素晴らしきこの学園
そして物語は完結へ……
学園全面戦争から数日。
学園から支配者は消えた。
今この場で行われているのは、生徒会任命式。
生徒会長の座に就いたのは紅橙霞。これより新たな学園をつくるため、その希望を新生徒会に託された。
変わったのは生徒会だけではない。
最高委員会の委員長は士道へと変わり、風紀委員会の委員長は神原へと変わった。
この学園は変わった。
それが必ずしも良いとは限らないが、良いものになれば良いだろう。その世界はきっと美しいものだから。
新生徒会長となった紅は校舎の屋上へ向かった。そこには文月が待っていた。
「文月、私、生徒会長になったよ」
誇らしげに胸を張って紅は宣言した。
「ああ。有言実行したな」
「私何か言ったっけ?」
「覚えてないのか。紅がくれたこの手紙、読んだんだよ。そしたら"生徒会長になって、学園を変える"って、でかでかと書いてあった。きっと昔の私が読んだら爆笑するだろうな。でもさ、今読むと違うな。成長したよ」
その台詞にときめき、橙霞は嬉しそうに微笑んでいた。
「文月、いや、京。私、これから生徒会長として頑張るから。だからずっと私のことを見ていてよね」
「ずっと見てるから、頑張れよ。橙霞」
病室にて、全知は小唄と静かに話を交わしていた。
「小唄、ありがとな」
「ねえ全知、私さ、ずっとこの病気が治らないと思っていた。だから君にも会えないままだと思ってた。でもさ、私、今凄く嬉しいよ」
小唄は満面の笑みで言った。
「だって大好きな人が私の病気を治してくれたんだから。だから私は君のことをもっと好きになった。そしてこれからも、君を一生好きなままでいる」
真正面から言われ、全知は照れていた。
そんな全知を楽しそうに小唄は見ていた。
「小唄、僕も……僕も君が好きだよ」
「それじゃ結婚しようか」
「け、けぇぇぇええ!?」
驚きのあまり、全知は気を失って倒れた。
「全く、君は悪に染まっていた分、そういうことにはうぶなんだから」
倒れた全知を見て呆れていた。
だが、小唄はまた日常が戻ることに喜びを感じていた。
「私、やっぱ君に会えて良かったよ。全知」
いつの季節も病室の窓辺には桜は舞う。
その桜を眺めながら、今という時間に小唄は感謝していた。
それからその病室での会話をこそこそと聞いていた冬無や冬待、暗黒らが中へ入り、病院はお祭り騒ぎに。
「やっぱこの日常が好きだな。私は」
学園は素晴らしき世界へ。
楽しく、明るく、面白く、そんな学園で彼らが微笑みを浮かべる。
やっぱこの学園が最高だと。
いつだってこの学園は素晴らしい。
だから胸を張って生きよう。
誇り高き生き方をし、恥じない生き方をするために。




