへ、赤いペイントの弾丸が放たれた。弾丸は青太郎の仲間の数名かを赤く染め上げた。

 すぐに撤退をする青太郎であったが、彼らを逃がすまいと梓沼は青く染まった右腕に触れながら指示を出す。


「圧倒的戦力差は覆せない。ここで援軍を始末するぞ」


(まずい……これではせっかくの援軍が無意味になってしまう。それでは劣勢である状況を覆せなくなる)


 霞ヶ崎はトランシーバーを握り、考える。


「青太郎、これより二つに部隊を分けろ。ひとつの部隊には追ってくる連中と戦闘を。奴らにはなるべく時間を稼がせろ。残りの部隊は撤退をさせろ。青太郎は撤退する部隊の指揮を取れ」


「分かった」


 青太郎は指示通り、部隊を二つに分けた。

 追っ手と戦闘を繰り広げる部隊を背に、青太郎たちは指示通りに撤退を開始していた。


「そのまま直進、五十メートルほど進んだら左に曲がれ」


 青太郎は左へ曲がった。

 だがしかし、そこには十名ほどの武装した男たちが待ち伏せをしていた。


「来ると思ったよ。お前たちの部隊はそこで足止めをしておけ」


 梓沼の指示の下、青太郎らの前に現れた彼らは青太郎へ銃口を向け、走り出す。だがその瞬間、足元が浮き上がり、網にかかって男たちは無動きが取れなくなった。

 彼らを青く染めた青太郎は、次に下した霞ヶ崎の指示に従う。


「よし。では次は左に曲がれ」


 青太郎らは左へ曲がる。

 そして二百メートルほど進んだ時、霞ヶ崎は再び指示を出した。


「では最後、左へ曲がれ」


「左って……」


 そこで青太郎は霞ヶ崎の策に気づいた。

 現在、逃亡した青太郎は直進し、左へ曲がり、また左へ曲がり、そして今左へ曲がった。それはつまり……


「梓沼さん。敵が……逃げたはずの奴らが戻ってきました」


 敵陣の側面より、青太郎たちはペイント銃を構えてその部隊へと襲いかかった。

 霞ヶ崎の策に、梓沼らの率いる部隊の陣形は乱れ、更には困惑していた。そこへ青太郎は、戦闘が行われている場所を遠くから監視している少年を見つけ、その少年目掛け足を進めている。


「梓沼様、敵がこちらに」


「壁を作れ」


 梓沼の前方にまだ隠れていた二十人ほどの部隊が現れた。彼らは梓沼の背後にあったテントが張られている場所から現れた。

 そこに本陣がある、そう睨んだが、青太郎の後から着いてきていた者たちは全員が倒されていたため、本陣へ攻め込む前に敵に行く手を阻まれる。


「なぜここにこんなにも兵が集中しているのか分からんが、まあ良い。今の内にとどめを刺せ」


 梓沼の指示の下、男たちはペイント銃を青太郎へ向けた。

 だがその時、梓沼の持つトランシーバーから声がする。


「梓沼、決闘は終わりだ」


 それはノイズで声が濁っており、騒がしい戦場でよく聞こえなかった。

 そこへその決闘の審判を務めていた冬島という男が現れ、言った。


「この決闘に決着はついた。戸賀陣営、お前らの負けだ」


 一体何が起きたのか、その戦場で戦っていた者たちは分からなかった。

 そこへ、梓沼らの背後にある崖の上からある者が現れた。

 それは、後頭部から赤いペイントを流している少女ーー文月京。彼女はトランシーバーを持ち、梓沼へと言った。


「この決闘の勝敗が決まるのは二つ。敵を全滅させるか、もしくは旗を全て自分達の色で染めるか。そして現在、旗はある色に塗り変わった」


「まさか……」


「私たちの勝ちだ」


 五つの旗は全て青く染まっていた。

 それは、文月の持つトランシーバーに備え付けられたモニターに映っていた。

 それを見て、梓沼は絶句する。


「これから話してあげようじゃないか。この決闘の裏側を」

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