策の激突、戸賀狂嫁VS霞ヶ崎小雪①
七月六日。
明日は七夕というめでたい時期に、十器聖ーー戸賀狂嫁はある人物のもとへと向かっていた。
「生徒会長霞ヶ崎小雪、あなたへ決闘を申し込みに来た」
「来ると思っていたよ。暗黒によって壊された生徒会選挙、あればかりは君も結果には納得していないのだろう」
「だから今度こそ決着をつけよう」
「決闘内容は?」
「ザバイバルゲーム、略してサバゲーでどうでしょうか」
霞ヶ崎は無言で頷く。
「勝負内容はこうです。サバゲーと言っても、私たちはあくまでも戦闘者ではなく司令官。敵の策略を考え、プレイヤーを動かす役目を担っています」
「なるほど。敵を全滅させれば勝ちか?」
「勝敗が決着する条件は二つのみ。どちらかのプレイヤーが全滅するか、それともサバゲーの会場に用意された五つの旗を全て自分のチームの色に染めれば勝利」
「面白そうだけど、その決闘、君が私に勝てるのか?元暴走族総長を努め、その暴走族の全盛期に活躍した私に」
「勝てる見込みがない戦いはしないさ。絶対に勝てるからこそ、君へ決闘を挑みに来たんだよ。あまり舐めてもらっちゃ困るんだけど」
「決闘日は?」
「明日は七夕だ。午前十時、合図なしで決闘を始める。会場はこの学園にある施設のひとつーージャングル。自然に囲まれた壮大な世界で、君と私、それぞれが率いる兵で戦おう。数は限りなしだ」
「それは……圧倒的に不利じゃないか」
「君は生徒会長だ。サバゲーに必要な道具も人数も、全て自分で用意できる。就任早々で悪いが、全力で行かせてもらうぞ」
戸賀は立ち去ろうとする。だが何か思い出したのか、振り返って霞ヶ崎へと言う。
「ひとつ言い忘れていたよ。この決闘で私が負ければ私は十器聖から降りることになっている。だがもし君が負ければ、生徒会長から辞退してもらうよ」
「…………はぁぁぁああああ!?」
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「ということで、是非とも君に力を貸してほしい。文月」
私と霞ヶ崎は生徒会選挙で協力した仲であり、この誘いを断る理由もないわけではない。
だが、さすがに状況が不利すぎる。一方的すぎるこの決闘の勝率はほぼゼロパーセント。
「霞ヶ崎、君も分かっているだろ。この決闘は勝算がほぼない」
「分かっている」
「負ければせっかく手に入れた生徒会長の座を手離すことになる。君にはその覚悟があるのか」
「なきゃ君に頼んでいない」
「そうか。それもそうだな。だが実際、敵の数が分からない以上、こちらも相当の戦力を揃えなくてはならない」
「人数なら用意できるが、明日の十時から参加できる者となると限られていてな。十人ほどしか揃えることができない。暴走族の仲間が来れたとしても、二十人ほど」
「私が参加し、そしてもう一人心当たりがある人物に頼ったとしても、これで二人。さすがに劣勢だな」
「だが勝ちたいのだろう。ならば人数よりも、気にすべきは戦術だ。勝敗条件は全滅、もしくは五つの旗を全て自陣の色に塗り替えること。それが最も手っ取り早いが、確かこの学園のジャングルは相当広かった。旗を見つけられるかどうかだが……。
ひとまず、旗を全て塗り替えるという戦法で行こう。敵の数が分からない以上は、その方が確実だ。だが、司令官は私ではなく霞ヶ崎、君だ。だから戦闘時の全ての判断は任せる」
「分かった」
「霞ヶ崎、後はサバゲーの道具を用意してくれ。私はジャングルを見ておきたい」
私はジャングルへ向かう。その道中で、紅に出会った。
「文月、もしかしてまた決闘?」
「なぜ分かった!?」
「顔を見れば分かるよ。文月はさ、決闘の時はいつもより楽しそうにしているから。でもいつも一人で先走って、私が置いてきぼりになるにはちょっと寂しいかな」
紅は胸を押さえながら悲しんでいる様子だった。
「いいや。今回ばかりは紅、君の力が必要不可欠だ」
「ってことは、つまり……」
「ああ。君にも力を貸してほしい」
紅は私へ抱きついた。
そんなに嬉しいことでもないように思うが、私はまだまだ未熟者だな。やはり人の心は理解しがたい。
「紅、ひとまずついて来てくれ。そこで作戦諸々について話すよ」




