表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄されたので、カミサマを探しにいきます ~異世界で巫女さんになりました~  作者: 菱沼あゆ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/48

深い眠りの中にいた


 深い深い眠りにつき。


 そして、ぼうっとしていた。


 疲れ果てて――。



「どうぞ、お眠りください。

 たまには、ご自分のことだけ考えて、ゆっくりと」



 そんな人々の声が、ふいに魔王の中に蘇った。


 今、アリスンの告白を聞いたせいだろうか?



「あなたが誰だかわからないよう、我々がなんとかしますから。

 人々の願いを叶えすぎて、疲れ果てたあなたに、もう誰も安易に願いをかけたりしないように」


 長い長い(いくさ)はカミに祈ることによって終わった。


 人々の疲弊は終わったが、カミはその数十年に渡る疲弊を受け継いだ。


「ごゆっくりお眠りください。

 誰も此処に近づかぬよう。


 此処は禁断の地とします。


 あなたの姿を見て、誰も願いをかけぬよう。

 我々がなんとかします。


 あなたに迂闊(うかつ)に人が近づけぬよう、お触れも出しましょう」


 人々は自分に魔王の扮装をさせ、近隣の村々に向かい、お触れを出した。


『禁断の森の魔王を起こしてはならぬ』と。


 ……そうだ。


 眠りについたカミというのは私のことだった、と魔王は思い出す。


 そういえば、あのとき、村人たちが言っていた。


「大魔王とかだとまた、あさはかな奴があなたにいろいろ願ってくるかもしれないので。

 モブな魔王ということにしてください」


 ……モブ、名前じゃなかったな。


 長い眠りの中、刷り込まれたその言葉だけが自分の中に残っていたようだ。


 だが、どのみち『人』が目の前に現れた瞬間、自分は、いつもの癖で訊いてしまっていたのだ。


「美しき娘よ。

 汝の願いはなんだ?」

と。


 あのときの村人たちが聞いていたら、


「ああああ~っ。

 魔王の扮装した意味ないじゃないですか~っ」

と嘆いていたことだろうが。


 彼らもいつか、アリスンの話に出てきた村長のように生まれ変わって、私の許に来てくれるやもしれぬ。


「寝すぎですよ、カミサマ。

 いい加減、我らのために働いてください」


 そう言って。


 そこでカミサマは思い出していた。


 そういえば、動き出したばかりでなんの力も使えぬ自分にアリスンが言っていた。


「それじゃ、魔王の仮装してる人と変わらないではないですか」


 ……今思えば、なんと鋭い娘だ。


 当たっていたではないかとカミサマは思う。



 意外に早くに目を覚ましてから、疲れからか、ずっと、ぼうっとしていた。


 長い長い時間、ひとりで、ぼんやりしていても平気だった。


 だが、アリスンが嵐のようにやってきて、帰ってしまったあと、森から出て、人々がいる集落まで行ってみた。


 やけに願いが叶えたくなり、人に会いたくなったのだ。


 昔からの習慣か。


 いや……、単に、ひとりきりでいた場所にいきなり現れたあの騒々しいラスボスみたいな娘の願いを叶えたくなっただけなのか。



 うーん。

 しかし、記憶が戻ったのはいいが、なんか言い出せないな、とカミサマは思っていた。


 私、実はカミサマでしたとか。


 まるで、カミサマに仕えたがっているアリスンに、私の側にいろと言っているようではないか、とカミサマは考えすぎる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ