小テスト③
この学園には、登校時にあることを受けるのが義務付けられている。義務、というよりかは必須である。それを行わなければ学園内へ入ることはできず、その上それに合格しなければ学園内へ入ることもできない。
全く、実に愉快なことをする。
「やはり朝は眠いな。しかしまあ、毎朝恒例の小テスト、軽く解いて入るとしよう」
試験室へと行き、そこにある机と椅子だけの空間を眺めてため息をこぼす。
「さて、今日は何の問題が出るかな?」
楽しみにしていると、一枚のプリントが机に置かれていることに気づく。
「そういえば最初から置かれているんだったな。じゃあちゃっちゃと終わらせようか」
私は椅子に座り、ペンを持って裏返しになっているプリントを表に向けた。そして今回の小テストの内容を見て、私は頭を抱える。
「朝から国語の文章問題とは……眠ぃな」
そうこう言っている間に、天井に設置されていたモニターに記されている時間が一秒ずつ減っていく。
「では始めるとしようか。国語の砦を攻略しようか」
第一問から相当ハイレベルだ。
何がハイレベルかと聞かれれば、私は迷わずこう答えるだろう。言い回しが遠回り過ぎる。そのせいか一問解くだけで相当な時間が強いられていた。
「全く、どれだけ遠回しな言い方にすれば気が済むんだ?まあ、国語の砦が私の侵入をそんなに拒むのならば、私は私の全力を持ってその砦を攻略しよう」
国語の領域へと一歩ずつ足を踏み入れる。
その多くが曖昧な解答であった。
曖昧なものは確実なものへと変えろ。でなければ、曖昧は曖昧のままうやむやになってしまう。
曖昧を確信へと変える。それが私の生き方だ。
制限時間ギリギリで、私は小テストを終えた。
出口の扉の前にはモニターがつけられ、そこにテストの点数が記載される。それを見て私は微笑みを浮かべる。
「まあ、そりゃそうなるよな」
『受験者:文月京
科目:国語
点数:100/100』
「満点以外に興味はない」
今日も学園の朝に満点の花が満開に咲き誇った。
「私もまだまだだな。この程度の問題に苦戦してしまうなんて。早く図書館に行って勉強でもするとしようか」




