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全問正解子ちゃん  作者: 総督琉
女王文月編
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学園全面戦争⑩

 文月たちの勢いは止まらず、徐々に城へと近づいていた。

 それを見た神代は、和国へそのことを報告する。


「和国、森で待ち伏せていた部隊が足止めにもなっていませんよ」


「やはり文月は手強いな。さすがはこの学園を支配しただけはある。だがおいらはせっかくあなたから奪った玉座を易々と奪われるわけにはいかないのですよ」


 和国の脳裏には過去の記憶が過る。

 その記憶を思い出す度、和国は苛立ちを隠しきれない。


「文月、常に世界とは強者だけが絶対だ。金、暴力、知恵、常に世界は狂ってる。だからもう自らが支配者になるしかないんだよ。支配者になって、私はこの学園を支配する。おいらの邪魔をするのなら上ってこい。おいらの暴力でお前を倒す」


 感情的になる和国を、背後で氷上、神代、落雷は見ていた。

 彼らが和国に仕えるのはそう深い理由はない。ただ世界は常に流転する。だから時の流れに身を任せるだけであった。


「お前ら、文月が来たら真っ先に奴を潰せ。弱った文月をおいらが倒す。そして学園を完全に支配する」


 和国の完全なる計画のため、学園は彼女の予想通りに物事が進んでいた。

 この学園の唯一の希望は文月ーー彼女だけだ。

 もし彼女が敗れた時、それはこの学園の終末を意味する。


 学園の希望である文月は、ようやく森を抜け、城の前へとやって来た。そこに広がる広大な大地には、校舎にいたはずの委員総会メンバーがいた。

 彼らは皆や大型のバス、スケボーなどといった乗り物にのって追い越していた。

 その先頭に立っている最上は、冷や汗をかいて息をきらしていた。


「危ないところだった。まさかあれほどの包囲網をこんなにも簡単に抜かれるとは思っていたかった。だがもう終わりだ」


 ようやく城の前までたどり着いた文月たち。

 だがその背後から校舎から追ってきていた部活動総会が玉染の指揮の下生徒総会を次々と倒していく。


「ここで終わりだ。文月京」


 文月の前に立っているのは五百人ほどの人の数。

 さすがの数に文月は驚くーーなんてことはなかった。むしろ嘲笑うように、文月は旗を振るい、叫んだ。


「たかが数が多いだけで調子にのるなよ。生徒総会、今お前らに味方する最強の存在は誰だ。かつて全知をも討ち倒し、この学園を最初に支配したことのある女王は誰だ。

 そんなことができるのはこの学園でただ一人、この私だけだ。この私が貴様らに味方しておるというのに、なぜたかが数でイキっているだけの弱者に負けることがある」


「数が絶対だ。この数は覆せない」


「ならば覆してしまおう。その根底から。そんなことすらできなければ、この学園の支配など私にはできていなかったさ」


 文月は旗を持ちながら、最上へ向けて一直線に突き進む。

 最上はバイクから降り、バズーカを構え、文月へ向けて捕縛網を放つ。


「このの程度、」


 文月は軽々とかわしてみせた。

 だがしかし、かわした文月へ何十発もの捕縛網が放たれる。さすがに回避不可能か、だが文月京は女王だ。


「もう一度言ってやる。この程度で、私の足止めをできると思うなよ。最上ぃぃ」


 同時に放たれた何十発もの捕縛網をかわすため、十メートルという高さを飛んだ。そして城の二階の屋根へと着地する。


「あり得ない……」


「あんなもん、人間じゃないだろ……」


 最上と玉染は固まっていた。それも当然だ。

 だが橙霞は全く驚きもせず、それどころか文月に置いていかれないようにと最上らが道を塞いでいる中へと飛び込んだ。


「破天荒すぎるな。こいつら」


 橙霞はバイクを奪い、そのまま城の入り口へと突っ込んだ。


「誰かそいつを止めろ」


 しかしそう簡単に止められるはずもなく、橙霞は刻一刻と城への入り口に近づいていた。しかし、バイクは突如として止まった。

 止められた、のではなく自ら止まった。

 入り口の前には柵がたてられており、橙霞はバイクを止めざるを得なかった。その上、止まった橙霞へ頭上から一人の男が竹刀を持って襲いかかる。


「お前は、暁魔道か」


 風紀委員会委員長ーー暁魔道。

 彼は今そこに姿を現した。



 ーーようやく見つけた。



 一人の女性はそう呟いた。


 暁魔道は竹刀を橙霞へと振るう。危機一髪と思われた矢先、一人の女性が竹刀を振るって魔道の竹刀を受け止めた。


「久しぶりですね。暁委員長」


「神原か」


 魔道の竹刀を受け止めたのは神庭銀。

 彼女の登場に、魔道は少々驚いているようだった。


 同じく風紀委員会の元副委員長、神原は自分をクビにした魔道を前に何を思うのか。

 今二人の決闘が因縁を咲かせて始まる。


ようやく再会した二人。

しかしその再会は睨む合うようなものであった。

様々な感情を撒き散らしながら、今、神原と暁は激突する。

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